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九州大学 1990年 文系 第4問 解説

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九州大学 1990年 文系 第4問 解説

方針・初手

交点 $P$ の $x$ 座標を求め、積分区間とグラフの上下関係を正確に把握する。面積 $S$ は $\frac{1}{6}$ 公式を直接適用できる形である。面積 $T$ については、図形の境界がどのようになっているかを文章から正しく読み取り、積分区間を決定する。その際、置換積分(平行移動)を利用すると計算が簡略化される。(2) では得られた等式を整理し、因数定理を用いて $a$ と $b$ の関係式を導く。

解法1

(1) 直線 $y=ax$ と放物線 $y=x^2-bx$ の交点の $x$ 座標は、方程式 $x^2-bx=ax$ を解いて求める。

$$x^2 - (a+b)x = 0$$

$$x(x - a - b) = 0$$

$x=0, a+b$ となり、原点と異なる交点 $P$ の $x$ 座標は $a+b$ である。$a>0, b>0$ より $a+b>0$ である。

放物線 $y=x^2-bx = x(x-b)$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標は $0, b$ である。 $0 \leqq x \leqq b$ の範囲で $x^2-bx \leqq 0$ であるから、面積 $S$ は次のように計算できる。

$$S = \int_{0}^{b} \{ 0 - (x^2-bx) \} dx$$

$$= \int_{0}^{b} -x(x-b) dx$$

$$= \frac{1}{6}(b-0)^3 = \frac{b^3}{6}$$

$P$ を通り $y$ 軸に平行な直線は $x=a+b$ である。 「放物線と $x$ 軸および $x=a+b$ で囲まれる部分」について、$a>0, b>0$ より $b < a+b$ であり、$y$ 軸などの他の境界が指定されていないため、これは $x=b$ から $x=a+b$ までの領域を指す。 $b \leqq x \leqq a+b$ の範囲で $x^2-bx \geqq 0$ であるから、面積 $T$ は次のようになる。

$$T = \int_{b}^{a+b} (x^2-bx) dx$$

この積分は、平行移動 $t = x-b$ を用いて計算する。$dx = dt$ であり、$x$ が $b$ から $a+b$ まで変化するとき、$t$ は $0$ から $a$ まで変化する。また、$x^2-bx = x(x-b) = (t+b)t = t^2+bt$ であるから、

$$T = \int_{0}^{a} (t^2+bt) dt$$

$$= \left[ \frac{1}{3}t^3 + \frac{b}{2}t^2 \right]_{0}^{a}$$

$$= \frac{a^3}{3} + \frac{a^2b}{2}$$

$$= \frac{a^2(2a+3b)}{6}$$

(2) $\frac{T}{S} = 5$ より $T = 5S$ であるから、(1) の結果を代入する。

$$\frac{a^2(2a+3b)}{6} = 5 \times \frac{b^3}{6}$$

$$2a^3 + 3a^2b = 5b^3$$

$$5b^3 - 3a^2b - 2a^3 = 0$$

この式の左辺は $b$ についての3次式であり、$b=a$ を代入すると $5a^3 - 3a^3 - 2a^3 = 0$ となるため、因数定理より $(b-a)$ を因数にもつ。因数分解すると次のようになる。

$$(b-a)(5b^2 + 5ab + 2a^2) = 0$$

ここで、第2因数について平方完成を行う。

$$5b^2 + 5ab + 2a^2 = 5\left( b + \frac{a}{2} \right)^2 - \frac{5}{4}a^2 + 2a^2 = 5\left( b + \frac{a}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}a^2$$

$a>0$ であるため、この式の値は常に正である。 したがって、$b-a = 0$ となり、$b=a$ が導かれる。

解説

面積の計算において、積分区間の一端が関数の根になっている場合、置換積分を活用することで被積分関数が単純化され、計算ミスを大幅に減らすことができる。(1)の $T$ の計算はその典型例である。そのまま展開して $(a+b)^3$ などの計算を行うと労力がかかりミスを誘発しやすい。 また、(2)で現れるような $a$ と $b$ の同次式は、1つの文字についての方程式とみなして因数定理を用いるのが基本方針である。因数分解後の2次式が実数解を持たない(または正の範囲で解を持たない)ことの確認には、平方完成が有効である。

答え

(1) $S = \frac{b^3}{6}$ $T = \frac{a^2(2a+3b)}{6}$

(2) $b = a$

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