トップ 名古屋大学 1988年 文系 第3問

名古屋大学 1988年 文系 第3問 解説

数学2/微分法数学2/図形と式テーマ/接線・法線テーマ/整式の証明
名古屋大学 1988年 文系 第3問 解説

方針・初手

$f(x) = x^3 + ax + b$ とおき、微分係数を用いて接線の条件を立式する。 問題文の「点 Q における接線は点 Q において直線 $y = -x$ に直交する」という記述は、「点 Q が直線 $y = -x$ 上にある」ことと、「点 Q における接線の傾きが $1$(傾き $-1$ と掛けて $-1$ になる)である」という2つの条件を含んでいることに注意して式を立てる。

解法1

$f(x) = x^3 + ax + b$ とおくと、$f'(x) = 3x^2 + a$ である。

点 P は $x$ 座標が $p$ であり、P における接線が直線 $y = -x$ である。 したがって、P は直線 $y = -x$ 上にあるため、P の座標は $(p, -p)$ と表せる。 これが曲線 $y = f(x)$ 上にあることと、P における接線の傾きが $-1$ であることから、以下の式が成り立つ。 $$p^3 + ap + b = -p$$ $$3p^2 + a = -1$$

整理して、 $$p^3 + (a+1)p + b = 0 \quad \cdots \text{①}$$ $$a = -3p^2 - 1 \quad \cdots \text{②}$$

点 Q は $x$ 座標が $q$ であり、Q における接線は点 Q において直線 $y = -x$ に直交する。 したがって、Q も直線 $y = -x$ 上にあるため、Q の座標は $(q, -q)$ と表せる。 これが曲線 $y = f(x)$ 上にあることと、Q における接線の傾きが $1$ であることから、同様に以下の式が成り立つ。 $$q^3 + aq + b = -q$$ $$3q^2 + a = 1$$

整理して、 $$q^3 + (a+1)q + b = 0 \quad \cdots \text{③}$$ $$3q^2 + a = 1 \quad \cdots \text{④}$$

(1)

①より $b = -p^3 - (a+1)p$ となる。これを③に代入して整理する。 $$q^3 + (a+1)q - p^3 - (a+1)p = 0$$ $$(q^3 - p^3) + (a+1)(q - p) = 0$$ $$(q - p)(q^2 + pq + p^2) + (a + 1)(q - p) = 0$$ $$(q - p)(q^2 + pq + p^2 + a + 1) = 0$$

相異なる2点 P, Q を通ることから $p \neq q$ すなわち $q - p \neq 0$ であるため、両辺を $q - p$ で割ることができる。 $$q^2 + pq + p^2 + a + 1 = 0 \quad \cdots \text{⑤}$$

ここで、②の $a + 1 = -3p^2$ を⑤に代入する。 $$q^2 + pq + p^2 - 3p^2 = 0$$ $$q^2 + pq - 2p^2 = 0$$ $$(q + 2p)(q - p) = 0$$

再び $p \neq q$ より $q - p \neq 0$ であるから、 $$q + 2p = 0$$ よって、$q = -2p$ が成り立つ。(証明終)

(2)

(1) の結果 $q = -2p$ を④に代入する。 $$3(-2p)^2 + a = 1$$ $$12p^2 + a = 1 \quad \cdots \text{⑥}$$

②より $a = -3p^2 - 1$ であるから、これを⑥に代入する。 $$12p^2 + (-3p^2 - 1) = 1$$ $$9p^2 = 2$$ $$p^2 = \frac{2}{9}$$ これより、$p = \pm\frac{\sqrt{2}}{3}$ である。

このとき、$a$ の値は②より、 $$a = -3 \left(\frac{2}{9}\right) - 1 = -\frac{2}{3} - 1 = -\frac{5}{3}$$

また、$b$ の値は①より $b = -p \{ p^2 + (a+1) \}$ である。 $p^2 = \frac{2}{9}$, $a+1 = -\frac{2}{3}$ を代入すると、 $$b = -p \left( \frac{2}{9} - \frac{2}{3} \right) = -p \left( -\frac{4}{9} \right) = \frac{4}{9}p$$

$p = \frac{\sqrt{2}}{3}$ のとき、$b = \frac{4\sqrt{2}}{27}$ $p = -\frac{\sqrt{2}}{3}$ のとき、$b = -\frac{4\sqrt{2}}{27}$

これらは $p \neq 0$ を満たし、$p \neq q$ も満たすため適する。 以上より、 $$(a, b) = \left(-\frac{5}{3}, \frac{4\sqrt{2}}{27}\right), \left(-\frac{5}{3}, -\frac{4\sqrt{2}}{27}\right)$$

解法2

(1) について、恒等式を用いた解法を示す。

点 P は曲線 $C: y = x^3 + ax + b$ と直線 $l: y = -x$ の接点である。 また、点 Q は曲線 $C$ と直線 $l$ の交点である。 したがって、3次方程式 $x^3 + ax + b = -x$ すなわち $x^3 + (a+1)x + b = 0$ は、$x = p$ を重解にもち、$x = q$ を解にもつ。 さらに P と Q は相異なるため、$p \neq q$ である。

ゆえに、因数定理により次のように因数分解できる。 $$x^3 + (a+1)x + b = (x - p)^2(x - q)$$

右辺を展開すると、 $$(x^2 - 2px + p^2)(x - q) = x^3 - (2p + q)x^2 + (p^2 + 2pq)x - p^2q$$

両辺の係数を比較すると、以下の関係式が得られる。 $$0 = -(2p + q) \quad \text{($x^2$ の係数)}$$ $$a + 1 = p^2 + 2pq \quad \text{($x$ の係数)}$$ $$b = -p^2q \quad \text{(定数項)}$$

一番上の式より、$q = -2p$ が直ちに成り立つ。(証明終)

(2) (1) の係数比較で得られた式を利用する。 $q = -2p$ を $x$ の係数の式に代入すると、 $$a + 1 = p^2 + 2p(-2p) = -3p^2$$ $$a = -3p^2 - 1 \quad \cdots \text{⑦}$$

また、点 Q における接線が直線 $y = -x$ に直交することから、Q における接線の傾きは $1$ である。 $y' = 3x^2 + a$ より、 $$3q^2 + a = 1$$

この式に $q = -2p$ と⑦を代入する。 $$3(-2p)^2 + (-3p^2 - 1) = 1$$ $$12p^2 - 3p^2 - 1 = 1$$ $$9p^2 = 2$$ $$p^2 = \frac{2}{9}$$ ゆえに $p = \pm\frac{\sqrt{2}}{3}$ となる。

これを⑦に代入して、 $$a = -3 \left(\frac{2}{9}\right) - 1 = -\frac{5}{3}$$

定数項の比較の式 $b = -p^2q$ に $q = -2p$ を代入すると、 $$b = 2p^3$$ $p = \pm\frac{\sqrt{2}}{3}$ より、 $$b = 2 \left( \pm\frac{\sqrt{2}}{3} \right)^3 = \pm \frac{4\sqrt{2}}{27} \quad \text{(複号同順)}$$

よって、$(a, b) = \left(-\frac{5}{3}, \pm\frac{4\sqrt{2}}{27}\right)$

解説

「点 Q における接線は点 Q において直線 $y = -x$ に直交する」という条件を正しく数式に翻訳できるかが最大のポイントである。直交条件から接線の傾きが $1$ であることは分かりやすいが、「点 Q は直線 $y = -x$ 上の点である」という交点の条件を見落とさないようにしたい。

(1) の証明は、解法1のような代数計算でも十分に解き切れるが、解法2のように3次関数と直線の位置関係から「方程式の重解・交点」に着目して恒等式を立てる手法(解と係数の関係の利用と実質的に同じ)は極めて強力である。計算量を大幅に削減でき、見通しがよくなるため、ぜひ身につけておくべき典型処理である。

答え

(1) (証明は解答参照)

(2) $$a = -\frac{5}{3}, \quad b = \pm\frac{4\sqrt{2}}{27}$$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。