九州大学 2015年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) は、放物線 $C_1$ と直線 $l$ の式から $y$ を消去した $x$ の2次方程式が、$0 \leqq x \leqq 2$ の範囲に異なる2つの実数解をもつための条件を求める問題に帰着させます。解の配置問題として、判別式、軸の位置、区間の端点における値の符号を調べます。
(2) は、2つのグラフの交点の $x$ 座標を文字でおき、いわゆる「$\frac{1}{6}$公式」を用いて定積分を計算し、解と係数の関係を利用して $a$ の式で表します。
(3) は、まず $S_2$ を $a$ を用いて表します。その際、$0 < a < \frac{1}{5}$ における放物線 $C_2$ と直線 $l$ の位置関係(交点がどの範囲に存在するか)を正確に把握する必要があります。面積が立式できたら、$F(a) = S_1 - S_2$ とおき、中間値の定理を用いて解の存在を示します。
解法1
(1)
$C_1: y = -x^2 + 2x \quad (0 \leqq x \leqq 2)$ $l: y = a(x + 4)$
直線 $l$ と放物線 $C_1$ が異なる2つの共有点をもつための条件は、$x$ についての方程式 $$-x^2 + 2x = a(x + 4)$$
すなわち $$x^2 + (a - 2)x + 4a = 0 \quad \cdots \text{①}$$
が $0 \leqq x \leqq 2$ の範囲に異なる2つの実数解をもつことである。 $h(x) = x^2 + (a - 2)x + 4a$ とおく。$y = h(x)$ のグラフは下に凸の放物線であり、軸は直線 $x = -\frac{a - 2}{2}$ である。 $h(x) = 0$ が $0 \leqq x \leqq 2$ に異なる2つの実数解をもつ条件は、以下の4つを同時に満たすことである。
(i) 判別式 $D_1 > 0$ (ii) 軸について $0 < -\frac{a - 2}{2} < 2$ (iii) $h(0) \geqq 0$ (iv) $h(2) \geqq 0$
(i) について $$D_1 = (a - 2)^2 - 16a = a^2 - 20a + 4 > 0$$
これを解いて、$a < 10 - 4\sqrt{6}, \quad 10 + 4\sqrt{6} < a$
(ii) について $$0 > a - 2 > -4$$
より、$-2 < a < 2$
(iii) について $$h(0) = 4a \geqq 0$$
より、$a \geqq 0$
(iv) について $$h(2) = 4 + 2(a - 2) + 4a = 6a \geqq 0$$
より、$a \geqq 0$
ここで、$10 - 4\sqrt{6} = 10 - \sqrt{96}$ であり、$\sqrt{81} < \sqrt{96} < \sqrt{100}$ すなわち $9 < \sqrt{96} < 10$ であるから、$0 < 10 - 4\sqrt{6} < 1$ である。 したがって、これらすべての共通範囲を求めて、求める $a$ の値の範囲は $$0 \leqq a < 10 - 4\sqrt{6}$$
(2)
方程式①の異なる2つの実数解を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とする。解と係数の関係より、 $$\alpha + \beta = 2 - a, \quad \alpha\beta = 4a$$
$S_1$ は $l$ と $C_1$ で囲まれた領域の面積であるから、 $$S_1 = \int_{\alpha}^{\beta} \{(-x^2 + 2x) - a(x + 4)\} dx$$
$$S_1 = -\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = \frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$$
ここで、 $$(\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = (2 - a)^2 - 16a = a^2 - 20a + 4$$
$\beta > \alpha$ より $\beta - \alpha = \sqrt{a^2 - 20a + 4}$ であるから、 $$S_1 = \frac{1}{6}(a^2 - 20a + 4)^{\frac{3}{2}}$$
(3)
$C_2: y = -x^2 - 2x = -x(x + 2) \quad (-2 \leqq x \leqq 0)$ $C_2$ と $x$ 軸で囲まれた領域の面積を $S$ とすると、 $$S = \int_{-2}^{0} (-x^2 - 2x) dx = -\int_{-2}^{0} x(x + 2) dx = \frac{1}{6}(0 - (-2))^3 = \frac{4}{3}$$
次に、$0 < a < \frac{1}{5}$ における $l$ と $C_2$ の位置関係を調べる。 $l$ と $C_2$ の共有点の $x$ 座標は $$-x^2 - 2x = a(x + 4) \iff x^2 + (a + 2)x + 4a = 0 \quad \cdots \text{②}$$
の解である。$g(x) = x^2 + (a + 2)x + 4a$ とおく。 ②の判別式を $D_2$ とすると、$D_2 = (a + 2)^2 - 16a = a^2 - 12a + 4$ である。 $0 < a < \frac{1}{5}$ のとき、 $$a^2 - 12a + 4 > \left(\frac{1}{5}\right)^2 - 12 \cdot \frac{1}{5} + 4 = \frac{1}{25} - \frac{60}{25} + \frac{100}{25} = \frac{41}{25} > 0$$
であるから、②は異なる2つの実数解をもつ。これらを $\gamma, \delta$ ($\gamma < \delta$) とする。 また、$y = g(x)$ の軸は $x = -\frac{a + 2}{2}$ であり、$0 < a < \frac{1}{5}$ のとき $-1.1 < -\frac{a + 2}{2} < -1$ であるため、軸は区間 $(-2, 0)$ 内にある。 区間の端点の値について、 $$g(-2) = 4 - 2(a + 2) + 4a = 2a > 0$$ $$g(0) = 4a > 0$$
であるから、$-2 < \gamma < \delta < 0$ が成り立つ。 さらに、$-2 \leqq x \leqq 0$ において、直線 $l$ の $y$ 座標は $y = a(x + 4) \geqq 2a > 0$ であるから、直線 $l$ は常に $x$ 軸より上側にある。 ゆえに、$x$ 軸と $C_2$ で囲まれた領域のうち $l$ の下側にある部分の面積 $S_2$ は、全体 $S$ から $C_2$ と $l$ で囲まれた部分の面積を引いたものとなる。 $C_2$ と $l$ で囲まれた面積は $\frac{1}{6}(\delta - \gamma)^3$ であり、$(\delta - \gamma)^2 = (a + 2)^2 - 16a = a^2 - 12a + 4$ より、 $$S_2 = \frac{4}{3} - \frac{1}{6}(a^2 - 12a + 4)^{\frac{3}{2}}$$
ここで、$F(a) = S_1 - S_2$ とおく。 $$F(a) = \frac{1}{6}(a^2 - 20a + 4)^{\frac{3}{2}} + \frac{1}{6}(a^2 - 12a + 4)^{\frac{3}{2}} - \frac{4}{3}$$
関数 $F(a)$ は閉区間 $\left[0, \frac{1}{5}\right]$ で連続である。 $a = 0$ のとき、 $$F(0) = \frac{1}{6}(4)^{\frac{3}{2}} + \frac{1}{6}(4)^{\frac{3}{2}} - \frac{4}{3} = \frac{8}{6} + \frac{8}{6} - \frac{4}{3} = \frac{4}{3} > 0$$
$a = \frac{1}{5}$ のとき、 $$F\left(\frac{1}{5}\right) = \frac{1}{6}\left(\frac{1}{25}\right)^{\frac{3}{2}} + \frac{1}{6}\left(\frac{41}{25}\right)^{\frac{3}{2}} - \frac{4}{3} = \frac{1 + 41\sqrt{41} - 1000}{750} = \frac{41\sqrt{41} - 999}{750}$$
$\sqrt{41} < \sqrt{49} = 7$ であるから、$41\sqrt{41} < 41 \times 7 = 287$ となり、 $$41\sqrt{41} - 999 < 287 - 999 = -712 < 0$$
よって、$F\left(\frac{1}{5}\right) < 0$ である。 $F(0) > 0$ かつ $F\left(\frac{1}{5}\right) < 0$ であるため、中間値の定理により、$F(a) = 0$ を満たす実数 $a$ が $0 < a < \frac{1}{5}$ の範囲に少なくとも1つ存在する。 すなわち、$S_1 = S_2$ を満たす実数 $a$ が $0 < a < \frac{1}{5}$ の範囲に存在することが示された。
解説
(1) は基本的な解の配置問題です。区間が $0 \leqq x \leqq 2$ と端点を含むため、$f(0) \geqq 0, f(2) \geqq 0$ と等号を含める点に注意が必要です。 (2) は放物線と直線で囲まれた面積を求める典型処理であり、解と係数の関係と $\frac{1}{6}$ 公式を組み合わせて計算量を減らす工夫が必須です。 (3) は面積の等式を方程式とみなし、解の存在を中間値の定理で示す応用問題です。立式の前に $S_2$ の領域がどのような図形になるのか、直線と放物線の交点が指定の区間内に存在するのかを、解の配置の考え方を用いて厳密に確認するプロセスが求められます。
答え
(1) $$0 \leqq a < 10 - 4\sqrt{6}$$
(2) $$S_1 = \frac{1}{6}(a^2 - 20a + 4)^{\frac{3}{2}}$$
(3) 解法1の通り(中間値の定理を用いて存在を示した)
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