東北大学 1984年 理系 第4問 解説

方針・初手
接点の $x$ 座標を $t$ とおいて接線の式を作り,それが原点を通る条件を課す。
(2) では,(1) で求めた接点 $A$ における接線と円の半径 $AP$ が垂直であること,さらに円が $x$ 軸に接することから中心 $P$ を決める。そのうえで,求める面積を「曲線と弦で囲まれる部分」から「円弧と弦で囲まれる円弧部分」を引く形で処理する。
解法1
曲線を
$$ y=\sqrt3 e\log x $$
とする。
(1) 原点から引いた接線
曲線上の点の $x$ 座標を $t,(>0)$ とすると,接点は
$$ \left(t,\sqrt3 e\log t\right) $$
である。
微分すると
$$ y'=\frac{\sqrt3 e}{x} $$
より,$x=t$ における接線の傾きは $\dfrac{\sqrt3 e}{t}$ である。したがって接線の式は
$$ y-\sqrt3 e\log t=\frac{\sqrt3 e}{t}(x-t) $$
である。
これが原点 $(0,0)$ を通るので,
$$ 0-\sqrt3 e\log t=\frac{\sqrt3 e}{t}(0-t) $$
すなわち
$$ -\sqrt3 e\log t=-\sqrt3 e $$
であり,
$$ \log t=1 $$
となる。よって
$$ t=e $$
である。
したがって接点 $A$ は
$$ A=(e,\sqrt3 e) $$
であり,このときの傾きは
$$ \frac{\sqrt3 e}{e}=\sqrt3 $$
であるから,求める接線は
$$ y=\sqrt3 x $$
である。
(2) 面積
まず円の中心を $P$ とする。円は $A$ で曲線と共通の接線をもつので,半径 $AP$ は接線 $y=\sqrt3 x$ に垂直である。したがって $AP$ の方向ベクトルは $(\sqrt3,-1)$ とおける。
そこで
$$ P=A+t(\sqrt3,-1) $$
とおくと,
$$ P=\left(e+\sqrt3 t,\ \sqrt3 e-t\right) $$
となる。
一方,円は $x$ 軸と接するから,中心の $y$ 座標がそのまま半径である。半径 $AP$ の長さは
$$ |AP|=\sqrt{(\sqrt3 t)^2+(-t)^2}=2t $$
であるから,
$$ \sqrt3 e-t=2t $$
を満たす。よって
$$ t=\frac{e}{\sqrt3} $$
であり,
$$ P=\left(2e,\frac{2e}{\sqrt3}\right) $$
となる。
したがって半径は
$$ r=\frac{2e}{\sqrt3} $$
であり,$x$ 軸との接点 $B$ は
$$ B=(2e,0) $$
である。
次に,円弧 $AB$ に対する中心角を求める。
$$ \overrightarrow{PA}=\left(-e,\frac{e}{\sqrt3}\right),\qquad \overrightarrow{PB}=\left(0,-\frac{2e}{\sqrt3}\right) $$
より,
$$ \overrightarrow{PA}\cdot\overrightarrow{PB} =========================================== # -e\cdot 0+\frac{e}{\sqrt3}\left(-\frac{2e}{\sqrt3}\right) -\frac{2e^2}{3} $$
また,
$$ |\overrightarrow{PA}|=|\overrightarrow{PB}|=\frac{2e}{\sqrt3} $$
であるから,
$$ \cos\angle APB ============== # \frac{-\frac{2e^2}{3}}{\left(\frac{2e}{\sqrt3}\right)^2} -\frac12 $$
となる。よって
$$ \angle APB=\frac{2\pi}{3} $$
である。
ここで,曲線 $C$ と $x$ 軸の交点を $D$ とすると,
$$ \sqrt3 e\log x=0 $$
より
$$ D=(1,0) $$
である。また,$A$ から $x$ 軸に下ろした足を $E=(e,0)$ とする。
求める図形の面積は,
- 曲線 $DA$,弦 $AB$,$x$ 軸で囲まれる面積
- から,弦 $AB$ と円弧 $AB$ で囲まれる円弧部分の面積
を引けばよい。
まず,曲線 $DA$,弦 $AB$,$x$ 軸で囲まれる面積は
$$ \int_1^e \sqrt3 e\log x,dx+\triangle AEB $$
である。
積分は
$$ \int \log x,dx=x\log x-x $$
を用いて,
$$ \int_1^e \sqrt3 e\log x,dx ========================== # \sqrt3 e\left[x\log x-x\right]_1^e \sqrt3 e $$
となる。
また,
$$ \triangle AEB=\frac12\cdot EB\cdot AE ===================================== # \frac12\cdot e\cdot \sqrt3 e \frac{\sqrt3}{2}e^2 $$
である。
次に,弦 $AB$ と円弧 $AB$ で囲まれる円弧部分の面積は
$$ \text{扇形 }APB-\triangle APB $$
である。
扇形 $APB$ の面積は
$$ \frac12 r^2\cdot \frac{2\pi}{3} =============================== # \frac12\left(\frac{2e}{\sqrt3}\right)^2\frac{2\pi}{3} \frac{4\pi}{9}e^2 $$
三角形 $APB$ の面積は
$$ \frac12 r^2\sin\frac{2\pi}{3} ============================= # \frac12\left(\frac{2e}{\sqrt3}\right)^2\cdot \frac{\sqrt3}{2} \frac{\sqrt3}{3}e^2 $$
である。
したがって円弧部分の面積は
$$ \frac{4\pi}{9}e^2-\frac{\sqrt3}{3}e^2 $$
となる。
以上より,求める面積 $S$ は
$$ \begin{aligned} S &= \left(\sqrt3 e+\frac{\sqrt3}{2}e^2\right) ----------------------------------------- \left(\frac{4\pi}{9}e^2-\frac{\sqrt3}{3}e^2\right) \ &= \sqrt3 e+\left(\frac{\sqrt3}{2}+\frac{\sqrt3}{3}-\frac{4\pi}{9}\right)e^2 \ &= \sqrt3 e+\left(\frac{5\sqrt3}{6}-\frac{4\pi}{9}\right)e^2 \end{aligned} $$
である。
解説
(1) の本質は,「原点を通る接線」という条件を,接点を $t$ とおいた接線の式に代入することである。$y=\text{定数}\times\log x$ では,この処理が最も素直である。
(2) では,円の中心は「接点における法線上にある」ことと「$x$ 軸に接するので中心の $y$ 座標が半径に等しい」ことが決め手である。面積は直接積分しにくいので,弦 $AB$ を使っていったん扱いやすい図形に直し,最後に円弧部分を引くのが自然である。
答え
(1) 接線の方程式は
$$ y=\sqrt3 x $$
である。
(2) 求める面積は
$$ \sqrt3 e+\left(\frac{5\sqrt3}{6}-\frac{4\pi}{9}\right)e^2 $$
である。
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