京都大学 1997年 文系 第3問 解説

方針・初手
- 点 $P$ が辺 $AB$ 上を動く位置を、相似比を用いて文字 $t$ でおきます。($AP : AB = t : 1$ など)
- 相似比から $\triangle APQ$ と $\triangle PQR$ の面積を $t$ の式で表します。
- 点 $R$ が $\triangle ABC$ の内部にあるか外部にはみ出すかで、共通部分の図形の形が変わります。点 $R$ が辺 $BC$ を超える(外部に出る)条件を考え、$t$ の値で場合分けをして面積 $S$ の式を立てます。
解法1
$\triangle ABC$ の面積を $1$ とする。 点 $P$ は辺 $AB$ 上にあるので、$AP : AB = t : 1$ ($0 \leqq t \leqq 1$) とおく。 直線 $PQ$ は辺 $BC$ と平行であるから $\triangle APQ \sim \triangle ABC$ であり、相似比は $t : 1$ となる。 したがって、面積比は $t^2 : 1$ となり、$\triangle APQ$ の面積は $t^2$ である。
線分 $PQ$ の中点を $M$ とする。点 $R$ は点 $M$ に関して点 $A$ と対称であるため、四角形 $APRQ$ の対角線は互いに他を2等分する。 ゆえに四角形 $APRQ$ は平行四辺形であり、$\triangle PQR \equiv \triangle AQP$ となる。 これより、$\triangle PQR$ の面積も $t^2$ であり、また $PR \parallel AC$、$QR \parallel AB$ となる。
次に、共通部分の面積 $S$ を求めるために、点 $A$ から辺 $BC$ に下ろした垂線の長さを $h$ とし、高さについて考える。 直線 $PQ$ は $BC$ と平行であり、点 $A$ から直線 $PQ$ までの距離は $th$、直線 $PQ$ から辺 $BC$ までの距離は $(1-t)h$ である。 点 $R$ は直線 $PQ$ に関して点 $A$ と対称な位置関係にあるため、点 $R$ から直線 $PQ$ までの距離も $th$ である。 したがって、点 $R$ の辺 $BC$ を基準とした深さ(点 $A$ とは反対側への距離)は、
$$ th - (1-t)h = (2t-1)h $$
となる。この値の正負、すなわち $t$ と $\frac{1}{2}$ の大小によって場合分けを行う。
(i) $0 \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ のとき $(2t-1)h \leqq 0$ であるから、点 $R$ は $\triangle ABC$ の内部または辺上にある。 平行四辺形の性質より頂点 $P, Q$ も $\triangle ABC$ の周または内部にあるため、$\triangle PQR$ は全体が $\triangle ABC$ に含まれる。 したがって、共通部分の面積 $S$ は $\triangle PQR$ の面積そのものである。
$$ S = t^2 $$
この区間において $S$ は単調増加するため、最大値は $t = \frac{1}{2}$ のとき $\frac{1}{4}$ である。
(ii) $\frac{1}{2} < t \leqq 1$ のとき $(2t-1)h > 0$ であるから、点 $R$ は $\triangle ABC$ の外部にある。 辺 $PR$ と辺 $BC$ の交点を $D$、辺 $QR$ と辺 $BC$ の交点を $E$ とすると、共通部分は $\triangle PQR$ から $\triangle RDE$ を除いた図形となる。 $\triangle RDE$ において、$DE \parallel PQ \parallel BC$、$RD \parallel AC$、$RE \parallel AB$ であるから、$\triangle RDE \sim \triangle ABC$ である。 $\triangle RDE$ の高さは点 $R$ から直線 $BC$ までの距離 $(2t-1)h$ に等しいため、$\triangle RDE$ と $\triangle ABC$ の相似比は $(2t-1) : 1$ となる。 したがって、$\triangle RDE$ の面積は $(2t-1)^2 \times 1 = (2t-1)^2$ である。 ゆえに、共通部分の面積 $S$ は、
$$ S = \triangle PQR - \triangle RDE = t^2 - (2t-1)^2 $$
展開して整理すると、
$$ S = t^2 - (4t^2 - 4t + 1) = -3t^2 + 4t - 1 $$
平方完成して最大値を求める。
$$ S = -3 \left( t^2 - \frac{4}{3}t \right) - 1 $$
$$ S = -3 \left( t - \frac{2}{3} \right)^2 + 3 \times \frac{4}{9} - 1 $$
$$ S = -3 \left( t - \frac{2}{3} \right)^2 + \frac{1}{3} $$
$t = \frac{2}{3}$ は $\frac{1}{2} < t \leqq 1$ の範囲に含まれるため、この区間での最大値は $\frac{1}{3}$ である。
(i), (ii) より、全体での最大値は $\frac{1}{4}$ と $\frac{1}{3}$ を比較して $\frac{1}{3}$ となる。
解説
- 面積変化の最大・最小を求める図形問題の定石通り、1つの変数を設定して面積を関数として表すアプローチをとります。本問では「相似比 $t$」を変数にするのが最も見通しが良いでしょう。
- 共通部分の図形の形が変わるタイミングは、「動く図形の頂点が、固定された図形の枠組み(今回は辺 $BC$)を超える瞬間」です。高さを基準にすることで、この境界線が $t = \frac{1}{2}$ であることが視覚的にも数式的にも明確になります。
- はみ出した部分である $\triangle RDE$ もまた全体の $\triangle ABC$ と相似になることに気付けると、面倒な線分の長さの計算などを回避し、面積比だけで一気に計算を進めることができます。
答え
$$ \frac{1}{3} $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











