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九州大学 1973年 文系 第5問 解説

数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
九州大学 1973年 文系 第5問 解説

方針・初手

2次方程式が実数解をもつ条件(判別式 $D \ge 0$)を確認したうえで、解と係数の関係を利用する。2つの実根の絶対値の和 $|\alpha| + |\beta| \le 1$ は、両辺が0以上であることを利用して2乗し、同値変形を行うことで絶対値を処理しやすくするのがポイントである。その後、$b$ の符号によって場合分けを行い、$(a, b)$ の満たす不等式を導く。

解法1

(1)

与えられた2次方程式 $x^2 + 2ax + b = 0$ が実根をもつための条件は、判別式を $D$ とすると $D \ge 0$ である。

$$\frac{D}{4} = a^2 - b \ge 0 \iff b \le a^2 \quad \cdots \text{①}$$

2つの実根を $\alpha, \beta$ とおくと、解と係数の関係より以下の等式が成り立つ。

$$\alpha + \beta = -2a, \quad \alpha\beta = b \quad \cdots \text{②}$$

条件より $|\alpha| + |\beta| \le 1$ である。両辺ともに0以上であるから、両辺を2乗しても同値性が保たれる。

$$(|\alpha| + |\beta|)^2 \le 1^2$$

$$\alpha^2 + 2|\alpha||\beta| + \beta^2 \le 1$$

$$(\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta + 2|\alpha\beta| \le 1$$

これに②を代入して整理する。

$$(-2a)^2 - 2b + 2|b| \le 1$$

$$4a^2 - 2b + 2|b| \le 1 \quad \cdots \text{③}$$

ここで、絶対値記号を外すために $b$ の符号で場合分けを行う。

(i) $b \ge 0$ のとき

$|b| = b$ であるから、③は以下のようになる。

$$4a^2 - 2b + 2b \le 1$$

$$4a^2 \le 1 \iff -\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2}$$

これと①および $b \ge 0$ を合わせると、この場合における点 $(a, b)$ の存在範囲は次のようになる。

$$-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad 0 \le b \le a^2 \quad \cdots \text{④}$$

(ii) $b < 0$ のとき

$|b| = -b$ であるから、③は以下のようになる。

$$4a^2 - 2b - 2b \le 1$$

$$4a^2 - 4b \le 1 \iff b \ge a^2 - \frac{1}{4}$$

このとき、常に $a^2 - \frac{1}{4} < a^2$ が成り立つため、条件 $b \le a^2$(①)は満たされる。 また、$a^2 - \frac{1}{4} < 0$ となる $a$ の範囲は $-\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2}$ であるため、この場合における点 $(a, b)$ の存在範囲は次のようになる。

$$-\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad a^2 - \frac{1}{4} \le b < 0 \quad \cdots \text{⑤}$$

(i), (ii) より、求める領域は④と⑤を合わせた部分となる。すなわち

$$-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad a^2 - \frac{1}{4} \le b \le a^2$$

(2)

(1)で求めた領域の面積 $S$ を求める。 この領域は $-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2}$ において、上端の境界線が曲線 $b = a^2$、下端の境界線が曲線 $b = a^2 - \frac{1}{4}$ で表されるため、定積分を用いて計算できる。

$$S = \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left\{ a^2 - \left(a^2 - \frac{1}{4}\right) \right\} da$$

$$S = \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \frac{1}{4} da$$

$$S = \frac{1}{4} \left[ a \right]_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}}$$

$$S = \frac{1}{4} \left( \frac{1}{2} - \left(-\frac{1}{2}\right) \right) = \frac{1}{4}$$

解説

2次方程式の解の絶対値に関する条件を処理する典型的な問題である。 「2解の絶対値の和」という条件に対しては、本問のように両辺を2乗して処理するアプローチが極めて有効である。これにより、無理に解の符号(ともに正、ともに負、異符号)による細かな解の配置問題へ持ち込むことなく、解と係数の関係を利用した代数的な同値変形のみで簡潔に答えを導き出すことができる。 面積の計算においては、被積分関数が定数となるため、カヴァリエリの原理からも面積が $1 \times \frac{1}{4} = \frac{1}{4}$ になることが図形的に容易に確認できる。

答え

(1)

点 $(a, b)$ の存在する範囲は

$$-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad a^2 - \frac{1}{4} \le b \le a^2$$

図示すると、$ab$ 平面上において以下の4つの境界線で囲まれた領域となる(境界線を含む)。 ・曲線 $b = a^2 \quad \left(-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2}\right)$ ・曲線 $b = a^2 - \frac{1}{4} \quad \left(-\frac{1}{2} \le a \le \frac{1}{2}\right)$ ・線分 $a = \frac{1}{2} \quad \left(0 \le b \le \frac{1}{4}\right)$ ・線分 $a = -\frac{1}{2} \quad \left(0 \le b \le \frac{1}{4}\right)$

(2)

$$\frac{1}{4}$$

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