東京大学 2010年 理系 第4問 解説

方針・初手
曲線 $C$ の方程式は根号を含んでおり、そのままでは扱いづらいため、式の変形を行って特徴を掴む。両辺から $\frac{1}{2}x$ を引いて2乗することで、$x$ と $y$ の関係式(陰関数)を導出する。
(1) では、求めた関係式を用いて底辺と高さを数式で表し、面積が定数になることを示す。 (2) では、求める面積を定積分で表す。その際、(1) で求めた $y$ と $x$ の関係式から $x$ を $y$ の関数として表し、$x$ 方向の積分を部分積分を用いて $y$ 方向の積分に変換することで計算を簡略化する。
解法1
(1)
点 $P_i(x_i, y_i)$ は曲線 $C$ 上の点であるから、
$$ y_i = \frac{1}{2}x_i + \sqrt{\frac{1}{4}x_i^2 + 2} $$
が成り立つ。ここで、$\sqrt{\frac{1}{4}x_i^2 + 2} > \sqrt{\frac{1}{4}x_i^2} = \frac{1}{2}|x_i|$ であるため、
$$ y_i > \frac{1}{2}x_i + \frac{1}{2}|x_i| \geqq 0 $$
よって、$y_i > 0$ である。
元の式の両辺から $\frac{1}{2}x_i$ を引くと、
$$ y_i - \frac{1}{2}x_i = \sqrt{\frac{1}{4}x_i^2 + 2} $$
両辺を2乗して整理する。
$$ \left( y_i - \frac{1}{2}x_i \right)^2 = \frac{1}{4}x_i^2 + 2 $$
$$ y_i^2 - x_i y_i + \frac{1}{4}x_i^2 = \frac{1}{4}x_i^2 + 2 $$
$$ y_i^2 - x_i y_i = 2 $$
$$ y_i(y_i - x_i) = 2 $$
点 $P_i(x_i, y_i)$ を通り $x$ 軸に平行な直線の方程式は $y = y_i$ である。これと直線 $y = x$ との交点 $H_i$ の座標は $(y_i, y_i)$ となる。
$\triangle OP_iH_i$ において、線分 $P_iH_i$ を底辺とみると、その長さは $|y_i - x_i|$ である。また、直線 $P_iH_i$ は $x$ 軸に平行であり、原点 $O$ から直線 $P_iH_i$ までの距離(高さ)は $y_i$ ($>0$) である。
したがって、$\triangle OP_iH_i$ の面積 $S_i$ は、
$$ S_i = \frac{1}{2} \times |y_i - x_i| \times y_i = \frac{1}{2} |y_i(y_i - x_i)| $$
ここで、$y_i(y_i - x_i) = 2 > 0$ であるから、絶対値記号を外して代入すると、
$$ S_i = \frac{1}{2} \times 2 = 1 $$
これは $i$ の値によらず一定である。よって、$\triangle OP_1H_1$ と $\triangle OP_2H_2$ の面積は等しい。
(2)
(1) で得られた関係式より、曲線 $C$ 上の点 $(x, y)$ は $y(y - x) = 2$ かつ $y > 0$ を満たす。これを $x$ について解くと、
$$ x = y - \frac{2}{y} $$
となる。$f(y) = y - \frac{2}{y}$ とおくと、$y > 0$ において $f'(y) = 1 + \frac{2}{y^2} > 0$ であるから、$x$ は $y$ の単調増加関数である。したがって、$x_1 < x_2$ のとき $y_1 < y_2$ が成り立つ。
曲線 $C$ と $x$ 軸、および2直線 $x = x_1$, $x = x_2$ で囲まれる領域の面積は $\int_{x_1}^{x_2} y \,dx$ である。 求める面積 $S$ は、この領域の面積から、原点 $O$、$(x_2, 0)$、$P_2(x_2, y_2)$ を頂点とする三角形の面積を引き、原点 $O$、$(x_1, 0)$、$P_1(x_1, y_1)$ を頂点とする三角形の面積を加えたものとして表されるため、
$$ S = \int_{x_1}^{x_2} y \,dx - \frac{1}{2}x_2y_2 + \frac{1}{2}x_1y_1 $$
となる。(この式は $x_1, x_2$ の正負にかかわらず成立する)
ここで部分積分法を用いると、
$$ \int_{x_1}^{x_2} y \,dx = \Big[ xy \Big]_{x_1}^{x_2} - \int_{y_1}^{y_2} x \,dy = x_2y_2 - x_1y_1 - \int_{y_1}^{y_2} x \,dy $$
これを $S$ の式に代入して整理する。
$$ S = \left( x_2y_2 - x_1y_1 - \int_{y_1}^{y_2} x \,dy \right) - \frac{1}{2}x_2y_2 + \frac{1}{2}x_1y_1 $$
$$ S = \frac{1}{2}x_2y_2 - \frac{1}{2}x_1y_1 - \int_{y_1}^{y_2} x \,dy $$
右辺の定積分を計算する。
$$ \int_{y_1}^{y_2} x \,dy = \int_{y_1}^{y_2} \left( y - \frac{2}{y} \right) \,dy = \left[ \frac{1}{2}y^2 - 2 \log y \right]_{y_1}^{y_2} $$
$$ = \frac{1}{2}y_2^2 - \frac{1}{2}y_1^2 - 2 \log y_2 + 2 \log y_1 $$
また、$x_i = y_i - \frac{2}{y_i}$ ($i=1, 2$) より、
$$ \frac{1}{2}x_i y_i = \frac{1}{2} \left( y_i - \frac{2}{y_i} \right) y_i = \frac{1}{2}y_i^2 - 1 $$
これらを $S$ の式に代入する。
$$ S = \left( \frac{1}{2}y_2^2 - 1 \right) - \left( \frac{1}{2}y_1^2 - 1 \right) - \left( \frac{1}{2}y_2^2 - \frac{1}{2}y_1^2 - 2 \log y_2 + 2 \log y_1 \right) $$
$$ S = 2 \log y_2 - 2 \log y_1 $$
$$ S = 2 \log \frac{y_2}{y_1} $$
解説
双曲線を回転させたような無理関数のグラフに関する問題である。そのまま $x$ について積分しようとすると置換積分等の煩雑な計算が要求されるが、関係式を $x = g(y)$ の形に直すことで計算量が大幅に削減される。
(2) で用いた $\int_{x_1}^{x_2} y \,dx + \int_{y_1}^{y_2} x \,dy = x_2y_2 - x_1y_1$ という関係式は、長方形の面積の差として図形的に理解することもできる。原点と曲線を結ぶ動径が掃く面積を求める際によく利用される典型的な処理であるため、部分積分の形として確実に使いこなせるようにしておきたい。
答え
(1)
$\triangle OP_1H_1$ と $\triangle OP_2H_2$ の面積は等しく、どちらも $1$ である。
(2)
$2 \log \frac{y_2}{y_1}$
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