京都大学 2022年 文系 第4問 解説

方針・初手
直線 $L$ の式と曲線 $y = -\frac{1}{x}$ の式から $y$ を消去して、交点の $x$ 座標についての2次方程式を作ります。 交点の座標を直接求めるのは計算が煩雑になるため、解と係数の関係を利用して線分 $PQ$ の中点の座標や長さを表します。 線分の長さの比 $\frac{PQ}{RS}$ については、直線上の2点間の距離が「$x$ 座標の差の絶対値 $\times \sqrt{1 + (\text{傾き})^2}$」で表せることを利用すると、根号を含む複雑な計算を回避できます。
解法1
直線 $L: ax + by = 1$ と曲線 $y = -\frac{1}{x}$ の交点の $x$ 座標は、
$$ ax + b\left(-\frac{1}{x}\right) = 1 $$
両辺に $x$ を掛けて整理すると
$$ ax^2 - x - b = 0 \quad \cdots ① $$
$a, b$ は正の実数であるから、判別式を $D$ とすると $D = (-1)^2 - 4 \cdot a \cdot (-b) = 1 + 4ab > 0$ となり、①は異なる2つの実数解をもつ。 これらの解を $\alpha, \beta$ とすると、解と係数の関係より
$$ \alpha + \beta = \frac{1}{a}, \quad \alpha\beta = -\frac{b}{a} $$
交点 $P, Q$ の $x$ 座標は $\alpha, \beta$ のいずれかであるため、線分 $PQ$ の $x$ 座標の差の絶対値は $|\alpha - \beta|$ である。
また、直線 $L$ と $x$ 軸、 $y$ 軸の交点 $R, S$ の座標を求める。 $y = 0$ を $L$ の式に代入して $ax = 1 \iff x = \frac{1}{a}$ より、$R\left(\frac{1}{a}, 0\right)$ $x = 0$ を $L$ の式に代入して $by = 1 \iff y = \frac{1}{b}$ より、$S\left(0, \frac{1}{b}\right)$ これより、線分 $RS$ の $x$ 座標の差の絶対値は $\left| \frac{1}{a} - 0 \right| = \frac{1}{a}$ ($\because a > 0$)である。
直線 $L$ の傾きは $-\frac{a}{b}$ であるから、直線 $L$ 上の2点間の距離は、$x$ 座標の差の絶対値の $\sqrt{1 + \left(-\frac{a}{b}\right)^2} = \frac{\sqrt{a^2 + b^2}}{b}$ ($\because b > 0$)倍となる。 したがって、線分の長さの比は $x$ 座標の差の絶対値の比に等しく、
$$ \frac{PQ}{RS} = \frac{|\alpha - \beta| \cdot \frac{\sqrt{a^2 + b^2}}{b}}{\frac{1}{a} \cdot \frac{\sqrt{a^2 + b^2}}{b}} = \frac{|\alpha - \beta|}{\frac{1}{a}} = a|\alpha - \beta| $$
条件より $\frac{PQ}{RS} = \sqrt{2}$ であるから、
$$ a|\alpha - \beta| = \sqrt{2} $$
両辺を2乗して
$$ a^2(\alpha - \beta)^2 = 2 $$
ここで、$(\alpha - \beta)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = \left(\frac{1}{a}\right)^2 - 4\left(-\frac{b}{a}\right) = \frac{1 + 4ab}{a^2}$ であるから、これを代入すると
$$ a^2 \cdot \frac{1 + 4ab}{a^2} = 2 $$
$$ 1 + 4ab = 2 \iff 4ab = 1 \quad \cdots ② $$
次に、線分 $PQ$ の中点を $M(X, Y)$ とおく。 $X$ は交点の $x$ 座標の平均であるから
$$ X = \frac{\alpha + \beta}{2} = \frac{1}{2a} \quad \cdots ③ $$
$Y$ は交点の $y$ 座標の平均であるから
$$ Y = \frac{\left(-\frac{1}{\alpha}\right) + \left(-\frac{1}{\beta}\right)}{2} = \frac{-\frac{\alpha + \beta}{\alpha\beta}}{2} = -\frac{\frac{1}{a}}{2\left(-\frac{b}{a}\right)} = \frac{1}{2b} \quad \cdots ④ $$
③、④より $a = \frac{1}{2X}, b = \frac{1}{2Y}$ である。 これを②に代入すると、
$$ 4 \left(\frac{1}{2X}\right) \left(\frac{1}{2Y}\right) = 1 \iff \frac{1}{XY} = 1 \iff Y = \frac{1}{X} $$
また、$a, b$ は正の実数であるから、③より $X > 0$ である。($X > 0$ のとき、任意の $X$ に対して正の実数 $a$ が定まり、$Y = \frac{1}{X} > 0$ より正の実数 $b$ も定まる。)
以上より、中点の軌跡は曲線 $y = \frac{1}{x}$ の $x > 0$ の部分である。
解説
解と係数の関係を利用して軌跡を求める頻出のテーマです。 「直線上の2点間の距離」を愚直に三平方の定理で計算しようとすると式が肥大化してしまいますが、「$x$ 座標の差」に「傾きから定まる一定の倍率」を掛けるという見方ができると、比をとった瞬間に倍率部分が約分されて消え、非常にスマートな計算になります。 また、中点の $y$ 座標を求める際、直線 $L$ の式 $aX + bY = 1$ に $X$ を代入して求めることもできますが、本解法のように $Y$ についても対称式($-\frac{1}{\alpha}$ と $-\frac{1}{\beta}$ の平均)として計算すると、$X$ と $Y$ の対称性が際立ち、条件式 $4ab=1$ に代入するプロセスが綺麗にまとまります。最後に $a, b > 0$ から生じる軌跡の限界($x > 0$)を忘れないようにしましょう。
答え
曲線 $y = \frac{1}{x} \ (x > 0)$
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