京都大学 1997年 理系 第3問 解説

方針・初手
- 2つの放物線で囲まれた全体の面積 $S$ を定積分を用いて求めます。交点の $x$ 座標を文字で置き、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を利用して計算を効率化します。
- 接線 $L$ によって面積が2等分されるという条件を数式化します。接線 $L$ は上の放物線の接線であるため、囲まれた領域内では常に上の放物線より下側にあります。したがって、「$L$ と下の放物線で囲まれた面積 $S_1$」が「全体の面積 $S$ の半分」になるという方程式を立てます。
- (2) の極限は、(1) で求めた式を $k \to \infty$ で極限が求まる形(分母分子を $k$ で割るなど)に変形します。
解法1
(1)
2つの放物線 $C_1: y = x^2 + 1$ と $C_2: y = kx^2 \ (k > 1)$ の交点の $x$ 座標を求める。
$$ x^2 + 1 = kx^2 \iff (k-1)x^2 = 1 $$
$k > 1$ より、
$$ x = \pm \frac{1}{\sqrt{k-1}} $$
ここで、$\alpha = \frac{1}{\sqrt{k-1}}$ とおく。$C_1$ と $C_2$ で囲まれた部分の面積 $S$ は、$-\alpha \leqq x \leqq \alpha$ において $C_1$ が $C_2$ の上側にあるため、
$$ S = \int_{-\alpha}^{\alpha} (x^2 + 1 - kx^2) dx $$
$$ S = -\int_{-\alpha}^{\alpha} (k-1)(x - \alpha)(x + \alpha) dx $$
$$ S = \frac{k-1}{6} ( \alpha - (-\alpha) )^3 = \frac{k-1}{6} \cdot 8\alpha^3 = \frac{4}{3}(k-1)\alpha^3 $$
$\alpha = \frac{1}{\sqrt{k-1}}$ を代入して、
$$ S = \frac{4}{3}(k-1) \frac{1}{(k-1)\sqrt{k-1}} = \frac{4}{3\sqrt{k-1}} $$
次に、$C_1$ 上の点 $P(a, a^2+1)$ における接線 $L$ の方程式を求める。 $y = x^2+1$ より $y' = 2x$ であるから、接線 $L$ の方程式は、
$$ y - (a^2+1) = 2a(x - a) \iff y = 2ax - a^2 + 1 $$
接線 $L$ は $C_1$ に接する直線であり、下に凸の放物線の下側を通るため、図形的に「$L$ の下側にある部分の面積」とは、「接線 $L$ と放物線 $C_2$ で囲まれた部分の面積」を指す。これを $S_1$ とおく。 接線 $L$ と $C_2$ の交点の $x$ 座標は、次の方程式の実数解である。
$$ kx^2 = 2ax - a^2 + 1 \iff kx^2 - 2ax + a^2 - 1 = 0 $$
この2次方程式が異なる2つの実数解をもつと仮定し、それらを $\beta, \gamma \ (\beta < \gamma)$ とする。 解の公式(または解と係数の関係)より、
$$ \gamma - \beta = \frac{2\sqrt{a^2 - k(a^2 - 1)}}{k} = \frac{2\sqrt{k - (k-1)a^2}}{k} $$
面積 $S_1$ は、
$$ S_1 = \int_{\beta}^{\gamma} \{ (2ax - a^2 + 1) - kx^2 \} dx $$
$$ S_1 = -k \int_{\beta}^{\gamma} (x - \beta)(x - \gamma) dx $$
$$ S_1 = \frac{k}{6} (\gamma - \beta)^3 = \frac{k}{6} \left( \frac{2\sqrt{k - (k-1)a^2}}{k} \right)^3 $$
$$ S_1 = \frac{4}{3k^2} \{ k - (k-1)a^2 \}^{3/2} $$
条件より $S_1 = \frac{1}{2}S$ であるから、
$$ \frac{4}{3k^2} \{ k - (k-1)a^2 \}^{3/2} = \frac{1}{2} \cdot \frac{4}{3\sqrt{k-1}} = \frac{2}{3\sqrt{k-1}} $$
両辺に $\frac{3k^2}{4}$ を掛けて整理する。
$$ \{ k - (k-1)a^2 \}^{3/2} = \frac{k^2}{2\sqrt{k-1}} $$
両辺を $\frac{2}{3}$ 乗する。
$$ k - (k-1)a^2 = \left( \frac{k^2}{2\sqrt{k-1}} \right)^{2/3} = \frac{k^{4/3}}{2^{2/3}(k-1)^{1/3}} $$
$a^2$ について解く。
$$ (k-1)a^2 = k - \frac{k^{4/3}}{2^{2/3}(k-1)^{1/3}} $$
$$ a^2 = \frac{k}{k-1} - \frac{k^{4/3}}{2^{2/3}(k-1)^{4/3}} $$
または、次のようにまとめることができる。
$$ a^2 = \frac{k}{k-1} - \frac{1}{2^{2/3}} \left( \frac{k}{k-1} \right)^{4/3} $$
(2)
(1) の結果を用いて、$\lim_{k \to \infty} a^2$ を計算する。
$$ a^2 = \frac{k}{k-1} - \frac{1}{2^{2/3}} \left( \frac{k}{k-1} \right)^{4/3} = \frac{1}{1 - \frac{1}{k}} - \frac{1}{2^{2/3}} \left( \frac{1}{1 - \frac{1}{k}} \right)^{4/3} $$
$k \to \infty$ のとき $\frac{1}{k} \to 0$ であるから、
$$ \lim_{k \to \infty} a^2 = \frac{1}{1 - 0} - \frac{1}{2^{2/3}} \left( \frac{1}{1 - 0} \right)^{4/3} = 1 - \frac{1}{2^{2/3}} $$
分母を有理化せずとも正解となるが、根号を用いて表すと $1 - \frac{1}{\sqrt[3]{4}}$ となる。
解説
- 放物線と直線(または放物線どうし)で囲まれた面積の計算には、定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3$ が非常に有効です。本問では2回の面積計算でこの公式を用いることで、計算量を大幅に削減できます。
- 直線 $L$ は上に凸の放物線ではなく、下に凸の放物線 $y=x^2+1$ の接線であるため、接点以外の領域では必ず $y=x^2+1$ より下側にあります。したがって、2等分された領域のうち「$L$ の下側」の面積は、単純に $L$ と $y=kx^2$ で囲まれた部分として計算できます。
- (2) の極限計算は、分母分子を最高次の項 $k$ で割るという基本変形を行えば、容易に不定形を解消できます。
答え
(1)
$$ a^2 = \frac{k}{k-1} - \frac{1}{2^{2/3}} \left( \frac{k}{k-1} \right)^{4/3} $$
(または $a^2 = \frac{k}{k-1} - \frac{k\sqrt[3]{k}}{(k-1)\sqrt[3]{4(k-1)}}$ などと同値な式)
(2)
$$ 1 - \frac{1}{2^{2/3}} \quad \left( \text{または} \ 1 - \frac{1}{\sqrt[3]{4}} \right) $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











