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東北大学 1988年 文系 第2問 解説

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東北大学 1988年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) 3次関数 $f(x)$ が $x=1, -3$ で極値をとることから、導関数 $f'(x)$ は $(x-1)$ および $(x+3)$ を因数にもつことがわかる。$f'(x) = a(x-1)(x+3)$ とおき、これを積分して $f(x)$ を求めた後、極値の条件を用いて未定係数を決定する。

(2) まず、点 $A$ の座標を求め、そこでの接線 $l$ の方程式を導出する。その後、接線 $l$ と曲線 $C$ の方程式を連立させ、交点 $B$ の座標を求める。点 $P$ の $x$ 座標を変数 $t$ でおき、点と直線の距離の公式を用いて $P$ と $l$ の距離 $d$ を $t$ の関数として表し、その最大値を微分によって求める。

解法1

(1)

3次関数 $f(x)$ は $x=1, -3$ で極値をとるため、$a$ を定数($a \neq 0$)として導関数 $f'(x)$ を次のように表すことができる。

$$ f'(x) = a(x-1)(x+3) = a(x^2 + 2x - 3) $$

これを積分して $f(x)$ を求める。積分定数を $C$ とおく。

$$ f(x) = \int a(x^2 + 2x - 3) dx = a \left( \frac{1}{3}x^3 + x^2 - 3x \right) + C $$

$x=1$ で極小値 $0$ をとるので、$f(1) = 0$ であり、$x=-3$ で極大値 $32$ をとるので、$f(-3) = 32$ である。これらを代入して連立方程式を立てる。

$$ \begin{cases} a \left( \frac{1}{3} + 1 - 3 \right) + C = 0 \\ a \left( -9 + 9 + 9 \right) + C = 32 \end{cases} $$

これを整理すると、次のようになる。

$$ \begin{cases} -\frac{5}{3}a + C = 0 \\ 9a + C = 32 \end{cases} $$

第1式より $C = \frac{5}{3}a$ である。これを第2式に代入する。

$$ 9a + \frac{5}{3}a = 32 $$

$$ \frac{32}{3}a = 32 $$

$$ a = 3 $$

$a=3$ を $C = \frac{5}{3}a$ に代入して $C = 5$ を得る。

(このとき、$a > 0$ であるため、$x=-3$ で極大、$x=1$ で極小となる条件も満たしている。)

したがって、求める3次関数 $f(x)$ は以下のようになる。

$$ f(x) = 3 \left( \frac{1}{3}x^3 + x^2 - 3x \right) + 5 = x^3 + 3x^2 - 9x + 5 $$

(2)

点 $A$ は $x=0$ の点であるから、$f(0) = 5$ より $A(0, 5)$ である。 点 $A$ における接線 $l$ の傾きは $f'(0)$ である。(1)より $f'(x) = 3(x-1)(x+3)$ なので、

$$ f'(0) = 3(-1)(3) = -9 $$

よって、接線 $l$ の方程式は $y - 5 = -9(x - 0)$ すなわち

$$ y = -9x + 5 $$

これと曲線 $C: y = x^3 + 3x^2 - 9x + 5$ を連立させて、交点の $x$ 座標を求める。

$$ x^3 + 3x^2 - 9x + 5 = -9x + 5 $$

$$ x^3 + 3x^2 = 0 $$

$$ x^2(x + 3) = 0 $$

$x=0$ は点 $A$ の $x$ 座標であるから、ふたたび交わる点 $B$ の $x$ 座標は $x = -3$ である。 点 $P$ は $C$ 上を $A(x=0)$ から $B(x=-3)$ まで動くので、点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とすると、$-3 \le t \le 0$ である。 このとき、点 $P$ の座標は $(t, t^3 + 3t^2 - 9t + 5)$ と表せる。

接線 $l$ の方程式を一般形で表すと $9x + y - 5 = 0$ となる。 点 $P$ と接線 $l$ との距離を $d$ とすると、点と直線の距離の公式より

$$ d = \frac{|9t + (t^3 + 3t^2 - 9t + 5) - 5|}{\sqrt{9^2 + 1^2}} = \frac{|t^3 + 3t^2|}{\sqrt{82}} $$

$-3 \le t \le 0$ の範囲において、$t^2 \ge 0$ かつ $t + 3 \ge 0$ であるから、$t^3 + 3t^2 = t^2(t + 3) \ge 0$ となる。 したがって、絶対値記号はそのまま外すことができ、

$$ d = \frac{t^3 + 3t^2}{\sqrt{82}} $$

となる。ここで、$g(t) = t^3 + 3t^2$ とおき、$-3 \le t \le 0$ における最大値を求める。 $g(t)$ を微分すると、

$$ g'(t) = 3t^2 + 6t = 3t(t + 2) $$

$g'(t) = 0$ となるのは $t = 0, -2$ のときである。 $-3 \le t \le 0$ における増減を考えると、$t = -2$ で $g(t)$ は最大となる。 その最大値は

$$ g(-2) = (-2)^3 + 3(-2)^2 = -8 + 12 = 4 $$

ゆえに、距離 $d$ の最大値は

$$ d = \frac{4}{\sqrt{82}} = \frac{4\sqrt{82}}{82} = \frac{2\sqrt{82}}{41} $$

解法2

(2) の別解

点と直線の距離が最大となるのは、点 $P$ における曲線 $C$ の接線が直線 $l$ と平行になるときである。 直線 $l$ の傾きは $-9$ であるから、曲線 $C$ 上の点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とすると、点 $P$ における接線の傾き $f'(t)$ が $-9$ となる $t$ を求めればよい。

$$ f'(t) = 3t^2 + 6t - 9 = -9 $$

$$ 3t^2 + 6t = 0 $$

$$ 3t(t + 2) = 0 $$

これより $t = 0$ または $t = -2$ を得る。 点 $P$ は $A(x=0)$ と $B(x=-3)$ の間にある(境界も含む)ため、$t=0$ は点 $A$ 自身であり距離は $0$ である。 したがって、距離が最大となる点 $P$ の $x$ 座標は $t = -2$ である。

このときの点 $P$ の $y$ 座標は、

$$ f(-2) = (-2)^3 + 3(-2)^2 - 9(-2) + 5 = -8 + 12 + 18 + 5 = 27 $$

よって、$P(-2, 27)$ である。 点 $P(-2, 27)$ と直線 $l: 9x + y - 5 = 0$ との距離を求めればそれが最大値となる。 点と直線の距離の公式より、

$$ d = \frac{|9 \cdot (-2) + 27 - 5|}{\sqrt{9^2 + 1^2}} = \frac{|-18 + 27 - 5|}{\sqrt{82}} = \frac{4}{\sqrt{82}} = \frac{2\sqrt{82}}{41} $$

解説

(1) は極値の条件から元の関数を決定する標準的な問題である。極値をとる $x$ の値がわかっている場合は、導関数 $f'(x)$ を因数分解された形で設定し、積分定数を含めて積分することで計算がスムーズに進む。

(2) は曲線と直線の距離の最大化を問う問題である。 解法1のように点と直線の距離の公式で立式し、関数として微分して最大値を求める方法は汎用性が高く、多くの問題に適用できる。途中の $x^3+3x^2=0$ という方程式において、接点である $x=0$ で重解を持つことを確認しながら進めると計算ミスを防げる。 一方、解法2のように「直線に平行な接線を持つ点で距離が最大になる」という図形的な性質を利用すると、計算量を大幅に削減できる。この考え方は微積分の応用問題において非常に重要である。

答え

(1) $f(x) = x^3 + 3x^2 - 9x + 5$

(2) $\frac{2\sqrt{82}}{41}$

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