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東北大学 2015年 理系 第2問 解説

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東北大学 2015年 理系 第2問 解説

方針・初手

接点の $x$ 座標を $t$ とおくと,曲線 $C:y=x^3-x$ の $t$ における接線は $t$ を用いて表せる。 点 $P=(a,b)$ がその接線上にある条件を立てると,$t$ についての三次方程式が得られる。

(1) では,その三次方程式の値を $t=0,\ t=a$ で調べると,$P\in D$ という条件がちょうど符号変化を与え,3個の実数解をもつことが分かる。 (2) では,その3解を $t_1,t_2,t_3$ として,対応する接線の傾き $3t_i^2-1$ の和を Vieta の公式で処理する。積が $0$ であることから,3本のうち1本が水平接線であることも使う。

解法1

$P=(a,b)$ とおく。 $P\in D$ より

$$ a^3-a>b>-a $$

である。特に $a^3>0$ なので $a>0$ である。

曲線 $C:y=x^3-x$ 上の点 $(t,t^3-t)$ における接線の傾きは

$$ \frac{dy}{dx}=3t^2-1 $$

であるから,その接線の方程式は

$$ y-(t^3-t)=(3t^2-1)(x-t) $$

すなわち

$$ y=(3t^2-1)x-2t^3 $$

である。

したがって,この接線が $P=(a,b)$ を通るための条件は

$$ b=(3t^2-1)a-2t^3 $$

すなわち

$$ 2t^3-3at^2+(a+b)=0 $$

である。

以下,

$$ g(t)=2t^3-3at^2+(a+b) $$

とおく。

(1) 3本の接線が存在すること

まず

$$ g(0)=a+b $$

であり,$b>-a$ より

$$ g(0)>0 $$

である。

また

$$ g(a)=2a^3-3a^3+(a+b)=a+b-a^3 $$

であり,$b<a^3-a$ より

$$ g(a)<0 $$

である。

さらに,$g(t)$ は最高次係数が正の三次式であるから,

$$ \lim_{t\to -\infty}g(t)=-\infty,\qquad \lim_{t\to \infty}g(t)=\infty $$

が成り立つ。

よって連続性により,

それぞれ方程式 $g(t)=0$ の実数解が存在する。

したがって,$P$ を通り $C$ に接する直線は3本存在する。

(2) 傾きの和と積がともに $0$ となる $P$ の座標

$g(t)=0$ の3つの実数解を $t_1,t_2,t_3$ とする。 対応する3本の接線の傾きを

$$ m_i=3t_i^2-1\qquad (i=1,2,3) $$

とおく。

まず,Vieta の公式より

$$ t_1+t_2+t_3=\frac{3a}{2},\qquad t_1t_2+t_2t_3+t_3t_1=0 $$

である。

したがって

$$ t_1^2+t_2^2+t_3^2 =(t_1+t_2+t_3)^2-2(t_1t_2+t_2t_3+t_3t_1) =\left(\frac{3a}{2}\right)^2 $$

となる。

ゆえに傾きの和は

$$ m_1+m_2+m_3 =3(t_1^2+t_2^2+t_3^2)-3 =3\left(\frac{3a}{2}\right)^2-3 =\frac{27a^2}{4}-3 $$

である。これが $0$ になるので

$$ \frac{27a^2}{4}-3=0 $$

すなわち

$$ a^2=\frac{4}{9} $$

を得る。$a>0$ であるから

$$ a=\frac{2}{3} $$

である。

次に,傾きの積が $0$ であるから

$$ m_1m_2m_3=0 $$

であり,3本のうち少なくとも1本の傾きが $0$ である。 したがって,ある $k$ について

$$ 3t_k^2-1=0 $$

すなわち

$$ t_k=\pm \frac{1}{\sqrt{3}} $$

である。

ここで $a=\dfrac23$ を,接線通過条件

$$ 2t^3-3at^2+(a+b)=0 $$

に代入すると

$$ 2t^3-2t^2+\frac23+b=0 $$

となる。

(i)

$t=\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ のとき,

$$ 2\cdot \frac{1}{3\sqrt{3}}-2\cdot \frac13+\frac23+b=0 $$

より

$$ \frac{2}{3\sqrt{3}}+b=0 $$

したがって

$$ b=-\frac{2}{3\sqrt{3}} $$

である。

(ii)

$t=-\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ のとき,

$$ -2\cdot \frac{1}{3\sqrt{3}}-2\cdot \frac13+\frac23+b=0 $$

より

$$ -\frac{2}{3\sqrt{3}}+b=0 $$

したがって

$$ b=\frac{2}{3\sqrt{3}} $$

である。

しかし $a=\dfrac23$ のとき,$P\in D$ であるためには

$$ -\frac23<b<\left(\frac23\right)^3-\frac23=-\frac{10}{27} $$

を満たさなければならない。 この範囲に入るのは

$$ b=-\frac{2}{3\sqrt{3}} $$

のみであり,

$$ b=\frac{2}{3\sqrt{3}} $$

は不適である。

以上より求める点 $P$ は

$$ P\left(\frac23,-\frac{2}{3\sqrt{3}}\right) $$

である。

解説

この問題の本質は,接線を接点の座標 $t$ で表し,通過条件を $t$ の三次方程式に落とすことである。

(1) で現れる

$$ g(t)=2t^3-3at^2+(a+b) $$

は,$P\in D$ という条件によって

$$ g(0)>0,\qquad g(a)<0 $$

を満たす。これにより,$(-\infty,0),(0,a),(a,\infty)$ の3区間に1つずつ解があることが分かる。領域 $D$ がちょうど「接線が3本引ける範囲」になっているわけである。

(2) では,$t_1t_2+t_2t_3+t_3t_1=0$ となる点が効いており,そのため傾きの和が $a$ だけで決まる。さらに傾きの積が $0$ であることから,1本が水平接線であると分かり,一気に $b$ が決まる。

答え

(1)

点 $P\in D$ を通り曲線 $C:y=x^3-x$ に接する直線は3本存在する。

(2)

条件を満たす点 $P$ の座標は

$$ \left(\frac23,-\frac{2}{3\sqrt{3}}\right) $$

である。

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