九州大学 1974年 文系 第5問 解説

方針・初手
(1) は、曲線の方程式を $x$ で微分して導関数を求め、$x=a$ における接線の傾きと接点の $y$ 座標から接線の方程式を導出する。
(2) は、曲線と接線の方程式から連立方程式を作り、共有点の $x$ 座標を求める。直線が曲線に $x=a$ で接することから、差の式が $(x-a)^2$ を因数にもつことを利用して因数分解を行うとよい。共有点の大小関係から上下関係を把握し、定積分で面積を計算する。その際、被積分関数を $(x-a)$ の多項式に変形すると計算が簡略化される。
解法1
(1)
曲線の方程式を $f(x) = x(x-1)(x-3a)$ とおく。展開すると以下のようになる。
$$f(x) = x \{ x^2 - (3a+1)x + 3a \} = x^3 - (3a+1)x^2 + 3ax$$
これを $x$ について微分すると、導関数は次のようになる。
$$f'(x) = 3x^2 - 2(3a+1)x + 3a$$
点 $P$ の $x$ 座標は $a$ であるから、$y$ 座標 $f(a)$ は次のように求まる。
$$f(a) = a(a-1)(a-3a) = a(a-1)(-2a) = -2a^3 + 2a^2$$
また、点 $P$ における接線の傾き $f'(a)$ は次のようになる。
$$f'(a) = 3a^2 - 2(3a+1)a + 3a = 3a^2 - 6a^2 - 2a + 3a = -3a^2 + a$$
よって、点 $P$ における接線の方程式は、傾きと通る点を用いて次のように立式できる。
$$y - (-2a^3 + 2a^2) = (-3a^2 + a)(x - a)$$
これを $y$ について整理する。
$$y = (-3a^2 + a)x - a(-3a^2 + a) - 2a^3 + 2a^2$$
$$y = (-3a^2 + a)x + 3a^3 - a^2 - 2a^3 + 2a^2$$
$$y = (-3a^2 + a)x + a^3 + a^2$$
(2)
(1) で求めた接線を $y = g(x)$ とおく。曲線 $y = f(x)$ と接線 $y = g(x)$ の共有点の $x$ 座標は、方程式 $f(x) - g(x) = 0$ の解である。
直線は $x=a$ で曲線に接しているため、$f(x) - g(x)$ は $(x-a)^2$ を因数にもつ。
$$\begin{aligned} f(x) - g(x) &= x^3 - (3a+1)x^2 + 3ax - \{ (-3a^2+a)x + a^3 + a^2 \} \\ &= x^3 - (3a+1)x^2 + (3a^2+2a)x - a^2(a+1) \end{aligned}$$
これが $(x-a)^2(x-c)$ の形に因数分解できるとすると、定数項の比較から $-a^2c = -a^2(a+1)$ となり、$c = a+1$ であると推測できる。実際に展開して確認する。
$$\begin{aligned} (x-a)^2(x - (a+1)) &= (x^2 - 2ax + a^2)(x - a - 1) \\ &= x^3 + (-a - 1 - 2a)x^2 + \{ -2a(-a-1) + a^2 \}x - a^2(a+1) \\ &= x^3 - (3a+1)x^2 + (3a^2+2a)x - a^2(a+1) \end{aligned}$$
一致するため、$f(x) - g(x) = (x-a)^2 \{ x - (a+1) \}$ と因数分解できる。したがって、共有点の $x$ 座標は $x = a$ と $x = a+1$ である。
$\frac{1}{3} < a < 1$ であるから $a$ は実数であり、$a < a+1$ の大小関係が成り立つ。区間 $a < x < a+1$ において、$(x-a)^2 > 0$ かつ $x - (a+1) < 0$ であるため、$f(x) - g(x) < 0$ となる。すなわち、この区間では接線 $g(x)$ の方が曲線 $f(x)$ よりも上にある。
求める面積 $S$ は、上の式から下の式を引いて定積分することで求められる。
$$\begin{aligned} S &= \int_{a}^{a+1} \{ g(x) - f(x) \} dx \\ &= \int_{a}^{a+1} - (x-a)^2 \{ x - (a+1) \} dx \\ &= \int_{a}^{a+1} (x-a)^2 \{ (a+1) - x \} dx \end{aligned}$$
積分計算を工夫するため、被積分関数を $(x-a)$ の多項式に変形する。
$$\begin{aligned} S &= \int_{a}^{a+1} (x-a)^2 [ 1 - (x-a) ] dx \\ &= \int_{a}^{a+1} \{ (x-a)^2 - (x-a)^3 \} dx \\ &= \left[ \frac{(x-a)^3}{3} - \frac{(x-a)^4}{4} \right]_{a}^{a+1} \end{aligned}$$
上限 $a+1$ を代入すると $(x-a)$ の部分は $1$ となり、下限 $a$ を代入すると $0$ となる。
$$S = \left( \frac{1^3}{3} - \frac{1^4}{4} \right) - 0 = \frac{1}{3} - \frac{1}{4} = \frac{1}{12}$$
解説
3次曲線とその接線で囲まれる面積を求める典型問題である。
接線と曲線の交点を求める際、まともに3次方程式を解こうとするのではなく、「$x=\alpha$ で接するならば差の式は $(x-\alpha)^2$ を因数にもつ」という性質を利用するのがポイントである。これにより、組立除法や係数比較を用いて容易にもう一つの交点を求めることができる。
また、定積分による面積計算においては、被積分関数を $(x-a)^2 \{ (a+1-x) \}$ に整理した後、無理に展開せずに $(x-a)$ の塊を作る工夫をすると計算量が減り、ミスを防ぎやすくなる。結果として面積が定数 $\frac{1}{12}$ となり、$a$ の値に依存しないことも興味深い性質である。なお、公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2 (\beta - x) dx = \frac{(\beta-\alpha)^4}{12}$ を用いてもすぐに結果を得ることができる。
答え
(1) $y = (-3a^2 + a)x + a^3 + a^2$
(2) $S = \frac{1}{12}$
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