東京大学 1966年 理系 第4問 解説

方針・初手
方程式の根を、2つの関数 $y = \frac{x}{9}$ と $y = \sin \frac{\pi x}{6}$ のグラフの交点の $x$ 座標として捉える。$\sin$ の取りうる値の範囲から根の存在範囲を大まかに絞り込んだ後、具体的な値を代入して中間値の定理を用い、最大の根がどの2つの整数(あるいは半整数)の間にあるかを特定する。
解法1
$f(x) = \frac{x}{9} - \sin \frac{\pi x}{6}$ とする。 求めるものは、方程式 $f(x) = 0$ の最大の根に最も近い整数である。
$f(x)$ について、$f(-x)$ を計算すると以下のようになる。
$$ f(-x) = \frac{-x}{9} - \sin \left(-\frac{\pi x}{6}\right) = -\left(\frac{x}{9} - \sin \frac{\pi x}{6}\right) = -f(x) $$
よって、$f(x)$ は奇関数である。したがって、正の根が存在すれば、そのうち最大のものが方程式全体の最大の根となるため、以下では $x > 0$ の範囲について考える。
まず、$x > 0$ における根の存在範囲を絞り込む。 常に $\sin \frac{\pi x}{6} \leqq 1$ であるから、$f(x) = 0$ が成り立つためには $\frac{x}{9} \leqq 1$、すなわち $x \leqq 9$ であることが必要である。よって、$x > 9$ の範囲に根は存在しない。
また、$6 \leqq x \leqq 9$ のとき、角度 $\frac{\pi x}{6}$ は $\pi \leqq \frac{\pi x}{6} \leqq \frac{3}{2}\pi$ の範囲にあるため、$\sin \frac{\pi x}{6} \leqq 0$ となる。 このとき、$\frac{x}{9} > 0$ であるから $f(x) > 0$ となり、この区間にも根は存在しない。 したがって、正の根が存在するとすれば $0 < x < 6$ の範囲に限られる。
次に、区間 $(0, 6)$ において方程式 $f(x) = 0$ の根を調べる。 $x = 4$ のとき、
$$ f(4) = \frac{4}{9} - \sin \frac{2\pi}{3} = \frac{4}{9} - \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{8 - 9\sqrt{3}}{18} $$
ここで、$1.7 < \sqrt{3}$ より $9\sqrt{3} > 15.3$ であるから、$8 - 9\sqrt{3} < 0$ となり、$f(4) < 0$ であることがわかる。 $x = 5$ のとき、
$$ f(5) = \frac{5}{9} - \sin \frac{5\pi}{6} = \frac{5}{9} - \frac{1}{2} = \frac{1}{18} $$
よって、$f(5) > 0$ である。 関数 $f(x)$ は連続であるから、中間値の定理により $4 < x < 5$ の範囲に少なくとも1つの根が存在する。これが方程式の最大の根 $\alpha$ となる。
さらに、$\alpha$ に最も近い整数を求めるために、区間 $(4, 5)$ の中点である $x = 4.5 = \frac{9}{2}$ における $f(x)$ の符号を調べる。
$$ f\left(\frac{9}{2}\right) = \frac{1}{9} \cdot \frac{9}{2} - \sin \left(\frac{\pi}{6} \cdot \frac{9}{2}\right) = \frac{1}{2} - \sin \frac{3\pi}{4} = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{2}}{2} = \frac{1 - \sqrt{2}}{2} $$
$\sqrt{2} > 1$ より $1 - \sqrt{2} < 0$ であるから、$f(4.5) < 0$ となる。
$f(4.5) < 0$ かつ $f(5) > 0$ であるから、中間値の定理より最大の根 $\alpha$ は $4.5 < \alpha < 5$ の範囲に存在する。 したがって、$\alpha$ に最も近い整数は $5$ である。
解説
超越方程式(多項式ではない方程式)の解を直接求めることが困難な場合は、グラフの交点として視覚的に捉え、中間値の定理を用いて解の存在範囲を絞り込むのが定石の解法である。 本問では「もっとも近い整数」を求めればよいため、解の正確な値は不要である。解が整数の間の中点(今回は $4.5$)より大きいか小さいかを判定できれば結論が出る。 $y = \sin \frac{\pi x}{6}$ のグラフの凹凸と直線 $y = \frac{x}{9}$ の関係から交点が1つであることを微分等を用いて厳密に示すことも可能だが、最大の根の存在区間を特定するだけであれば、上記のような具体的な代入計算による絞り込みで十分かつ簡潔に解答できる。
答え
5
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