九州大学 1991年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は放物線と直線の交点を求め、定積分によって面積を計算する。交点の $x$ 座標は方程式 $nx = \frac{x^2}{2}$ を解くことで得られる。
(2) は (3) のための具体例の確認である。グラフを描いて条件を満たす格子点を直接数え上げる。
(3) は $x$ 座標を整数 $k$ で固定し、そのときの条件を満たす $y$ 座標の整数の個数を数え、それを $k=0$ から $k=2n$ まで足し合わせる。下端となる $y = \frac{k^2}{2}$ が $k$ の偶奇によって整数になるかどうかが変わるため、場合分けが必要になる。
解法1
(1)
$y = nx$ と $y = \frac{x^2}{2}$ の交点の $x$ 座標を求める。
$$nx = \frac{x^2}{2}$$
$$x^2 - 2nx = 0$$
$$x(x - 2n) = 0$$
$n$ は正整数であるから、$x = 0, 2n$ である。
区間 $0 \le x \le 2n$ において $nx \ge \frac{x^2}{2}$ であるから、求める面積 $S_n$ は以下の定積分で計算できる。
$$S_n = \int_{0}^{2n} \left( nx - \frac{x^2}{2} \right) dx$$
$$S_n = -\frac{1}{2} \int_{0}^{2n} x(x - 2n) dx$$
公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3$ を用いると、
$$S_n = -\frac{1}{2} \left\{ -\frac{1}{6} (2n - 0)^3 \right\}$$
$$S_n = \frac{1}{12} \cdot 8n^3 = \frac{2}{3}n^3$$
(2)
条件を満たす領域は $\frac{x^2}{2} \le y \le nx$ である。
$n=1$ のとき、領域は $\frac{x^2}{2} \le y \le x$ ($0 \le x \le 2$) である。 各 $x$ における整数 $y$ の範囲と個数を調べる。
- $x = 0$ のとき、$0 \le y \le 0$ より $y = 0$ の 1個
- $x = 1$ のとき、$\frac{1}{2} \le y \le 1$ より $y = 1$ の 1個
- $x = 2$ のとき、$2 \le y \le 2$ より $y = 2$ の 1個
よって、$N_1 = 1 + 1 + 1 = 3$ である。
$n=2$ のとき、領域は $\frac{x^2}{2} \le y \le 2x$ ($0 \le x \le 4$) である。
- $x = 0$ のとき、$0 \le y \le 0$ より $y = 0$ の 1個
- $x = 1$ のとき、$\frac{1}{2} \le y \le 2$ より $y = 1, 2$ の 2個
- $x = 2$ のとき、$2 \le y \le 4$ より $y = 2, 3, 4$ の 3個
- $x = 3$ のとき、$\frac{9}{2} \le y \le 6$ より $y = 5, 6$ の 2個
- $x = 4$ のとき、$8 \le y \le 8$ より $y = 8$ の 1個
よって、$N_2 = 1 + 2 + 3 + 2 + 1 = 9$ である。
(3)
領域 $\frac{x^2}{2} \le y \le nx$ ($0 \le x \le 2n$) に含まれる格子点の総数 $N_n$ を求める。 $x$ 座標を整数 $k$ ($0 \le k \le 2n$) に固定したとき、満たすべき $y$ の条件は以下の通りである。
$$\frac{k^2}{2} \le y \le nk$$
この範囲にある整数 $y$ の個数を求める。$k$ が偶数か奇数かで $\frac{k^2}{2}$ が整数となるかが変わるため、整数 $m$ を用いて場合分けをする。
(i) $k = 2m$ (偶数) のとき ($0 \le m \le n$)
条件は $2m^2 \le y \le 2nm$ となる。両端がともに整数であるから、この範囲にある整数 $y$ の個数は
$$2nm - 2m^2 + 1$$
である。
(ii) $k = 2m - 1$ (奇数) のとき ($1 \le m \le n$)
条件は $\frac{(2m-1)^2}{2} \le y \le n(2m-1)$ となる。これを展開して整理すると、
$$2m^2 - 2m + \frac{1}{2} \le y \le n(2m-1)$$
$y$ は整数であるから、下端の条件は $y \ge 2m^2 - 2m + 1$ となる。両端がともに整数になったので、この範囲にある整数 $y$ の個数は
$$n(2m-1) - (2m^2 - 2m + 1) + 1 = 2nm - n - 2m^2 + 2m$$
である。
以上より、格子点の総数 $N_n$ はこれらを足し合わせたものになる。
$$N_n = \sum_{m=0}^{n} (2nm - 2m^2 + 1) + \sum_{m=1}^{n} (2nm - n - 2m^2 + 2m)$$
それぞれのシグマを計算する。
$$\sum_{m=0}^{n} (2nm - 2m^2 + 1) = 2n \sum_{m=1}^{n} m - 2 \sum_{m=1}^{n} m^2 + \sum_{m=0}^{n} 1$$
$$= 2n \cdot \frac{1}{2}n(n+1) - 2 \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) + (n+1)$$
$$= n^2(n+1) - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1) + (n+1)$$
また、もう一方の和は、
$$\sum_{m=1}^{n} (2nm - n - 2m^2 + 2m) = (2n+2) \sum_{m=1}^{n} m - 2 \sum_{m=1}^{n} m^2 - n \sum_{m=1}^{n} 1$$
$$= (2n+2) \cdot \frac{1}{2}n(n+1) - 2 \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) - n^2$$
$$= n(n+1)^2 - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1) - n^2$$
$$= n(n^2+2n+1) - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1) - n^2$$
$$= n^3 + n^2 + n - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1)$$
したがって、$N_n$ はこれらを足して次のように計算できる。
$$N_n = n^2(n+1) - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1) + n + 1 + n^3 + n^2 + n - \frac{1}{3}n(n+1)(2n+1)$$
$$= (n^3 + n^2) + n + 1 + (n^3 + n^2 + n) - \frac{2}{3}n(n+1)(2n+1)$$
$$= 2n^3 + 2n^2 + 2n + 1 - \frac{2}{3}(2n^3 + 3n^2 + n)$$
$$= 2n^3 + 2n^2 + 2n + 1 - \frac{4}{3}n^3 - 2n^2 - \frac{2}{3}n$$
$$= \frac{2}{3}n^3 + \frac{4}{3}n + 1$$
解説
格子点を数え上げる際の典型的な手法を用いる問題である。$y$ 軸に平行な直線 $x=k$ を引き、その線分上に乗っている格子点の数を数えて和をとるのが定石である。
本問で受験生が詰まりやすいのは、下側の境界が $y = \frac{x^2}{2}$ という分数を含む形をしている点である。$x$ に整数を代入した際、計算結果が必ずしも整数になるとは限らない。そのため、$x$ 座標が偶数か奇数かで場合分けを行い、不等式を満たす「整数の」下端・上端を正確に見極める操作が必要となる。
最後に求めた $N_n$ の式に $n=1, 2$ を代入して (2) の結果と一致するか確かめることで、計算ミスの有無を強力に確認することができる。
答え
(1) $S_n = \frac{2}{3}n^3$
(2) $N_1 = 3, N_2 = 9$
(3) $N_n = \frac{2}{3}n^3 + \frac{4}{3}n + 1$
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