北海道大学 2022年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は、すべての辺の底をそろえるか、対数をとることで $y$ についての不等式に帰着させる。底が $x \geqq 2$ で $1$ より大きいことに注意して自然対数をとり、関数の増減を調べる。 (2) は、因数分解された不等式の表す領域を (1) と同様に $y$ について解き直す。ある $x$ を固定したときの $y$ の幅を積分することで面積 $S(a)$ を立式し、これを $a$ で微分して最小値を求める。
解法1
(1) 与えられた連立不等式は以下の通りである。
$$ x \geqq 2, \quad 2^x \leqq x^y \leqq x^2 $$
$x \geqq 2$ より $\log x > 0$ であるから、各辺の自然対数をとっても大小関係は変わらない。
$$ x \log 2 \leqq y \log x \leqq 2 \log x $$
辺々を $\log x$ で割ると、次を得る。
$$ \frac{x \log 2}{\log x} \leqq y \leqq 2 $$
ここで、関数 $g(x) = \frac{x \log 2}{\log x}$ ($x \geqq 2$)を定義し、その増減を調べる。
$$ g'(x) = \log 2 \cdot \frac{1 \cdot \log x - x \cdot \frac{1}{x}}{(\log x)^2} = \frac{\log 2 \cdot (\log x - 1)}{(\log x)^2} $$
$g'(x) = 0$ となるのは $\log x = 1$、すなわち $x = e$ のときである。$2 < e < 3$ であるから、$x \geqq 2$ における $g(x)$ の増減表は次のようになる。
$$ \begin{array}{c|c|c|c|c} x & 2 & \cdots & e & \cdots \\ \hline g'(x) & & - & 0 & + \\ \hline g(x) & 2 & \searrow & e \log 2 & \nearrow \end{array} $$
また、不等式の条件 $g(x) \leqq 2$ を満たす $x$ の範囲を求める。
$$ \frac{x \log 2}{\log x} \leqq 2 \iff \frac{\log 2}{2} \leqq \frac{\log x}{x} $$
関数 $f(x) = \frac{\log x}{x}$ ($x \geqq 2$)の増減を考えると、$f'(x) = \frac{1 - \log x}{x^2}$ より、$x=e$ で極大かつ最大となる。 さらに、$f(2) = \frac{\log 2}{2}$、$f(4) = \frac{\log 4}{4} = \frac{\log 2}{2}$ であるため、$f(x) \geqq \frac{\log 2}{2}$ を満たす範囲は $2 \leqq x \leqq 4$ である。 したがって、求める領域は $2 \leqq x \leqq 4$ かつ $g(x) \leqq y \leqq 2$ を満たす領域である。 これは、$xy$ 平面において点 $(2,2)$ と $(4,2)$ を結ぶ線分と、点 $(e, e \log 2)$ で極小となる曲線 $y = g(x)$ で囲まれた図形である(境界線を含む)。
(2) 領域を定める条件は次の連立不等式である。
$$ 2 \leqq x \leqq 6, \quad (x^y - 2^x)(x^a - x^y) \geqq 0 $$
$A B \geqq 0$ は、「$A \geqq 0$ かつ $B \geqq 0$」または「$A \leqq 0$ かつ $B \leqq 0$」と同値である。$x \geqq 2$ のもとで自然対数をとることで、(1) と同様に関数 $g(x)$ を用いて次のように変形できる。
$$ \left( y - g(x) \right) (a - y) \geqq 0 $$
これを満たす $y$ の範囲は、$g(x) \leqq a$ のときは $g(x) \leqq y \leqq a$、$a < g(x)$ のときは $a \leqq y \leqq g(x)$ である。 すなわち、任意の $x \in [2, 6]$ において $y$ の取りうる区間の長さは $|g(x) - a|$ である。 したがって、領域の面積 $S(a)$ は次の定積分で表される。
$$ S(a) = \int_{2}^{6} |g(x) - a| dx $$
$a$ の値によって場合分けを行い、$S(a)$ の増減を調べる。 $g(x)$ の概形について、(1) より $g(2) = g(4) = 2$、$x=e$ で極小値 $e \log 2$ をとる。また $x \geqq e$ では単調増加であり、$g(6) = \frac{6 \log 2}{\log 6}$ は $2$ より大きい。
(i) $g(e) \leqq a < 2$ のとき 方程式 $g(x) = a$ は、$2 \leqq x \leqq e$ の範囲に解 $\alpha$ を1つ、$e \leqq x \leqq 4$ の範囲に解 $\beta$ を1つ持つ。このとき $2 \leqq \alpha < e < \beta \leqq 4$ である。 積分の絶対値を外すと次のようになる。
$$ S(a) = \int_{2}^{\alpha} (g(x) - a) dx + \int_{\alpha}^{\beta} (a - g(x)) dx + \int_{\beta}^{6} (g(x) - a) dx $$
$g(x)$ の原始関数を $G(x)$ とすると、$S(a)$ は次のように計算される。
$$ S(a) = G(\alpha) - G(2) - a(\alpha - 2) + a(\beta - \alpha) - G(\beta) + G(\alpha) + G(6) - G(\beta) - a(6 - \beta) $$
これを $a$ で微分する。合成関数の微分より $\frac{d}{da} G(\alpha) = g(\alpha) \frac{d\alpha}{da} = a \alpha'$ などとなることに注意して整理すると、$a \alpha'$ や $a \beta'$ の項は相殺され、次を得る。
$$ S'(a) = - (\alpha - 2) + (\beta - \alpha) - (6 - \beta) = 2(\beta - \alpha - 2) $$
ここで $2 \leqq \alpha$ かつ $\beta \leqq 4$ であるから、$\beta - \alpha \leqq 2$ である。等号が成立するのは $\alpha=2, \beta=4$ すなわち $a=2$ のときに限るため、この範囲では $S'(a) < 0$ となり、$S(a)$ は単調減少する。
(ii) $2 \leqq a \leqq g(6)$ のとき 方程式 $g(x) = a$ は、$4 \leqq x \leqq 6$ の範囲に解 $\gamma$ を1つ持つ。 $2 \leqq x \leqq \gamma$ では $g(x) \leqq a$、$\gamma \leqq x \leqq 6$ では $g(x) \geqq a$ であるから、
$$ S(a) = \int_{2}^{\gamma} (a - g(x)) dx + \int_{\gamma}^{6} (g(x) - a) dx $$
(i) と同様に $a$ で微分すると次を得る。
$$ S'(a) = (\gamma - 2) - (6 - \gamma) = 2\gamma - 8 $$
$\gamma \geqq 4$ であるから $S'(a) \geqq 0$ となり、等号は $\gamma=4$ すなわち $a=2$ のときに限る。よってこの範囲では $S(a)$ は単調増加する。
(iii) その他の範囲について $a < g(e)$ では常に $S'(a) = -4 < 0$、$a > g(6)$ では常に $S'(a) = 4 > 0$ となり、それぞれ単調減少、単調増加である。
以上の増減から、$S(a)$ は $a = 2$ のとき極小かつ最小となる。
解説
不等式の表す領域を面積として計算する問題である。 (1) において、指数部分に文字が含まれる不等式は、底が1より大きいことを確認したうえで自然対数をとり、扱いやすい関数の形に帰着させるのが定石である。 (2) では、「ある $x$ における $y$ の幅の積分」として面積を捉えることが重要である。絶対値を含む定積分 $S(a)$ をパラメータ $a$ で微分する際、積分区間の端点も $a$ に依存して変化する。原始関数を用いて丁寧に微分計算を行うことで、端点の微分項が見事に相殺され、きれいな導関数が得られる。これはパラメータを含む定積分の最小化問題において頻出の手法である。
答え
(1) $xy$ 平面上において、直線 $y = 2$ と曲線 $y = \frac{x \log 2}{\log x}$ で囲まれた領域。 ($2 \leqq x \leqq 4$ の範囲にあり、境界線を含む)
(2) $a = 2$
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