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東京大学 1968年 理系 第5問 解説

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東京大学 1968年 理系 第5問 解説

方針・初手

多項式 $P(x)$ を $ax^3+bx^2+cx+d$ とおき、与えられた5つの条件を順に数式に翻訳して係数 $a, b, c, d$ を絞り込んでいく。特に、条件1から奇関数であることがわかり、偶数次の項が消えるため、未知数を大幅に減らすことができる。後半は条件を不等式や整数の性質に帰着させて係数を決定することがポイントである。

解法1

$P(x)$ は整数を係数とする3次多項式であるから、整数 $a, b, c, d$ ($a \neq 0$) を用いて、次のように表すことができる。

$$ P(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d $$

条件1より、$P(x)$ のグラフは原点に関して対称であるため、$P(x)$ は奇関数である。すなわち、任意の実数 $x$ に対して $P(-x) = -P(x)$ が成り立つ。

$$ -ax^3 + bx^2 - cx + d = -ax^3 - bx^2 - cx - d $$

これが任意の $x$ で成り立つため、係数を比較して $b = 0$ かつ $d = 0$ を得る。よって、$P(x)$ は以下のように書ける。

$$ P(x) = ax^3 + cx $$

条件3より、$P(x)$ は極大値も極小値ももたない。関数 $P(x)$ が極値をもたないための条件は、導関数 $P'(x) = 3ax^2 + c$ が符号変化を起こさないことである。

$$ 3ax^2 + c = 0 $$

これが実数解をもたないか重解をもつことと同値である。$a \neq 0$ より、この条件は実数係数方程式の判別式を考えて $ac \ge 0$ となる。

条件2より、$P(x) = 0$ は重根をもたない。

$$ P(x) = x(ax^2 + c) = 0 $$

この方程式が重根をもたないためには、$ax^2 + c = 0$ が $x = 0$ を解にもたず、かつ $ax^2 + c = 0$ 自身も重解をもたないことが必要である。 $x = 0$ を解にもたないことから $c \neq 0$ が従う。(もし $c = 0$ ならば $P(x) = ax^3 = 0$ となり、$x = 0$ を3重根にもつため不適である) また、$ax^2 + c = 0$ が重解をもたないためには判別式が $0$ でないこと、すなわち $ac \neq 0$ が必要である。$c \neq 0$ と $a \neq 0$ よりこれは満たされる。 以上と $ac \ge 0$ を合わせると、$ac > 0$ であることがわかる。すなわち、$a$ と $c$ は同符号である。

条件4より、$P\left(\frac{1}{2}\right)$ は整数である。

$$ P\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{a}{8} + \frac{c}{2} = \frac{a + 4c}{8} $$

これが整数となるため、$a + 4c$ は8の倍数である。整数 $k$ を用いて次のように表せる。

$$ a + 4c = 8k $$

$$ a = 4(2k - c) $$

$2k - c$ は整数であるから、$a$ は4の倍数であることがわかる。

条件5より、$0 < P(1) < 6$ である。

$$ P(1) = a + c $$

であるから、以下の不等式を得る。

$$ 0 < a + c < 6 $$

ここで、$a$ と $c$ は同符号であり、その和 $a + c$ が正であることから、$a > 0$ かつ $c > 0$ でなければならない。(もし共に負であれば $a + c < 0$ となり不適である) $a$ と $c$ は正の整数であり、かつ $a$ は4の倍数($a = 4, 8, 12, \dots$)である。 $a \ge 8$ とすると、$c \ge 1$ であるため $a + c \ge 9$ となり、$a + c < 6$ を満たさない。 したがって、$a = 4$ に確定する。

$a = 4$ を $0 < a + c < 6$ に代入すると、

$$ 4 < 4 + c < 6 $$

$$ 0 < c < 2 $$

$c$ は正の整数であるから、$c = 1$ に確定する。

以上より、$a = 4, c = 1$ であり、これは $a + 4c = 4 + 4 = 8$ となり、条件4も満たしている。

よって、求める多項式は $P(x) = 4x^3 + x$ である。

解説

多項式の決定問題の典型的な構成である。各条件から得られる情報を整理して係数の条件に帰着させるのが定石である。 「原点に関して対称」から偶数次の項が消去でき、「極値をもたない」から微分の判別式を利用し、「重根をもたない」から因数分解された形での解の重複を考える。さらに「特定の値で整数」「値の範囲」といった条件から、整数問題として係数を絞り込む。 特に条件3の解釈において、導関数 $P'(x)$ の符号が常に変化しないこと、すなわち $x^2$ の係数と定数項の符号が一致する(または定数項が0)という点に気づき、それを条件2と適切に組み合わせられるかが重要である。

答え

$$ P(x) = 4x^3 + x $$

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