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名古屋大学 1967年 文系 第6問 解説

数学2/式と証明数学1/二次関数テーマ/整式の証明
名古屋大学 1967年 文系 第6問 解説

方針・初手

(イ) は有名な恒等式(ブラーマグプタの恒等式などと呼ばれる)を導く問題である。そのまま展開して平方完成のような手順を踏むか、複素数の絶対値の性質 $|z_1 z_2|^2 = |z_1|^2 |z_2|^2$ を背景にした計算を行う。

(ロ) は「すべての実数値に対して常に正の値をとる2次式」の性質を用いる。このような2次式は、平方完成によって「(1次式)$^2$ + (正の定数)」すなわち「(1次式)$^2$ + (定数)$^2$」の形に変形できる。これを (イ) の結果に当てはめることで証明の見通しが立つ。

解法1

(イ)

与式を展開して項を並べ替える。

$$ \begin{aligned} (X^2+U^2)(Y^2+V^2) &= X^2 Y^2 + X^2 V^2 + U^2 Y^2 + U^2 V^2 \\ &= (X^2 Y^2 - 2XYUV + U^2 V^2) + (X^2 V^2 + 2XYUV + U^2 Y^2) \\ &= (XY - UV)^2 + (XV + UY)^2 \end{aligned} $$

同様に、中央の符号を変えた組み合わせでも表せる。

$$ \begin{aligned} (X^2+U^2)(Y^2+V^2) &= X^2 Y^2 + X^2 V^2 + U^2 Y^2 + U^2 V^2 \\ &= (X^2 Y^2 + 2XYUV + U^2 V^2) + (X^2 V^2 - 2XYUV + U^2 Y^2) \\ &= (XY + UV)^2 + (XV - UY)^2 \end{aligned} $$

いずれも $XY - UV$, $XV + UY$, $XY + UV$, $XV - UY$ は整式であるため、条件を満たす。

(ロ)

$P(x) = x^2+ax+b$, $Q(x) = x^2+cx+d$ とおく。

$P(x)$ と $Q(x)$ が $x$ のどんな実数値に対しても常に正の値をとる条件は、それぞれの判別式を $D_1, D_2$ とすると、$D_1 < 0$ かつ $D_2 < 0$ であることである。

$$ D_1 = a^2 - 4b < 0 \iff b - \frac{a^2}{4} > 0 $$

$$ D_2 = c^2 - 4d < 0 \iff d - \frac{c^2}{4} > 0 $$

これを用いて $P(x), Q(x)$ を平方完成する。

$$ P(x) = \left(x+\frac{a}{2}\right)^2 + \left(b - \frac{a^2}{4}\right) $$

$$ Q(x) = \left(x+\frac{c}{2}\right)^2 + \left(d - \frac{c^2}{4}\right) $$

ここで、$X = x+\frac{a}{2}$, $U = \sqrt{b - \frac{a^2}{4}}$, $Y = x+\frac{c}{2}$, $V = \sqrt{d - \frac{c^2}{4}}$ とおくと、$X, Y$ は実数を係数とする $x$ の1次式、$U, V$ は正の実数(定数)である。

これらは (イ) の条件を満たすので、次のように表すことができる。

$$ P(x)Q(x) = (X^2+U^2)(Y^2+V^2) = (XY - UV)^2 + (XV + UY)^2 $$

それぞれの括弧の中身の次数を調べる。

$$ XY - UV = \left(x+\frac{a}{2}\right)\left(x+\frac{c}{2}\right) - UV = x^2 + \frac{a+c}{2}x + \frac{ac}{4} - UV $$

これは $x^2$ の係数が $1$ であり、明らかに2次式である。

$$ XV + UY = \left(x+\frac{a}{2}\right)V + U\left(x+\frac{c}{2}\right) = (U+V)x + \frac{aV+cU}{2} $$

ここで、$U > 0, V > 0$ より $U+V > 0$ であるため、$x$ の係数は $0$ にならない。したがって、これは1次式である。

以上より、積 $(x^2+ax+b)(x^2+cx+d)$ は2次式の平方と1次式の平方との和として表されることが示された。

解法2

(イ)

複素数を利用して導くこともできる。$i$ を虚数単位とする。

$$ (X^2+U^2)(Y^2+V^2) = |X+Ui|^2 |Y+Vi|^2 = |(X+Ui)(Y+Vi)|^2 $$

$$ (X+Ui)(Y+Vi) = (XY-UV) + (XV+UY)i $$

よって、次が成り立つ。

$$ |(XY-UV) + (XV+UY)i|^2 = (XY-UV)^2 + (XV+UY)^2 $$

解説

(イ) は複素数の絶対値の乗法性 $|z_1 z_2| = |z_1| |z_2|$ から自然に導かれる恒等式であり、整数論などでも「2つの平方数の和で表される数同士の積は、やはり2つの平方数の和で表される」という事実の証明に用いられる。

(ロ) において注意すべきは、「1次式の平方」になることを保証する部分である。(イ) の別解として導いた $(XY + UV)^2 + (XV - UY)^2$ の形を用いると、$XV - UY$ の $x$ の係数が $V - U$ となり、これが $0$(すなわち $b - \frac{a^2}{4} = d - \frac{c^2}{4}$)になる可能性が排除できない。その場合、$x$ の項が消えて定数(0次式)になってしまうため、題意を満たせない。したがって、係数が $V+U > 0$ となり確実に1次式と言える $(XY - UV)^2 + (XV + UY)^2$ の組み合わせを選択する必要がある。

答え

(イ) $(X^2+U^2)(Y^2+V^2) = (XY - UV)^2 + (XV + UY)^2$ (または $(XY + UV)^2 + (XV - UY)^2$)

(ロ) 解法1の通り証明された。

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