トップ 北海道大学 1996年 理系 第3問

北海道大学 1996年 理系 第3問 解説

数学2/三角関数数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
北海道大学 1996年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は、成分表示された式 $ay-bx$ および $ax+by$ を三角関数を用いて書き換えることが第一歩となる。点 $A$ および点 $P$ の座標を極座標表示(原点からの距離と $x$ 軸からの偏角を用いた表示)で表すことで、加法定理を利用できる形に帰着させる。

(2) は、(1) の結果から $w = \tan\theta$ であることを用いる。点 $P$ の動く領域を中心 $A$、半径 $k$ の円の内部・周上と図形的に捉え、その領域に対して原点 $O$ から引いた直線のなす角 $\theta$ がどのような範囲をとるかを考察する。

解法1

(1)

$x$ 軸の正の向きを始線とし、ベクトル $\overrightarrow{OA}$, $\overrightarrow{OP}$ のなす角(偏角)をそれぞれ $\alpha, \beta$ とおく。 点 $A(a,b)$ と点 $P(x,y)$ の座標は、原点からの距離と偏角を用いて次のように表せる。

$$ a = OA \cos\alpha, \quad b = OA \sin\alpha $$

$$ x = OP \cos\beta, \quad y = OP \sin\beta $$

条件より、$\theta$ は $\overrightarrow{OA}$ から $\overrightarrow{OP}$ へはかった角であるから、$\theta = \beta - \alpha$ と表せる。 これを用いて $ay - bx$ を計算する。

$$ ay - bx = (OA \cos\alpha)(OP \sin\beta) - (OA \sin\alpha)(OP \cos\beta) $$

$$ ay - bx = OA \cdot OP (\sin\beta \cos\alpha - \cos\beta \sin\alpha) $$

三角関数の加法定理より、以下のようにまとめられる。

$$ ay - bx = OA \cdot OP \sin(\beta - \alpha) = OA \cdot OP \sin\theta $$

同様に、分母となる $ax + by$ (これは内積 $\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OP}$ に等しい)についても計算する。

$$ ax + by = (OA \cos\alpha)(OP \cos\beta) + (OA \sin\alpha)(OP \sin\beta) $$

$$ ax + by = OA \cdot OP (\cos\beta \cos\alpha + \sin\beta \sin\alpha) $$

$$ ax + by = OA \cdot OP \cos(\beta - \alpha) = OA \cdot OP \cos\theta $$

問題文の条件 $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $\cos\theta > 0$ である。また、点 $A$ は原点と異なり、点 $P$ も角度 $\theta$ が定まることから原点ではないため、$OA \neq 0, OP \neq 0$ である。 したがって $ax+by \neq 0$ であり、$w$ は次のように求められる。

$$ w = \frac{ay - bx}{ax + by} = \frac{OA \cdot OP \sin\theta}{OA \cdot OP \cos\theta} = \tan\theta $$

(2)

(1) の結果より、$w = \tan\theta$ である。 条件 $0 < AP \leqq k$ より、点 $P$ は中心 $A$、半径 $k$ の円の周上および内部を動く。ただし $AP > 0$ より点 $A$ 自身は含まない。 また、条件 $0 < k < OA$ より、原点 $O$ はこの円の外部に存在する。

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ であるため、点 $P$ は直線 $OA$ を基準として反時計回りの領域にのみ存在する。 点 $P$ がこの円の領域内を動くとき、角 $\theta$ が最大となるのは、原点 $O$ を通る直線 $OP$ が円 $A$ に接し、かつ $\theta > 0$ となるときである。 この接点を $T$ とすると、$\triangle OAT$ は $\angle OTA = \frac{\pi}{2}$ の直角三角形となる。

円の半径は $k$ であるから、$AT = k$ である。 三平方の定理より、$OT$ の長さは次のように求まる。

$$ OT = \sqrt{OA^2 - AT^2} = \sqrt{a^2 + b^2 - k^2} $$

このときの $\theta$ の最大値を $\theta_{max}$ とすると、直角三角形の辺の比から正接は以下となる。

$$ \tan\theta_{max} = \frac{AT}{OT} = \frac{k}{\sqrt{a^2 + b^2 - k^2}} $$

点 $P$ が円内の直線 $OA$ の近くを動くとき、$\theta$ はいくらでも $0$ に近づくことができるため、$\theta$ のとりうる値の範囲は $0 < \theta \leqq \theta_{max}$ となる。 $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ の範囲において、関数 $w = \tan\theta$ は単調増加であるから、$w$ のとりうる値の範囲は以下のようになる。

$$ 0 < w \leqq \tan\theta_{max} $$

したがって、求める範囲は次の通りである。

$$ 0 < w \leqq \frac{k}{\sqrt{a^2 + b^2 - k^2}} $$

解説

本問は、代数的な式を図形的・ベクトル的な意味に翻訳して捉える能力を問う問題である。 (1) で登場する $ax+by$ はベクトルの内積であり、$ay-bx$ は外積(に相当するスカラー量)や三角形の面積公式から現れる式である。極座標を用いて加法定理に持ち込むのが最も確実な処理である。 (2) は式で計算しようとすると複雑になるが、(1) の誘導に乗って $w = \tan\theta$ と図形的な配置の考察に帰着させれば、単なる直角三角形の辺の比の問題となり、計算量を大幅に減らすことができる。

答え

(1) $ay - bx = OA \cdot OP \sin\theta$, $w = \tan\theta$

(2) $0 < w \leqq \frac{k}{\sqrt{a^2 + b^2 - k^2}}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。