京都大学 2010年 文系 第4問(甲) 解説

方針・初手
正十角形の中心と隣接する2頂点がなす三角形 $\triangle OAB$ は、頂角が $36^\circ$、底角が $72^\circ$ の二等辺三角形となります。この $36^\circ, 72^\circ, 72^\circ$ の三角形は、線分の分割において「黄金比」が現れることで有名です。
幾何的に補助線を引いて相似な三角形を作り出す図形的アプローチ(解法1)と、$\cos 36^\circ$ の値から辺の長さを直接計算する代数的・三角比的アプローチ(解法2)の2つの解法を示します。
解法1(図形的性質を利用する方法)
正十角形の中心角は $\dfrac{360^\circ}{10} = 36^\circ$ であるから、$\triangle OAB$ は $OA=OB$、$\angle AOB = 36^\circ$ の二等辺三角形である。 底角は $\angle OAB = \angle OBA = \dfrac{180^\circ - 36^\circ}{2} = 72^\circ$ となる。
$\angle OAB$ の二等分線を引き、辺 $OB$ との交点を $Q$ とする。 $\angle OAQ = \angle BAQ = 36^\circ$ である。
$\triangle OAQ$ において、$\angle AOQ = \angle OAQ = 36^\circ$ であるから、$OQ = AQ$ の二等辺三角形である。 $\triangle ABQ$ について、$\angle AQB = \angle AOQ + \angle OAQ = 72^\circ$(外角の性質)、$\angle ABQ = 72^\circ$ であるから、$\triangle ABQ$ も二等辺三角形で $AQ = AB$。
以上より、$OQ = AQ = AB$ が成立する。
$\triangle OAB$ と $\triangle AQB$ において、$\angle AOB = \angle BAQ = 36^\circ$、$\angle B$ は共通であるから、
$$ \triangle OAB \sim \triangle AQB $$
対応する辺の比より $OB : AB = AB : QB$、すなわち $AB^2 = OB \cdot QB$。 $AB = OQ$ を代入すると、
$$ OQ^2 = OB \cdot QB $$
点 $Q$ は線分 $OB$ 上にあるから、$Q$ は条件 $OP^2 = OB \cdot PB$ を満たす。
条件 $OP^2 = OB \cdot PB$ を満たす点 $P$ の一意性を示す。$OP = x$、$OB = R$ とおくと $PB = R - x$ であり、
$$ x^2 = R(R - x) \implies x^2 + Rx - R^2 = 0 \implies x = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2} R \quad (x > 0) $$
解はただ1つに決まるため、条件を満たす点 $P$ は $Q$ のみである。
したがって $OP = OQ = AB$ が成立する。
解法2(三角比を利用する方法)
$OB = R$ とおく。まず $\cos 36^\circ$ の値を求める。
$\theta = 36^\circ$ とおくと $5\theta = 180^\circ$ より $\sin 2\theta = \sin 3\theta$ が成り立ち、展開すると
$$ 2\cos\theta = 3 - 4\sin^2\theta = 3 - 4(1 - \cos^2\theta) \implies 4\cos^2\theta - 2\cos\theta - 1 = 0 $$
$\cos 36^\circ > 0$ より、$\cos 36^\circ = \dfrac{1 + \sqrt{5}}{4}$。
$\triangle OAB$ に余弦定理を適用すると、
$$ AB^2 = 2R^2 - 2R^2 \cdot \frac{1+\sqrt{5}}{4} = R^2 \cdot \frac{3-\sqrt{5}}{2} = R^2 \cdot \frac{(\sqrt{5}-1)^2}{4} $$
$$ AB = R \cdot \frac{\sqrt{5}-1}{2} $$
条件 $OP^2 = OB \cdot PB = R(R - OP)$ を解くと、
$$ OP^2 + R \cdot OP - R^2 = 0 \implies OP = \frac{-1+\sqrt{5}}{2} R = R \cdot \frac{\sqrt{5}-1}{2} $$
$OP = AB = R \cdot \dfrac{\sqrt{5}-1}{2}$ が成立する。
解説
正五角形や正十角形に登場する $36^\circ, 72^\circ, 72^\circ$ の二等辺三角形(黄金三角形)に関する典型的な問題です。
解法1では底角の二等分線を引くことで元の図形と相似な三角形を作り出す、黄金三角形の美しい性質を活用しています。この方法を知っていれば計算をほぼせずに証明できます。
解法2では $\cos 36^\circ = \dfrac{1+\sqrt{5}}{4}$ を導出してから余弦定理で辺長を比較します。$\cos 36^\circ$ の値は難関大入試頻出なので、3倍角・2倍角の公式を用いた導出を自力で再現できるようにしておくと心強いでしょう。
答え
$OP = AB$ であることが示された。(証明終)
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