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九州大学 1973年 理系 第4問 解説

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九州大学 1973年 理系 第4問 解説

方針・初手

2次方程式の判別式の符号に着目し、実数解をもつか虚数解をもつかで場合分けを行います。

実数解をもつ場合は、解と係数の関係を利用して解の絶対値の和の条件を係数 $a, b$ の関係式に帰着させます。このとき、絶対値を外すためにさらに $b$ の符号による場合分けが必要になります。虚数解をもつ場合は、複素数の絶対値の定義に従って計算を進めます。

解法1

(1)

2次方程式 $x^2+2ax+b=0$ の判別式を $D$ とすると、$\frac{D}{4} = a^2-b$ である。 実数解をもつ場合と虚数解をもつ場合で場合分けを行う。

(i) 実数解をもつ場合

$\frac{D}{4} = a^2-b \ge 0$ すなわち $b \le a^2$ のとき。 2つの実数解を $\alpha, \beta$ とすると、解と係数の関係より

$$\alpha+\beta = -2a, \quad \alpha\beta = b$$

が成り立つ。条件より $|\alpha| + |\beta| = 1$ であるから、両辺を2乗すると

$$(|\alpha| + |\beta|)^2 = 1$$

$$\alpha^2 + \beta^2 + 2|\alpha||\beta| = 1$$

$$(\alpha+\beta)^2 - 2\alpha\beta + 2|\alpha\beta| = 1$$

ここに解と係数の関係を代入して

$$(-2a)^2 - 2b + 2|b| = 1$$

$$4a^2 - 2b + 2|b| = 1$$

ここで、$b$ の符号によってさらに場合分けを行う。

(i-a) $b \ge 0$ のとき

$b \le a^2$ かつ $b \ge 0$ である。 絶対値を外すと $|b| = b$ となるので、

$$4a^2 - 2b + 2b = 1$$

$$4a^2 = 1 \iff a = \pm \frac{1}{2}$$

$b \le a^2$ の条件とあわせると、$b \le \frac{1}{4}$ となる。 したがって、点 $(a, b)$ は2つの線分 $a = \pm \frac{1}{2}$ $\left(0 \le b \le \frac{1}{4}\right)$ 上にある。

(i-b) $b < 0$ のとき

$b < 0$ であれば、$b \le a^2$ は常に成り立つ。 絶対値を外すと $|b| = -b$ となるので、

$$4a^2 - 2b - 2b = 1$$

$$4a^2 - 4b = 1 \iff b = a^2 - \frac{1}{4}$$

$b < 0$ の条件より

$$a^2 - \frac{1}{4} < 0 \iff -\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2}$$

したがって、点 $(a, b)$ は放物線の一部 $b = a^2 - \frac{1}{4}$ $\left(-\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2}\right)$ 上にある。

(ii) 虚数解をもつ場合

$\frac{D}{4} = a^2-b < 0$ すなわち $b > a^2$ のとき。 方程式の解は、解の公式より

$$x = -a \pm \sqrt{a^2-b} = -a \pm i\sqrt{b-a^2}$$

虚数解を $\alpha, \beta$ とすると、実数係数方程式の虚数解は互いに共役な複素数となるため、$|\alpha| = |\beta|$ である。 条件より $|\alpha| + |\beta| = 1$ であるから

$$2|\alpha| = 1 \iff |\alpha| = \frac{1}{2}$$

両辺を2乗して

$$|\alpha|^2 = \frac{1}{4}$$

ここで、複素数の絶対値の定義より

$$|\alpha|^2 = (-a)^2 + \left(\sqrt{b-a^2}\right)^2 = a^2 + (b-a^2) = b$$

よって、

$$b = \frac{1}{4}$$

$b > a^2$ の条件より

$$\frac{1}{4} > a^2 \iff -\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2}$$

したがって、点 $(a, b)$ は線分 $b = \frac{1}{4}$ $\left(-\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2}\right)$ 上にある。

以上 (i), (ii) より、点 $(a, b)$ が描く図形は、以下の4つの曲線・直線群を繋ぎ合わせたものになる。

これらを図示すると、$ab$ 平面上において、放物線 $b = a^2 - \frac{1}{4}$ の底辺と、上底となる直線 $b = \frac{1}{4}$、および両端を結ぶ縦の線分 $a = \pm \frac{1}{2}$ からなる閉曲線の周となる。

(2)

求める面積を $S$ とする。 (1)で求めた図形は、$a$軸を横軸、$b$軸を縦軸とする平面上で、上端が $b = \frac{1}{4}$、下端が $b = a^2 - \frac{1}{4}$ であり、左右は $a = -\frac{1}{2}$ から $a = \frac{1}{2}$ までの範囲で囲まれた閉領域である。 したがって、面積 $S$ は積分を用いて次のように計算できる。

$$S = \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left\{ \frac{1}{4} - \left(a^2 - \frac{1}{4}\right) \right\} da$$

$$S = \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{1}{2} - a^2 \right) da$$

被積分関数が偶関数であることを利用して、

$$S = 2 \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{1}{2} - a^2 \right) da$$

$$S = 2 \left[ \frac{1}{2}a - \frac{a^3}{3} \right]_{0}^{\frac{1}{2}}$$

$$S = 2 \left( \frac{1}{4} - \frac{1}{24} \right)$$

$$S = 2 \times \frac{5}{24} = \frac{5}{12}$$

解説

2次方程式の解が実数か虚数かによる場合分け、および解と係数の関係を的確に用いる典型問題です。

実数解をもつ場合において、$(|\alpha|+|\beta|)^2$ を計算する際に出現する $|\alpha\beta|$ の処理で、$\alpha\beta=b$ の符号による再場合分けを忘れずに行うことが最大のポイントです。ここで条件漏れを起こすと図形が閉じなくなってしまいます。 各場合分けで求めた境界線がきれいに繋がり、閉じた図形となることで、計算過程が正しいかどうかのセルフチェックが可能になります。

答え

(1) 点 $(a, b)$ は、$ab$ 平面上における以下の4つの線分および曲線で構成される閉曲線上にある。

(2)

$$\frac{5}{12}$$

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