北海道大学 1986年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は導関数を求め、関数が単調増加または一定となる条件、すなわち $f'(x) \geqq 0$ を満たす区間を求める。 (2) は (1) の結果を用いて、指定された区間内で関数が単調増加することを確認する。そのうえで、区間の両端の値を評価し、その間に含まれる整数の個数を数え上げる。端点の値の整数部分を把握するために、連続する整数の積の性質を利用する。後半は部分分数分解による和の計算である。
解法1
(1)
与えられた関数は、
$$ f(x) = x^3 - x + \frac{2}{3} $$
これを $x$ で微分すると、
$$ f'(x) = 3x^2 - 1 $$
$f(x)$ が減少しないための条件は、$f'(x) \geqq 0$ であるから、
$$ 3x^2 - 1 \geqq 0 $$
これを解いて、
$$ x \leqq -\frac{1}{\sqrt{3}}, \quad \frac{1}{\sqrt{3}} \leqq x $$
(2)
$n$ は正の整数であるから、$n \geqq 1$ である。 (1) の結果より、$x \geqq \frac{1}{\sqrt{3}}$ の範囲において $f(x)$ は単調に増加する。 したがって、$n \leqq x < n+1$ の範囲において $f(x)$ は単調増加関数である。
この区間における $f(x)$ の取りうる値の範囲は、
$$ f(n) \leqq f(x) < f(n+1) $$
となる。ここで区間の左端 $f(n)$ について調べると、
$$ f(n) = n^3 - n + \frac{2}{3} = (n-1)n(n+1) + \frac{2}{3} $$
$(n-1)n(n+1)$ は連続する $3$ つの整数の積であるから、$3$ の倍数であり、当然整数である。これを整数 $M$ とおく。
同様に、区間の右端 $f(n+1)$ についても、
$$ f(n+1) = (n+1)^3 - (n+1) + \frac{2}{3} $$
であり、$(n+1)^3 - (n+1) = n(n+1)(n+2)$ は連続する $3$ つの整数の積なので整数である。これを整数 $N$ とおく。
すなわち、区間内の $f(x)$ の値域は、
$$ M + \frac{2}{3} \leqq f(x) < N + \frac{2}{3} $$
となる。この範囲に含まれる整数の値を $k$ とすると、
$$ M + \frac{2}{3} \leqq k < N + \frac{2}{3} $$
$M, N, k$ はすべて整数であるから、この不等式を満たす整数 $k$ の範囲は、
$$ M + 1 \leqq k \leqq N $$
となる。したがって、そのような整数 $k$ の個数 $a_n$ は、
$$ \begin{aligned} a_n &= N - (M + 1) + 1 \\ &= N - M \\ &= \{(n+1)^3 - (n+1)\} - (n^3 - n) \\ &= (n^3 + 3n^2 + 3n + 1 - n - 1) - (n^3 - n) \\ &= 3n^2 + 3n \\ &= 3n(n+1) \end{aligned} $$
となる。
次に、求める和は部分分数分解を用いて計算できる。
$$ \begin{aligned} \sum_{k=1}^n \frac{1}{a_k} &= \sum_{k=1}^n \frac{1}{3k(k+1)} \\ &= \frac{1}{3} \sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{k} - \frac{1}{k+1} \right) \\ &= \frac{1}{3} \left\{ \left(1 - \frac{1}{2}\right) + \left(\frac{1}{2} - \frac{1}{3}\right) + \dots + \left(\frac{1}{n} - \frac{1}{n+1}\right) \right\} \\ &= \frac{1}{3} \left( 1 - \frac{1}{n+1} \right) \\ &= \frac{n}{3(n+1)} \end{aligned} $$
解説
「減少しない」という条件は $f'(x) \geqq 0$ と処理する。極値をもたない場合や定数となる場合を含めるため、$f'(x) > 0$ としないように注意が必要である。 (2) では、考察する区間で関数が単調増加であることを必ず言及する必要がある。これにより、関数の取りうる値の範囲が区間の両端の値だけで定まる。また、「整数の個数」を数える際には、端点の値の整数部分と小数部分を分離することが有効であり、本問では $n^3-n$ が連続する $3$ 整数の積となり整数になる事実を活用している。後半は部分分数分解を用いた典型的な和の計算に帰着する。
答え
(1) $x \leqq -\frac{1}{\sqrt{3}}, \quad \frac{1}{\sqrt{3}} \leqq x$
(2) $a_n = 3n(n+1)$, $\displaystyle \sum_{k=1}^n \frac{1}{a_k} = \frac{n}{3(n+1)}$
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