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北海道大学 1990年 理系 第3問 解説

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北海道大学 1990年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) については、$x$ を含む部分が $x^2$ および $1+x^2$ であることに着目し、$t = 1+x^2$ と置換することで変数の取りうる範囲を絞り、定数 $a$ で場合分けをして $t$ についての関数の最小値を考える。 (2) については、(1) の条件下で $f(x) > 0$ となるため、面積は $f(x)$ の $0$ から $1$ までの定積分としてそのまま計算できる。分数関数の積分には $x = \tan\theta$ の置換を用いる。

解法1

(1)

$t = 1+x^2$ とおく。$x$ がすべての実数を動くとき、$t$ のとり得る値の範囲は $t \ge 1$ である。 与えられた関数 $f(x)$ を $t$ を用いて表すと、

$$ f(x) = a(t-1) + \frac{a^2}{t} - 2a = at + \frac{a^2}{t} - 3a $$

となる。これを $g(t)$ とおく。 すべての実数 $x$ に対して $f(x) > 0$ が成り立つための条件は、$t \ge 1$ を満たすすべての実数 $t$ に対して $g(t) > 0$ が成り立つことである。

(i) $a > 0$ のとき

$$ g(t) = \frac{at^2 - 3at + a^2}{t} = \frac{a}{t} (t^2 - 3t + a) $$

$t \ge 1$ において $t > 0$ であり、$a > 0$ より $\frac{a}{t} > 0$ であるから、$t \ge 1$ において常に $t^2 - 3t + a > 0$ であればよい。 $h(t) = t^2 - 3t + a$ とおくと、

$$ h(t) = \left( t - \frac{3}{2} \right)^2 + a - \frac{9}{4} $$

$t \ge 1$ における $h(t)$ の最小値は、$t = \frac{3}{2}$ のときで $a - \frac{9}{4}$ である。 したがって、条件は $a - \frac{9}{4} > 0$ となり、これを解いて $a > \frac{9}{4}$ を得る。 これは $a > 0$ を満たしている。

(ii) $a = 0$ のとき

$g(t) = 0$ となり、$g(t) > 0$ を満たさないため不適である。

(iii) $a < 0$ のとき

$t \ge 1$ において $\frac{a}{t} < 0$ であるから、$g(t) > 0$ となるためには $t^2 - 3t + a < 0$ が必要である。 しかし、$\lim_{t \to \infty} (t^2 - 3t + a) = \infty$ であるため、すべての $t \ge 1$ に対して $t^2 - 3t + a < 0$ が成り立つことはない。

以上より、求める $a$ の範囲は $a > \frac{9}{4}$ である。

(2)

(1) の結果より $a > \frac{9}{4}$ であり、このとき区間 $0 \le x \le 1$ において常に $f(x) > 0$ である。 したがって、曲線 $y=f(x)$ と $x$ 軸および $2$ 直線 $x=0$, $x=1$ で囲まれた図形の面積 $S(a)$ は次のように計算できる。

$$ S(a) = \int_{0}^{1} \left( ax^2 + \frac{a^2}{1+x^2} - 2a \right) dx $$

ここで、各項の定積分を計算する。

$$ \int_{0}^{1} ax^2 dx = \left[ \frac{a}{3}x^3 \right]_{0}^{1} = \frac{a}{3} $$

$$ \int_{0}^{1} (-2a) dx = \left[ -2ax \right]_{0}^{1} = -2a $$

また、$\frac{a^2}{1+x^2}$ の積分については、$x = \tan\theta$ と置換する。 $dx = \frac{1}{\cos^2\theta} d\theta$ であり、$x$ が $0$ から $1$ まで変化するとき、$\theta$ は $0$ から $\frac{\pi}{4}$ まで変化する。

$$ \int_{0}^{1} \frac{a^2}{1+x^2} dx = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{a^2}{1+\tan^2\theta} \cdot \frac{1}{\cos^2\theta} d\theta = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} a^2 d\theta = \left[ a^2\theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{4}} = \frac{\pi}{4}a^2 $$

これらを足し合わせることで、面積 $S(a)$ は以下のようになる。

$$ S(a) = \frac{a}{3} + \frac{\pi}{4}a^2 - 2a = \frac{\pi}{4}a^2 - \frac{5}{3}a $$

次に、$S(a) - 3a$ の最小値を求める。

$$ S(a) - 3a = \frac{\pi}{4}a^2 - \frac{5}{3}a - 3a = \frac{\pi}{4}a^2 - \frac{14}{3}a $$

これを $a$ について平方完成すると、

$$ S(a) - 3a = \frac{\pi}{4} \left( a - \frac{28}{3\pi} \right)^2 - \frac{\pi}{4} \left( \frac{28}{3\pi} \right)^2 = \frac{\pi}{4} \left( a - \frac{28}{3\pi} \right)^2 - \frac{196}{9\pi} $$

ここで、放物線の軸 $a = \frac{28}{3\pi}$ が、(1) で求めた $a > \frac{9}{4}$ の範囲に含まれるかを確認する。 円周率について $\pi < 3.2$ と評価すると、

$$ \frac{28}{3\pi} > \frac{28}{3 \times 3.2} = \frac{28}{9.6} = \frac{280}{96} = \frac{35}{12} $$

ここで、$\frac{35}{12} = \frac{105}{36}$ であり、$\frac{9}{4} = \frac{81}{36}$ であるから、$\frac{35}{12} > \frac{9}{4}$ が成り立つ。 したがって、$\frac{28}{3\pi} > \frac{9}{4}$ となり、軸は $a$ の定義域に含まれる。 ゆえに、$S(a) - 3a$ は $a = \frac{28}{3\pi}$ のとき最小値をとる。

解説

(1) は文字定数 $a$ を含む関数の値が常に正となる条件を求める問題である。式に含まれる $x^2$ をまとめるため、$1+x^2=t$ とおいて $t$ の関数とみることで、微分を用いずに2次関数の最小値問題に帰着できる。 (2) は分数関数 $\frac{1}{1+x^2}$ の積分を含む面積計算である。$x=\tan\theta$ と置換する標準的な手法を確実に実行したい。最後に得られる $a$ の2次関数の最小値を求める際、頂点の $a$ 座標が (1) で求めた範囲に含まれることの大小比較による確認を忘れないようにする。

答え

(1) $a > \frac{9}{4}$ (2) 最小値 $-\frac{196}{9\pi}$

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