名古屋大学 1996年 文系 第1問 解説

方針・初手
直線$l$の方程式を、傾きを文字でおいて設定し、放物線との交点の$x$座標から面積を求める定石の処理を行います。面積をパラメータで表した後、「条件を満たす直線が存在する」という条件を、「不等式を満たす実数(傾き)が存在する」条件に帰着させます。
解法1
直線$l$は$y$切片が$a$であるから、その方程式は実数である傾きを$m$として、 $$ y = mx + a $$ とおける。
放物線 $y = 3x^2$ と直線 $l$ の交点の$x$座標は、方程式 $$ 3x^2 = mx + a $$ すなわち、 $$ 3x^2 - mx - a = 0 $$ の実数解である。
$a$は正の数であるから、この2次方程式の判別式を$D$とすると、 $$ D = (-m)^2 - 4 \cdot 3 \cdot (-a) = m^2 + 12a > 0 $$ となり、放物線と直線$l$は常に異なる2点で交わる。
その交点の$x$座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とすると、解の公式あるいは解と係数の関係より、 $$ \beta - \alpha = \frac{m + \sqrt{m^2 + 12a}}{6} - \frac{m - \sqrt{m^2 + 12a}}{6} = \frac{\sqrt{m^2 + 12a}}{3} $$ となる。
放物線と直線$l$で囲まれる図形の面積を$S$とすると、 $$ \begin{aligned} S &= \int_{\alpha}^{\beta} \{ (mx + a) - 3x^2 \} dx \\ &= -3 \int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx \\ &= -3 \left\{ -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3 \right\} \\ &= \frac{1}{2}(\beta - \alpha)^3 \end{aligned} $$ と表せる。
これに $\beta - \alpha = \frac{\sqrt{m^2 + 12a}}{3}$ を代入して、 $$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \left( \frac{\sqrt{m^2 + 12a}}{3} \right)^3 \\ &= \frac{(m^2 + 12a)^{\frac{3}{2}}}{54} \end{aligned} $$ となる。
条件(ii)より、$S \le 4$ であるから、 $$ \frac{(m^2 + 12a)^{\frac{3}{2}}}{54} \le 4 $$ $$ (m^2 + 12a)^{\frac{3}{2}} \le 216 $$ ここで、$216 = 6^3 = (6^2)^{\frac{3}{2}} = 36^{\frac{3}{2}}$ であるため、両辺を $\frac{2}{3}$ 乗して、 $$ m^2 + 12a \le 36 $$ $$ m^2 \le 36 - 12a $$ となる。
条件を満たす直線$l$が存在するためには、上式を満たす実数$m$が存在すればよい。
任意の実数$m$において $m^2 \ge 0$ であるから、上の不等式を満たす実数$m$が存在する条件は $$ 36 - 12a \ge 0 $$ $$ 12a \le 36 $$ $$ a \le 3 $$ となる。
問題の条件より $a > 0$ であるから、求める$a$の範囲は $$ 0 < a \le 3 $$ である。
解説
放物線と直線で囲まれた面積を求める典型的な問題です。定積分を計算する際、いわゆる「$\frac{1}{6}$公式」を用いることで、計算量を大幅に減らし、ミスを防ぐことができます。面積を直線$l$の傾き$m$と$y$切片$a$を用いた式で表したあと、「条件を満たす直線が存在する」ことを「不等式を満たす実数$m$が存在する」ことに読み替えて処理する部分が論理的なポイントです。
答え
$0 < a \le 3$
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