九州大学 2003年 理系 第3問 解説

方針・初手
領域 $D_n$ の形状と、単位正方形や格子点との関係を把握することが重要である。
(1) については、曲線 $y = x^p$ が、高さ $1$ の区間 $j-1 < y < j$ ($j$ は自然数)を通過する際に、$x$ が整数をまたがないことを証明する。
(2) については、領域 $D_n$ の面積 $S_n$ を、完全に含まれる単位正方形の面積の和と、曲線 $y=x^p$ と交わる単位正方形のうち領域に含まれる部分の面積とに分けて評価する。
(3) については、$D_n$ 内の格子点の総数 $L_n$ をシグマを用いて表し、定積分による不等式評価(区分求積法の考え方)からはさみうちの原理を用いる。
解法1
(1)
単位正方形(周を含まない)を、$i, j$ を自然数として、以下のように定義する。
$$U_{i,j} = \{(x,y) \mid i-1 < x < i, j-1 < y < j\}$$
曲線 $C: y = x^p$ $\left(0 \leqq x \leqq n^{\frac{1}{p}}\right)$ と交わる単位正方形の個数を考える。
任意の自然数 $j$ ($1 \leqq j \leqq n$) について、直線 $y = j-1$ と $y = j$ の間にある曲線 $C$ の部分を考える。 この部分における $y$ の値域は $j-1 < y < j$ である。 $x = y^{\frac{1}{p}}$ は単調増加であるため、対応する $x$ の値域は以下のようになる。
$$(j-1)^{\frac{1}{p}} < x < j^{\frac{1}{p}}$$
ここで、区間 $\left((j-1)^{\frac{1}{p}}, j^{\frac{1}{p}}\right)$ 内に整数が存在するかどうかを背理法で考える。 仮に整数 $i$ が存在するとすると、$(j-1)^{\frac{1}{p}} < i < j^{\frac{1}{p}}$ が成り立つ。 $j, i, p$ はいずれも自然数であり、各辺は正であるから、$p$ 乗しても大小関係は変わらない。
$$j-1 < i^p < j$$
$i, p$ は自然数であるから、$i^p$ も自然数(整数)である。 しかし、連続する整数 $j-1$ と $j$ の間に他の整数は存在しないため、これは矛盾である。 したがって、区間 $\left((j-1)^{\frac{1}{p}}, j^{\frac{1}{p}}\right)$ 内に整数は存在しない。
ゆえに、あるただ1つの自然数 $i_j$ が存在して、以下の関係が成り立つ。
$$i_j - 1 \leqq (j-1)^{\frac{1}{p}} < x < j^{\frac{1}{p}} \leqq i_j$$
これは、曲線 $y=x^p$ の $j-1 < y < j$ の部分が、ちょうど1つの単位正方形 $U_{i_j, j}$ の内部に含まれることを意味する。 $j$ は $1$ から $n$ までの $n$ 通りあるので、曲線 $C$ と交わる単位正方形の個数は $n$ 個である。(証明終)
(2)
領域 $D_n = \{(x, y) \mid 0 \leqq x, x^p \leqq y \leqq n\}$ の面積が $S_n$ である。 $D_n$ に完全に含まれる単位正方形の個数が $M_n$ であり、各単位正方形の面積は $1$ であるから、これらの面積の合計は $M_n$ である。 この合計面積は領域 $D_n$ の一部であるため、明らかに $M_n < S_n$ が成り立つ。
一方、領域 $D_n$ と共通部分を持つ単位正方形は、$D_n$ に完全に含まれる $M_n$ 個の単位正方形と、(1)で考えた曲線 $C: y = x^p$ と交わる $n$ 個の単位正方形のいずれかである。 曲線 $C$ と交わる各単位正方形のうち、領域 $D_n$ (すなわち $y \geqq x^p$ の領域)に含まれる部分の面積は、正でありかつ $1$ より小さい。 したがって、曲線と交わる $n$ 個の単位正方形のうち、$D_n$ に含まれる部分の面積の合計を $\Delta S$ とすると、$0 < \Delta S < n \times 1 = n$ となる。
$S_n$ は完全に含まれる単位正方形の面積と、交わる単位正方形のうち含まれる部分の面積の和であるから、次のように表せる。
$$S_n = M_n + \Delta S$$
これに $0 < \Delta S < n$ を代入して、以下の不等式を得る。(証明終)
$$M_n < S_n < M_n + n$$
また、面積 $S_n$ は定積分を用いて次のように計算できる。
$$S_n = \int_0^{n^{\frac{1}{p}}} (n - x^p) dx$$
$$S_n = \left[ nx - \frac{1}{p+1}x^{p+1} \right]_0^{n^{\frac{1}{p}}}$$
$$S_n = n \cdot n^{\frac{1}{p}} - \frac{1}{p+1} \left(n^{\frac{1}{p}}\right)^{p+1}$$
$$S_n = n^{\frac{p+1}{p}} - \frac{1}{p+1} n^{\frac{p+1}{p}}$$
$$S_n = \frac{p}{p+1} n^{\frac{p+1}{p}}$$
(3)
$L_n$ は領域 $D_n$ に含まれる格子点 $(x, y)$ の個数である。 各整数 $x$ $\left(0 \leqq x \leqq \lfloor n^{\frac{1}{p}} \rfloor\right)$ に対して、$y$ 座標は $x^p \leqq y \leqq n$ を満たす整数であるから、その個数は $n - x^p + 1$ 個である。 ここで、$N = \lfloor n^{\frac{1}{p}} \rfloor$ とおくと、$L_n$ は次のように表せる。
$$L_n = \sum_{x=0}^{N} (n - x^p + 1) = (n+1)(N+1) - \sum_{x=0}^{N} x^p$$
関数 $f(t) = t^p$ は $t \geqq 0$ で単調増加であるから、面積の比較により以下の不等式が成り立つ。
$$\int_0^N t^p dt \leqq \sum_{x=1}^{N} x^p \leqq \int_1^{N+1} t^p dt$$
$x=0$ のとき $0^p=0$ であるため、中央の項は $\sum_{x=0}^{N} x^p$ と等しい。積分を計算すると次のようになる。
$$\frac{1}{p+1} N^{p+1} \leqq \sum_{x=0}^{N} x^p \leqq \frac{1}{p+1} (N+1)^{p+1} - \frac{1}{p+1}$$
求める極限の式に代入するために、両辺を $n^{\frac{p+1}{p}}$ で割ることを考える。 極限を求める対象の式は次のように変形できる。
$$n^{-\frac{p+1}{p}} L_n = \frac{(n+1)(N+1)}{n^{\frac{p+1}{p}}} - \frac{1}{n^{\frac{p+1}{p}}} \sum_{x=0}^{N} x^p$$
ここで、ガウス記号の定義より $n^{\frac{1}{p}} - 1 < N \leqq n^{\frac{1}{p}}$ であるから、各辺を $n^{\frac{1}{p}}$ で割ると次のようになる。
$$1 - \frac{1}{n^{\frac{1}{p}}} < \frac{N}{n^{\frac{1}{p}}} \leqq 1$$
$n \to \infty$ のとき $1 - \frac{1}{n^{\frac{1}{p}}} \to 1$ であるため、はさみうちの原理より以下の極限が成り立つ。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{N}{n^{\frac{1}{p}}} = 1$$
これを用いて、第一項の極限を計算する。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{(n+1)(N+1)}{n^{\frac{p+1}{p}}} = \lim_{n \to \infty} \frac{n+1}{n} \cdot \frac{N+1}{n^{\frac{1}{p}}} = \lim_{n \to \infty} \left(1 + \frac{1}{n}\right) \left( \frac{N}{n^{\frac{1}{p}}} + \frac{1}{n^{\frac{1}{p}}} \right) = 1 \cdot (1 + 0) = 1$$
次に、第二項の極限をはさみうちの原理で求める。不等式の左辺の極限は以下の通り。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{\frac{p+1}{p}}} \cdot \frac{1}{p+1} N^{p+1} = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{p+1} \left( \frac{N}{n^{\frac{1}{p}}} \right)^{p+1} = \frac{1}{p+1} \cdot 1^{p+1} = \frac{1}{p+1}$$
不等式の右辺の極限は以下の通り。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{\frac{p+1}{p}}} \left\{ \frac{1}{p+1} (N+1)^{p+1} - \frac{1}{p+1} \right\} = \lim_{n \to \infty} \left\{ \frac{1}{p+1} \left( \frac{N+1}{n^{\frac{1}{p}}} \right)^{p+1} - \frac{1}{(p+1)n^{\frac{p+1}{p}}} \right\} = \frac{1}{p+1} \cdot 1^{p+1} - 0 = \frac{1}{p+1}$$
したがって、はさみうちの原理より以下の極限が成り立つ。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n^{\frac{p+1}{p}}} \sum_{x=0}^{N} x^p = \frac{1}{p+1}$$
以上より、求める極限値は次のようになる。
$$\lim_{n \to \infty} n^{-\frac{p+1}{p}} L_n = 1 - \frac{1}{p+1} = \frac{p}{p+1}$$
解説
図形の面積、格子点の個数、単位正方形の個数の間の関係性を問う極限の典型問題である。 (1)と(2)の誘導は、格子点の数 $L_n$ と面積 $S_n$ の間に密接な関係があることを示唆している。面積は微小な正方形の集まりとみなせることから、格子点の個数の極限が面積の計算結果の係数と一致するのは、区分求積法の原理から自然な結果である。 (3)において、直接 $\sum$ を計算できない場合は、本解法のように単調増加性を利用して定積分で不等式評価を行う手法が非常に有効である。ガウス記号を含む極限計算の基本手順として、不等式を作成してからはさみうちの原理に持ち込む流れを習得しておきたい。
答え
(1) 略(解法参照)
(2) 略(証明は解法参照)、$S_n = \frac{p}{p+1} n^{\frac{p+1}{p}}$
(3) $\frac{p}{p+1}$
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