九州大学 1988年 理系 第2問 解説

方針・初手
問題の図形をどのように分割または捉えるかが初手のポイントである。上下の関数をそのまま積分してもよいが、点 $Q$ から $x$ 軸に垂線を下ろしてできる直角三角形の面積から、曲線 $C$ の下側の面積を引く形として計算すると見通しが良い。 (2) では与えられた関係式を用いて変数を $t$ のみにまとめ、微分の助けを借りて最大値を求める。その際、消去する変数 $a$ の変域から $t$ の変域が制限されることに注意する。
解法1
(1)
曲線 $C: y = x^2 - 1$ ($x \geqq 1$) と $x$ 軸の交点は $(1, 0)$ である。 点 $Q(t, t^2-1)$ から $x$ 軸に垂線 $QH$ を下ろすと、$H(t, 0)$ となる。 条件 $-1 \leqq a \leqq 1$ および $t \geqq 1$ より、点 $P(a, 0)$ は点 $(1, 0)$ および点 $H(t, 0)$ よりも左側(または一致)にある。 したがって、求める面積 $S$ は、直角三角形 $PHQ$ の面積から、曲線 $C$ と $x$ 軸および直線 $x=t$ で囲まれた部分の面積を引いたものとして求められる。
$$S = \frac{1}{2} (t-a)(t^2-1) - \int_{1}^{t} (x^2-1) dx$$
ここで、積分の部分は次のように計算できる。
$$\int_{1}^{t} (x^2-1) dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 - x \right]_{1}^{t} = \left( \frac{1}{3}t^3 - t \right) - \left( \frac{1}{3} - 1 \right) = \frac{1}{3}t^3 - t + \frac{2}{3}$$
これを $S$ の式に代入して整理する。
$$\begin{aligned} S &= \frac{1}{2} (t^3 - t - at^2 + a) - \left( \frac{1}{3}t^3 - t + \frac{2}{3} \right) \\ &= \frac{1}{6}t^3 - \frac{1}{2}at^2 + \frac{1}{2}t + \frac{1}{2}a - \frac{2}{3} \end{aligned}$$
(2)
点 $P$ と $Q$ が満たす関係式 $t - a = 2$ より、$a = t - 2$ である。 点 $P$ の $x$ 座標についての条件 $-1 \leqq a \leqq 1$ に代入すると、
$$-1 \leqq t - 2 \leqq 1$$
$$1 \leqq t \leqq 3$$
となり、これは点 $Q$ の条件 $t \geqq 1$ を満たしている。 (1) で立式した $S$ の途中段階の式に $t - a = 2$ を代入すると計算が早い。
$$\begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot (t^2-1) - \left( \frac{1}{3}t^3 - t + \frac{2}{3} \right) \\ &= t^2 - 1 - \frac{1}{3}t^3 + t - \frac{2}{3} \\ &= -\frac{1}{3}t^3 + t^2 + t - \frac{5}{3} \end{aligned}$$
これを $f(t)$ とおき、$1 \leqq t \leqq 3$ における最大値を調べる。
$$f'(t) = -t^2 + 2t + 1$$
$f'(t) = 0$ とすると、$t^2 - 2t - 1 = 0$ より $t = 1 \pm \sqrt{2}$ である。 $1 \leqq t \leqq 3$ の範囲に含まれるのは $t = 1 + \sqrt{2}$ のみである。 区間 $1 \leqq t \leqq 3$ において、$1 \leqq t < 1+\sqrt{2}$ では $f'(t) > 0$、$1+\sqrt{2} < t \leqq 3$ では $f'(t) < 0$ となるため、$f(t)$ は $t = 1 + \sqrt{2}$ で極大かつ最大となる。
このときの $f(t)$ の値は、$f(t)$ を $t^2 - 2t - 1$ で割った余りを利用して計算すると簡明である。
$$-\frac{1}{3}t^3 + t^2 + t - \frac{5}{3} = -\frac{1}{3}t(t^2 - 2t - 1) + \frac{1}{3}(t^2 - 2t - 1) + \frac{4}{3}t - \frac{4}{3}$$
$t = 1+\sqrt{2}$ のとき $t^2 - 2t - 1 = 0$ となるため、最大値は次のように求まる。
$$f(1+\sqrt{2}) = \frac{4}{3}(1+\sqrt{2}) - \frac{4}{3} = \frac{4\sqrt{2}}{3}$$
このとき、$a$ の値は $a = t - 2 = -1 + \sqrt{2}$ である。 また、点 $Q$ の $y$ 座標は $t^2 - 1 = (1+\sqrt{2})^2 - 1 = (3+2\sqrt{2}) - 1 = 2+2\sqrt{2}$ となる。
解説
面積を求めるにあたり、どの領域からどの領域を引くかを図形的に正しく把握できるかが問われている。直線の方程式を立てて定積分 $\int (直線 - 曲線) dx$ を計算してももちろん正解にたどり着けるが、本解法のように図形の面積(三角形)をベースに定積分を引く形にすると、式の展開や積分の手間が大きく省ける。 また、最大値を求める過程で高次式に無理数を代入する場面では、本解法で示したように「次数下げ(方程式の解であることを利用した割り算)」を用いるのが定石であり、計算ミスを防ぐ有効な手段となる。
答え
(1)
$$S = \frac{1}{6}t^3 - \frac{1}{2}at^2 + \frac{1}{2}t + \frac{1}{2}a - \frac{2}{3}$$
(2)
$$P(-1+\sqrt{2}, 0), \quad Q(1+\sqrt{2}, 2+2\sqrt{2})$$
$$S\text{ の最大値 } \frac{4\sqrt{2}}{3}$$
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