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九州大学 1983年 理系 第3問 解説

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九州大学 1983年 理系 第3問 解説

方針・初手

与えられた2つの微分方程式は基本的な変数分離形であるため、それぞれを解いて $x(t)$ と $y(t)$ を未定定数を含む形で表すことができる。これらを足し合わせた $z(t)$ について、$t = \log 2$ で極値 $3$ をとるという条件から未定定数を決定する。

(2)の不等式は、関数 $z=z(t)$ のグラフが下に凸であることを示す一般的な不等式(接線がグラフの下側にあること)である。$t$ を固定して $s$ の関数として増減を調べるか、導関数 $z'(t)$ が単調増加であることを利用する。

解法1

(1) 与えられた微分方程式について考える。

$$\frac{dx}{dt} = x, \quad \frac{dy}{dt} = -2y$$

これらはそれぞれ一般的な微分方程式であり、一般解は任意定数 $C_1, C_2$ を用いて次のように表される。

$$x(t) = C_1 e^t, \quad y(t) = C_2 e^{-2t}$$

したがって、関数 $z(t)$ は次のようになる。

$$z(t) = C_1 e^t + C_2 e^{-2t}$$

これを $t$ で微分すると、導関数は以下のようになる。

$$z'(t) = C_1 e^t - 2 C_2 e^{-2t}$$

$z(t)$ は $t = \log 2$ で極値 $3$ をとるので、$z(\log 2) = 3$ および $z'(\log 2) = 0$ が成り立つ必要条件である。

$t = \log 2$ のとき、$e^{\log 2} = 2$ であり、また $e^{-2\log 2} = e^{\log 2^{-2}} = \frac{1}{4}$ であるから、以下の連立方程式を得る。

$$\begin{cases} C_1 \cdot 2 + C_2 \cdot \frac{1}{4} = 3 \\ C_1 \cdot 2 - 2 C_2 \cdot \frac{1}{4} = 0 \end{cases}$$

第2式より $2C_1 - \frac{1}{2}C_2 = 0$ すなわち $C_2 = 4C_1$ となる。これを第1式に代入する。

$$2C_1 + \frac{1}{4}(4C_1) = 3$$

$$3C_1 = 3 \quad \therefore C_1 = 1$$

このとき $C_2 = 4$ となる。ゆえに、$z(t)$ は次のように定まる。

$$z(t) = e^t + 4e^{-2t}$$

この関数が実際に $t = \log 2$ で極値をとるかを確認する。

$$z'(t) = e^t - 8e^{-2t} = e^{-2t}(e^{3t} - 8)$$

$z'(t) = 0$ とすると $e^{3t} = 8$ より $3t = \log 8 = 3\log 2$ となり、$t = \log 2$ である。 $t < \log 2$ のとき $e^{3t} < 8$ より $z'(t) < 0$、$t > \log 2$ のとき $e^{3t} > 8$ より $z'(t) > 0$ となるため、$z(t)$ は $t = \log 2$ で極小値 $3$ をとり、条件を満たす。

(2) (1)より $z(t) = e^t + 4e^{-2t}$ であり、これをさらに微分して第2次導関数を求める。

$$z''(t) = (e^t - 8e^{-2t})' = e^t + 16e^{-2t}$$

すべての実数 $t$ について $e^t > 0, e^{-2t} > 0$ であるから、常に $z''(t) > 0$ が成り立つ。したがって、導関数 $z'(t)$ はすべての実数全体で単調に増加する関数である。

任意の $t$ を固定し、$s$ を変数とする関数 $f(s)$ を次のように定義する。

$$f(s) = z(s) - \{ z(t) + (s - t)z'(t) \}$$

$f(s)$ を $s$ で微分すると、以下のようになる。

$$f'(s) = z'(s) - z'(t)$$

ここで、$s$ の値によって場合分けをして $f(s)$ の増減を調べる。

(i) $s > t$ のとき

$z'(x)$ は単調増加であるから、$z'(s) > z'(t)$ となり、$f'(s) > 0$ である。 したがって、$f(s)$ は $s \geqq t$ において単調に増加する。

(ii) $s < t$ のとき

同様に、$z'(s) < z'(t)$ となり、$f'(s) < 0$ である。 したがって、$f(s)$ は $s \leqq t$ において単調に減少する。

(iii) $s = t$ のとき

定義より明らかに $f(t) = 0$ である。

(i), (ii), (iii) より、関数 $f(s)$ は $s = t$ のとき最小値 $0$ をとる。

したがって、任意の $s$ に対して $f(s) \geqq 0$ が成り立つ。これは次を意味する。

$$z(s) - z(t) - (s - t)z'(t) \geqq 0$$

よって、任意の $s, t$ に対して $z(s) \geqq z(t) + (s - t)z'(t)$ が成り立つことが示された。

解説

(1) は自然科学の様々な分野で現れる最も基本的な微分方程式(マルサスモデルや放射性物質の崩壊などと同型)であり、解の形 $C e^{kt}$ を即座に記述できることが求められる。極値の条件から定数を決定する際は、必要条件として求めたあと、極値であることの十分性の確認(符号変化の記述)をしておくのが数学的に丁寧である。

(2) で示す不等式は、関数 $z$ のグラフ上の点 $(t, z(t))$ における接線の方程式が $y = z'(t)(s - t) + z(t)$ であり、グラフが常にその接線以上にある(すなわち関数が下に凸である)ことを表している。このように「接線とグラフの上下関係」にまつわる不等式を示す場合、第2次導関数が正であることを用いて、差の関数の増減を調べる手法が極めて有効である。

答え

(1)

$$z(t) = e^t + 4e^{-2t}$$

(2) 証明は解法1に記載の通り。

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