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北海道大学 1977年 理系 第5問 解説

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北海道大学 1977年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) は不等式が常に成り立つような定数 $a$ の範囲を求める問題であり、定数分離の考え方を用いて $a \leqq \frac{e^x}{x^2}$ と変形し、右辺の関数の最小値を求めるのが定石である。

(2) は変数分離形の微分方程式である。両辺を積分して $f(x)$ を求め、極限の条件から積分定数を決定する。このとき、$x>0$ の範囲と $x<0$ の範囲で積分定数が異なり得ることに注意する。

(3) は導関数の極限ではなく、「微分係数の定義」に従って極限を計算する。(1)で得た不等式を利用して、はさみうちの原理に持ち込む。

解法1

(1)

$x > 0$ のとき、$e^x \geqq ax^2$ は両辺を $x^2$ で割ることで

$$ a \leqq \frac{e^x}{x^2} $$

と変形できる。

$g(x) = \frac{e^x}{x^2}$ ($x > 0$) とおく。$g(x)$ を微分すると

$$ g'(x) = \frac{e^x \cdot x^2 - e^x \cdot 2x}{(x^2)^2} = \frac{e^x(x-2)}{x^3} $$

となる。$x > 0$ において $g'(x) = 0$ となるのは $x = 2$ のときである。

$x > 0$ における $g(x)$ の増減を調べると、$0 < x < 2$ のとき $g'(x) < 0$、$x = 2$ のとき $g'(x) = 0$、$x > 2$ のとき $g'(x) > 0$ となる。 したがって、$g(x)$ は $x = 2$ で極小かつ最小となり、最小値は $g(2) = \frac{e^2}{4}$ である。

すべての正数 $x$ について $g(x) \geqq a$ が成り立つための条件は、$(g(x) \text{の最小値}) \geqq a$ となることであるから

$$ a \leqq \frac{e^2}{4} $$

である。

(2)

$x \neq 0$ のとき、与えられた等式の両辺を $x$ で積分すると

$$ \int \frac{f'(x)}{f(x)} \, dx = \int \frac{2}{x^3} \, dx $$

$$ \log |f(x)| = -\frac{1}{x^2} + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$

となる。したがって

$$ |f(x)| = e^{-\frac{1}{x^2}+C} = e^C e^{-\frac{1}{x^2}} $$

$$ f(x) = \pm e^C e^{-\frac{1}{x^2}} $$

と表せる。ここで、区間 $x > 0$ と $x < 0$ は連続ではないため、それぞれで積分定数が異なる可能性がある。0でない定数 $A_1, A_2$ を用いて次のように表す。

$$ f(x) = \begin{cases} A_1 e^{-\frac{1}{x^2}} & (x > 0) \\ A_2 e^{-\frac{1}{x^2}} & (x < 0) \end{cases} $$

極限の条件 $\lim_{x \to +\infty} f(x) = 1$ について考える。$x \to +\infty$ のとき $-\frac{1}{x^2} \to 0$ であるから、$e^{-\frac{1}{x^2}} \to 1$ となる。 ゆえに

$$ \lim_{x \to +\infty} f(x) = A_1 \cdot 1 = A_1 $$

となり、$A_1 = 1$ を得る。

同様に、$\lim_{x \to -\infty} f(x) = 1$ についても、$x \to -\infty$ のとき $-\frac{1}{x^2} \to 0$ であるから

$$ \lim_{x \to -\infty} f(x) = A_2 \cdot 1 = A_2 $$

となり、$A_2 = 1$ を得る。

したがって、$x \neq 0$ のとき $f(x) = e^{-\frac{1}{x^2}}$ である。

(3)

$x=0$ における微分係数 $f'(0)$ は、定義より

$$ f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(0+h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{f(h)}{h} $$

である。$h \to 0$ の極限を考えるので $h \neq 0$ としてよく、(2)の結果より $f(h) = e^{-\frac{1}{h^2}}$ となる。すなわち

$$ f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} e^{-\frac{1}{h^2}} $$

を求めればよい。

(1)より、$a = \frac{e^2}{4}$ は $a \leqq \frac{e^2}{4}$ を満たすので、すべての正数 $x$ について

$$ e^x \geqq \frac{e^2}{4} x^2 $$

が成り立つ。

$h \neq 0$ のとき $\frac{1}{h^2} > 0$ であるから、この不等式に $x = \frac{1}{h^2}$ を代入すると

$$ e^{\frac{1}{h^2}} \geqq \frac{e^2}{4} \left( \frac{1}{h^2} \right)^2 = \frac{e^2}{4h^4} > 0 $$

が成り立つ。両辺の逆数をとると

$$ 0 < e^{-\frac{1}{h^2}} \leqq \frac{4}{e^2} h^4 $$

となる。各辺に $\frac{1}{|h|} (> 0)$ を掛けると

$$ 0 < \frac{1}{|h|} e^{-\frac{1}{h^2}} \leqq \frac{4}{e^2} |h|^3 $$

を得る。$h \to 0$ のとき $\frac{4}{e^2} |h|^3 \to 0$ であるから、はさみうちの原理により

$$ \lim_{h \to 0} \frac{1}{|h|} e^{-\frac{1}{h^2}} = 0 $$

となる。

$$ -\frac{1}{|h|} e^{-\frac{1}{h^2}} \leqq \frac{1}{h} e^{-\frac{1}{h^2}} \leqq \frac{1}{|h|} e^{-\frac{1}{h^2}} $$

が成り立つことと併せて

$$ \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} e^{-\frac{1}{h^2}} = 0 $$

が得られる。

したがって、$f'(0) = 0$ である。

解説

(2)の微分方程式 $\frac{f'(x)}{f(x)} = \frac{2}{x^3}$ において、定積分を行う際に $x>0$ と $x<0$ で積分定数が異なり得る点に注意が必要である。今回のように両側の極限が与えられていることで、それぞれの定数が決定できる。

(3)では、極限 $\lim_{h \to 0} \frac{1}{h} e^{-\frac{1}{h^2}}$ を求める際に、そのままでは不定形となる。これを解消するために、(1)で示した不等式 $e^x \geqq ax^2$ を利用する発想が重要である。指数関数が多項式よりも早く発散するという性質を、与えられた不等式を用いて厳密に評価し、はさみうちの原理につなげている。

答え

(1) $a \leqq \frac{e^2}{4}$

(2) $f(x) = e^{-\frac{1}{x^2}}$

(3) $f'(0) = 0$

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