北海道大学 1972年 理系 第5問 解説

方針・初手
関数 $y = x^n e^{-x^2}$ の導関数を求め、極値をもつための条件である「導関数 $y'$ の符号変化」を調べる。$n$ は整数であるため、$n$ の正負や偶奇によって関数の定義域および $y'$ の符号変化の様子が変わることに注意し、適切に場合分けを行う。
解法1
与えられた関数 $y = x^n e^{-x^2}$ を $x$ について微分すると、
$$ y' = n x^{n-1} e^{-x^2} + x^n e^{-x^2} \cdot (-2x) = x^{n-1} (n - 2x^2) e^{-x^2} $$
となる。
(1) $n < 0$ のとき、$n$ は負の整数である。このとき $x^n = \frac{1}{x^{-n}}$ となり、分母が $0$ になる $x=0$ は関数の定義域に含まれない。すなわち、$x \neq 0$ である。 このとき、常に $e^{-x^2} > 0$ であり、$x \neq 0$ より $x^2 > 0$ である。 $n < 0$ であるから、
$$ n - 2x^2 < 0 $$
となる。 したがって、$y'=0$ を満たす実数 $x$ は存在しない。 関数が極値をとるためには、その点で $y'=0$ となり、かつその前後で $y'$ の符号が変化する必要があるが、$y'=0$ となる点が存在しないため、$y$ は極値をとらない。
(2) $y$ が $x=0$ で極値をとるためには、$x=0$ が定義域に含まれていなければならないため、$n \ge 0$ が必要である。
(i) $n=0$ のとき $y = e^{-x^2}$ となり、$x=0$ も定義域に含まれる。導関数は、
$$ y' = -2x e^{-x^2} $$
となる。 $x < 0$ のとき $y' > 0$ であり、$x > 0$ のとき $y' < 0$ となるため、$x=0$ の前後で $y'$ は正から負へと変化する。 よって、$x=0$ で極大値をとる。これは条件を満たす。
(ii) $n > 0$ のとき $y' = x^{n-1} (n - 2x^2) e^{-x^2}$ である。 $x=0$ に十分近いところでは $x^2 < \frac{n}{2}$ が成り立つため $n - 2x^2 > 0$ であり、また常に $e^{-x^2} > 0$ である。 したがって、$x=0$ の前後での $y'$ の符号変化は、$x^{n-1}$ の符号変化と一致する。
$n$ が奇数のとき、$n-1$ は偶数となるため、$x \neq 0$ において常に $x^{n-1} > 0$ である。 よって $x=0$ の前後で $y'$ の符号は正のままで変化せず、極値をとらない。
$n$ が偶数のとき、$n-1$ は奇数となるため、$x<0$ で $x^{n-1} < 0$、$x>0$ で $x^{n-1} > 0$ である。 よって $x=0$ の前後で $y'$ の符号は負から正へと変化するため、極小値をとる。極大値ではない。
以上から、$y$ が $x=0$ で極大値をとるような $n$ の値は $n=0$ のみである。
(3) (2) の議論より、$y$ が $x=0$ で極小値をとるのは、$n > 0$ かつ $n$ が偶数のときである。 このとき、導関数は以下のように変形できる。
$$ y' = -2 x^{n-1} \left(x^2 - \frac{n}{2}\right) e^{-x^2} = -2 x^{n-1} \left(x + \sqrt{\frac{n}{2}}\right)\left(x - \sqrt{\frac{n}{2}}\right) e^{-x^2} $$
$y'=0$ となるのは $x = 0, \pm\sqrt{\frac{n}{2}}$ のときである。 $n$ は正の偶数であるから $n-1$ は奇数であり、$x^{n-1}$ は $x$ と同符号である。 導関数の符号を調べると、以下のようになる。
- $x < -\sqrt{\frac{n}{2}}$ のとき、$x^{n-1} < 0$, $x^2 - \frac{n}{2} > 0$ より $y' > 0$
- $-\sqrt{\frac{n}{2}} < x < 0$ のとき、$x^{n-1} < 0$, $x^2 - \frac{n}{2} < 0$ より $y' < 0$
- $0 < x < \sqrt{\frac{n}{2}}$ のとき、$x^{n-1} > 0$, $x^2 - \frac{n}{2} < 0$ より $y' > 0$
- $x > \sqrt{\frac{n}{2}}$ のとき、$x^{n-1} > 0$, $x^2 - \frac{n}{2} > 0$ より $y' < 0$
したがって、$y$ は $x = \pm\sqrt{\frac{n}{2}}$ で極大値をとる。 $n$ は偶数であるため、その値は、
$$ y = \left( \pm\sqrt{\frac{n}{2}} \right)^n e^{-\left(\pm\sqrt{\frac{n}{2}}\right)^2} = \left( \frac{n}{2} \right)^{\frac{n}{2}} e^{-\frac{n}{2}} = \left( \frac{n}{2e} \right)^{\frac{n}{2}} $$
となる。
解説
微分法を用いて関数の極値を調べる問題である。$n$ の値(正負や偶奇)によって定義域と $y'$ の符号変化が変わるため、丁寧な場合分けが求められる。特に $x=0$ での振る舞いについて、$x^{n-1}$ の次数から符号変化を判定する部分が重要である。極値をとるための必要条件である $y'=0$ だけでなく、その前後で符号が実際に変化するかどうかを必ず確認することがポイントとなる。
答え
(1) 略(解答の通り) (2) $n=0$ (3) $\left( \frac{n}{2e} \right)^{\frac{n}{2}}$
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