北海道大学 2009年 理系 第3問 解説

方針・初手
放物線の接線の方程式を求め、各直線の傾きや方向ベクトルを用いてなす角を計算する。 直線の対称移動は、それぞれの直線が $x$ 軸の正の向きとなす角を文字でおいて加法定理を利用すると、計算が見通しやすくなる。 また、放物線と直線の交点間の距離は、交点の座標を直接求めずとも、解と係数の関係を利用して傾きの式として表すのが定石である。距離の最小値の求値には、相加平均・相乗平均の大小関係が有効である。
解法1
(1)
$y=\frac{x^2}{4}$ より $y'=\frac{x}{2}$ であるから、点 $\left(t, \frac{t^2}{4}\right)$ における接線 $l_2$ の傾きは $\frac{t}{2}$ である。
$l_2$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\alpha$ $\left(0 < \alpha < \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、 $$ \tan\alpha = \frac{t}{2} $$ が成り立つ。
$l_1$ は $x$ 軸と垂直な直線 $x=t$ であるから、$l_1$ と $l_2$ のなす角 $\theta$ $\left(0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}\right)$ は、 $$ \theta = \frac{\pi}{2} - \alpha $$ と表される。したがって、 $$ \cos\theta = \cos\left(\frac{\pi}{2} - \alpha\right) = \sin\alpha $$ である。
$t>0$ より、直角を挟む2辺の長さが $2, t$ である直角三角形を考えると、斜辺の長さは $\sqrt{t^2+4}$ となるため、 $$ \cos\theta = \sin\alpha = \frac{t}{\sqrt{t^2+4}} $$ と求まる。
(2)
$l_3$ は $l_1$ を $l_2$ に関して対称移動した直線であるため、点 $\left(t, \frac{t^2}{4}\right)$ を通る。
$l_3$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\beta$ とおく。 対称性より、直線 $l_1$ の傾き角 $\frac{\pi}{2}$、直線 $l_2$ の傾き角 $\alpha$、直線 $l_3$ の傾き角 $\beta$ の間には、 $$ \frac{\pi}{2} - \alpha = \alpha - \beta $$ すなわち、 $$ \beta = 2\alpha - \frac{\pi}{2} $$ の関係が成り立つ。
$l_3$ の傾きは $\tan\beta$ であり、 $$ \tan\beta = \tan\left(2\alpha - \frac{\pi}{2}\right) = -\frac{1}{\tan2\alpha} $$ と表せる。ここで、 $$ \tan2\alpha = \frac{2\tan\alpha}{1-\tan^2\alpha} = \frac{t}{1-\frac{t^2}{4}} = \frac{4t}{4-t^2} $$ であるから、 $$ \tan\beta = -\frac{4-t^2}{4t} = \frac{t^2-4}{4t} $$ となる。($t=2$ のときは $\alpha = \frac{\pi}{4}$ より $\beta = 0$ となり、上式でも傾き $0$ として成立する。)
よって、$l_3$ の方程式は、 $$ y - \frac{t^2}{4} = \frac{t^2-4}{4t}(x-t) $$ であり、展開して整理すると、 $$ y = \frac{t^2-4}{4t}x + 1 $$ となる。
(3)
(2) で求めた $l_3$ の方程式を $t$ について整理する。 $$ 4ty = (t^2-4)x + 4t $$ $$ xt^2 - 4(y-1)t - 4x = 0 $$
これが任意の $t>0$ に対して成り立つための条件は、 $$ \begin{cases} x = 0 \\ -4(y-1) = 0 \\ -4x = 0 \end{cases} $$ である。
これを解くと $x=0, y=1$ となる。 したがって、$l_3$ は $t$ によらない定点 $(0, 1)$ を通ることが示された。
(4)
$C: y=\frac{x^2}{4}$ と $l_3: y=\frac{t^2-4}{4t}x+1$ の交点 $P, Q$ の $x$ 座標をそれぞれ $p, q$ ($p < q$) とし、$l_3$ の傾きを $m = \frac{t^2-4}{4t}$ とおく。
$p, q$ は2次方程式 $$ \frac{x^2}{4} = mx + 1 $$ すなわち $$ x^2 - 4mx - 4 = 0 $$ の2つの実数解である。
解と係数の関係より、 $$ \begin{aligned} p+q &= 4m \\ pq &= -4 \end{aligned} $$ が成り立つ。
線分 $PQ$ の長さの2乗 $PQ^2$ は、 $$ PQ^2 = (q-p)^2 + (mq-mp)^2 = (1+m^2)(q-p)^2 $$ と表せる。ここで、 $$ (q-p)^2 = (p+q)^2 - 4pq = 16m^2 + 16 = 16(m^2+1) $$ であるから、 $$ PQ^2 = 16(m^2+1)^2 $$ となる。$PQ > 0, m^2+1 > 0$ より、 $$ PQ = 4(m^2+1) $$ である。
これに $m = \frac{t^2-4}{4t}$ を代入して整理する。 $$ \begin{aligned} PQ &= 4\left\{\left(\frac{t^2-4}{4t}\right)^2+1\right\} \\ &= 4 \cdot \frac{t^4-8t^2+16+16t^2}{16t^2} \\ &= \frac{t^4+8t^2+16}{4t^2} \\ &= \frac{(t^2+4)^2}{4t^2} \\ &= \left(\frac{t^2+4}{2t}\right)^2 \end{aligned} $$
$t>0$ であるから、$\frac{t^2+4}{2t} = \frac{t}{2} + \frac{2}{t} > 0$ となり、 $$ PQ = \left(\frac{t}{2} + \frac{2}{t}\right)^2 $$ と表される。
$y=x^2$ は $x>0$ において単調増加であるため、$PQ$ が最小になるのは括弧内の $\frac{t}{2} + \frac{2}{t}$ が最小になるときである。
$t>0$ より $\frac{t}{2} > 0, \frac{2}{t} > 0$ であり、相加平均と相乗平均の大小関係より、 $$ \frac{t}{2} + \frac{2}{t} \geqq 2\sqrt{\frac{t}{2} \cdot \frac{2}{t}} = 2 $$ が成り立つ。
等号が成立するのは $\frac{t}{2} = \frac{2}{t}$、すなわち $t^2=4$ のときであり、$t>0$ より $t=2$ である。 したがって、線分 $PQ$ の長さが最小になるような $t$ の値は $t=2$ である。
解説
本問の背景には、放物線の光学的性質(反射法則)が隠れている。 (3) で求めた定点 $(0, 1)$ は、放物線 $x^2 = 4y$ の焦点に他ならない。$l_1$ は $y$ 軸に平行に放物線に入射する光線、$l_3$ は接線 $l_2$ を鏡面として反射した光線とみなすことができる。すなわち、「放物線の軸に平行に入射した光線は、反射後に必ず焦点を通る」という有名な性質を代数的に証明する問題となっている。
(1) では、直線の方向ベクトル $\vec{u}=(0,1)$、$\vec{v}=(2,t)$ を用いて内積から $\cos\theta$ を求めることも可能であるが、(2) で傾き角を文字でおく方針に自然に繋げるため、$\tan$ を経由する解法を採用した。
(4) は、2次曲線と直線の交点間の距離を求める典型問題である。交点の座標を解の公式で直接求めると計算が煩雑になるため、解と係数の関係を利用して「距離を直線の傾き $m$ だけで表す」処理が極めて有効である。また、最小値を求める際に微分を用いずとも、相加平均・相乗平均の大小関係によって簡潔に処理できる点も押さえておきたい。
答え
(1) $$ \cos\theta = \frac{t}{\sqrt{t^2+4}} $$
(2) $$ y = \frac{t^2-4}{4t}x + 1 $$
(3) $t$ によらない定点 $(0, 1)$ を通ることが示された。
(4) $$ t = 2 $$
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