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東京大学 1982年 理系 第5問 解説

数学3/積分法数学1/立体図形テーマ/面積・体積
東京大学 1982年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた不等式から積分領域を把握し、立体の体積を重積分として立式する。 変数の範囲が、$y$ は定数区間、$x$ は $y$ に依存、$z$ は $x, y$ に依存して与えられているため、$z \to x \to y$ の順で逐次積分を行う方針をとる。 計算の際は、被積分関数となる $z$ の上限が、積分領域内で常に非負であることを確認してから進める。

解法1

立体の体積を $V$ とする。 与えられた不等式は以下の通りである。

$$ 0 \leqq z \leqq 1 + x + y - 3(x - y)y $$

$$ 0 \leqq y \leqq 1 $$

$$ y \leqq x \leqq y + 1 $$

$xy$ 平面上の領域 $D$ を、$D = \{ (x, y) \mid 0 \leqq y \leqq 1, y \leqq x \leqq y + 1 \}$ とおく。 領域 $D$ において、$z$ の上限を表す関数 $f(x, y) = 1 + x + y - 3(x - y)y$ が常に非負であることを確認する。 $x - y = t$ とおくと、領域 $D$ において $t$ の取りうる値の範囲は $0 \leqq t \leqq 1$ である。 このとき、$x = t + y$ であるから、$f(x, y)$ は $t$ と $y$ を用いて次のように表せる。

$$ f(x, y) = 1 + (t + y) + y - 3ty = (1 - 3y)t + 1 + 2y $$

$0 \leqq y \leqq 1$ であるから、 $t = 0$ のとき、 $f(x, y) = 1 + 2y \geqq 1 > 0$ $t = 1$ のとき、 $f(x, y) = 1 - 3y + 1 + 2y = 2 - y \geqq 1 > 0$ $f(x, y)$ は $t$ の1次関数であるため、$0 \leqq t \leqq 1$ の範囲において両端点で正ならば常に正の値をとる。 したがって、与えられた立体は領域 $D$ 上において $xy$ 平面の上側にあり、その体積 $V$ は次のように2重積分で表される。

$$ V = \iint_{D} \{ 1 + x + y - 3(x - y)y \} dx dy $$

これを累次積分により計算する。

$$ V = \int_{0}^{1} dy \int_{y}^{y+1} \{ 1 + x + y - 3(x - y)y \} dx $$

内側の $x$ についての積分を計算する。ここで、$x - y = t$ と置換すると $dx = dt$ であり、積分区間は $t=0$ から $t=1$ となる。

$$ \int_{y}^{y+1} \{ 1 + x + y - 3(x - y)y \} dx = \int_{0}^{1} \{ 1 + (t + y) + y - 3ty \} dt $$

$$ = \int_{0}^{1} \{ (1 - 3y)t + 1 + 2y \} dt $$

$$ = \left[ \frac{1 - 3y}{2} t^2 + (1 + 2y)t \right]_{0}^{1} $$

$$ = \frac{1 - 3y}{2} + 1 + 2y $$

$$ = \frac{1}{2} y + \frac{3}{2} $$

次に、これを $y$ について $0$ から $1$ まで積分する。

$$ V = \int_{0}^{1} \left( \frac{1}{2} y + \frac{3}{2} \right) dy $$

$$ = \left[ \frac{1}{4} y^2 + \frac{3}{2} y \right]_{0}^{1} $$

$$ = \frac{1}{4} + \frac{3}{2} $$

$$ = \frac{7}{4} $$

解説

空間図形の体積を求める基本的な重積分の問題である。 各変数のとりうる範囲が $y$ → $x$ → $z$ の順で依存しているため、その逆の $z$ → $x$ → $y$ の順に積分を実行していくとスムーズに計算できる。 本問では $x$ の積分範囲が $y \leqq x \leqq y+1$ となっており、被積分関数にも $x-y$ という塊が含まれている。そのため、$x$ でそのまま積分を展開するよりも、$x-y=t$ と置換することで積分計算が大幅に簡略化され、計算ミスを防ぐことができる。 また、厳密には体積の立式の前に、$z \geqq 0$ の条件を満たすために「$z$ の上限式が積分領域内で非負であること」を確認しておくのが論理的な解答として望ましい。

答え

$$ \frac{7}{4} $$

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