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東京大学 1997年 理系 第5問 解説

数学3/積分法数学2/図形と式テーマ/面積・体積テーマ/定積分計算
東京大学 1997年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた不等式 $y^2 \leqq x^2(1 - x^2) - a$ から領域の存在条件を求め、領域の概形を把握する。 この不等式から、領域は $x$ 軸および $y$ 軸に関して対称であることがわかる。したがって、$x \geqq 0$ かつ $y \geqq 0$ の部分を考え、その体積を構成すればよい。

$y$ 軸まわりの回転体の体積を求めるため、以下の2つの手法のいずれかを用いる。

  1. バウムクーヘン積分(円筒殻法)を利用し、$x$ 軸に垂直な線分を回転させた円柱の側面積を $x$ 方向に積分する。
  2. $y$ 軸に垂直な平面で領域を切断し、その断面である円環の面積を $y$ 方向に積分する。

解法1

不等式 $y^2 \leqq -x^4 + x^2 - a$ が実数 $y$ をもつための条件は、$-x^4 + x^2 - a \geqq 0$ である。 $X = x^2$ とおくと、$X \geqq 0$ であり、不等式は

$$ X^2 - X + a \leqq 0 $$

となる。$0 < a < \frac{1}{4}$ より、2次方程式 $X^2 - X + a = 0$ の判別式 $D = 1 - 4a$ は正となるため、この方程式は相異なる2つの正の実数解をもつ。 それらを $\alpha, \beta$ ($0 < \alpha < \beta$)とすると、解と係数の関係より

$$ \begin{cases} \alpha + \beta = 1 \\ \alpha\beta = a \end{cases} $$

が成り立つ。$X$ のとり得る範囲は $\alpha \leqq X \leqq \beta$ であり、$x \geqq 0$ における $x$ の範囲は $\sqrt{\alpha} \leqq x \leqq \sqrt{\beta}$ となる。

この範囲において、領域の $y \geqq 0$ の部分は $0 \leqq y \leqq \sqrt{-x^4 + x^2 - a}$ であり、$x$ 軸に関して対称な図形であるため、上下の幅は $2\sqrt{-x^4 + x^2 - a}$ となる。 バウムクーヘン積分(円筒殻法)を用いて $y$ 軸まわりの回転体の体積 $V$ を求めると、

$$ V = 2\pi \int_{\sqrt{\alpha}}^{\sqrt{\beta}} x \cdot 2\sqrt{-x^4 + x^2 - a} \, dx = 4\pi \int_{\sqrt{\alpha}}^{\sqrt{\beta}} x \sqrt{-x^4 + x^2 - a} \, dx $$

ここで、$X = x^2$ と置換する。$dX = 2x \, dx$ より $x \, dx = \frac{1}{2} \, dX$ となり、積分区間は $\alpha$ から $\beta$ へと変わる。

$$ V = 4\pi \int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{-X^2 + X - a} \cdot \frac{1}{2} \, dX = 2\pi \int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{-(X - \alpha)(X - \beta)} \, dX $$

定積分 $\int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{-(X - \alpha)(X - \beta)} \, dX$ は、直径が $\beta - \alpha$、すなわち半径が $\frac{\beta - \alpha}{2}$ の半円の面積を表すため、

$$ \int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{-(X - \alpha)(X - \beta)} \, dX = \frac{1}{2} \pi \left( \frac{\beta - \alpha}{2} \right)^2 = \frac{\pi}{8} (\beta - \alpha)^2 $$

となる。ここで、$(\beta - \alpha)^2$ は解と係数の関係を用いて次のように計算できる。

$$ (\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = 1^2 - 4a = 1 - 4a $$

したがって、求める体積 $V$ は

$$ V = 2\pi \cdot \frac{\pi}{8} (1 - 4a) = \frac{\pi^2}{4}(1 - 4a) $$

となる。

解法2

領域を $y$ 軸に垂直な平面で切断する。 不等式 $y^2 \leqq x^2(1 - x^2) - a$ は、次のように変形できる。

$$ x^4 - x^2 + y^2 + a \leqq 0 $$

$X = x^2$ とおくと、

$$ X^2 - X + y^2 + a \leqq 0 $$

この $X$ についての2次不等式が解をもつための条件は、方程式 $X^2 - X + y^2 + a = 0$ の判別式 $D$ が $D \geqq 0$ となることである。

$$ D = 1 - 4(y^2 + a) \geqq 0 $$

これを整理すると、

$$ y^2 \leqq \frac{1 - 4a}{4} $$

$0 < a < \frac{1}{4}$ より $1 - 4a > 0$ であるから、$y$ の存在範囲は $-\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2} \leqq y \leqq \frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}$ となる。

この条件を満たす $y$ を固定したとき、$X$ のとり得る範囲は

$$ \frac{1 - \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2} \leqq X \leqq \frac{1 + \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2} $$

となる。$y^2 + a > 0$ より左辺は正であるため、$x \geqq 0$ における $x$ の範囲は

$$ \sqrt{\frac{1 - \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2}} \leqq x \leqq \sqrt{\frac{1 + \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2}} $$

となる。この領域を $y$ 軸まわりに回転させたときの断面は、外径を $x_2$、内径を $x_1$ とする円環となる。 その断面積 $S(y)$ は

$$ \begin{aligned} S(y) &= \pi x_2^2 - \pi x_1^2 \\ &= \pi \left( \frac{1 + \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2} - \frac{1 - \sqrt{1 - 4a - 4y^2}}{2} \right) \\ &= \pi \sqrt{1 - 4a - 4y^2} \end{aligned} $$

となる。これを変形すると

$$ S(y) = 2\pi \sqrt{\frac{1 - 4a}{4} - y^2} $$

となる。これを $y$ の存在範囲で積分して体積 $V$ を求める。

$$ V = \int_{-\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}}^{\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}} S(y) \, dy = 2\pi \int_{-\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}}^{\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}} \sqrt{\frac{1 - 4a}{4} - y^2} \, dy $$

この定積分は、半径 $r = \frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}$ の半円の面積を表す。

$$ \int_{-\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}}^{\frac{\sqrt{1 - 4a}}{2}} \sqrt{\frac{1 - 4a}{4} - y^2} \, dy = \frac{1}{2} \pi \left( \frac{\sqrt{1 - 4a}}{2} \right)^2 = \frac{\pi}{8} (1 - 4a) $$

したがって、求める体積 $V$ は

$$ V = 2\pi \cdot \frac{\pi}{8} (1 - 4a) = \frac{\pi^2}{4}(1 - 4a) $$

となる。

解説

回転体の体積を求めるにあたり、設定の捉え方で計算量に差が出る典型的な問題である。

解法1で用いた円筒殻法(バウムクーヘン積分)は、$y$ 軸まわりの回転体において $x$ 積分をそのまま利用できるため、立式が簡明である。さらに、$x^2=X$ と置換することで根号の中身が2次式になり、$\int \sqrt{(\beta-X)(X-\alpha)} \, dX$ という円の面積の一部を表す見慣れた形に帰着できる点が最大のポイントである。

解法2は原則通りに $y$ 軸に垂直な平面で切断する方法である。方程式を $x^2$ について解くことで円環の断面積を素早く求めることができ、こちらも結果的に円の面積の定積分に帰着する。どちらの解法も図形的な意味を理解していると、複雑な積分計算を回避して完答にたどり着くことができる。

答え

$$ V = \frac{\pi^2}{4}(1 - 4a) $$

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