東北大学 2000年 理系 第5問 解説

方針・初手
三角形の斜辺 $AB$ の方程式を求め,それと正方形の上辺 $y=1-t$,右辺 $x=1-t$ との交わり方で場合分けする。
点 $A(t,0)$,$B(0,1)$ を通る直線 $AB$ は
$$ \frac{x}{t}+y=1 $$
すなわち
$$ y=1-\frac{x}{t} $$
である。
上辺 $y=1-t$ との交点を $C$ とすると,
$$ 1-t=1-\frac{x}{t} \iff x=t^2 $$
より
$$ C\bigl(t^2,,1-t\bigr) $$
である。
また,右辺 $x=1-t$ との交点を $D$ とすると,
$$ y=1-\frac{1-t}{t}=2-\frac{1}{t} $$
より
$$ D\left(1-t,,2-\frac1t\right) $$
である。
さらに,正方形の右上の頂点 $Q(1-t,1-t)$ が三角形内に入る条件は
$$ 1-t\le 1-\frac{1-t}{t} $$
すなわち
$$ t^2+t-1\ge 0 $$
であり,$0<t<1$ のもとでは
$$ t\ge \frac{\sqrt5-1}{2} $$
となる。これを境に形が変わる。
解法1
(i) $0<t\le \dfrac12$ のとき
このとき $t\le 1-t$ であるから,$A$ は正方形の内部または辺上にある。
また $t^2\le 1-t$ が成り立つので,交点 $C\bigl(t^2,1-t\bigr)$ は正方形の上辺上にある。
したがって,共通部分は四角形 $OACR$ であり,これは上下が平行な台形である。
下底は
$$ OA=t $$
上底は
$$ CR=t^2 $$
高さは
$$ 1-t $$
であるから,
$$ S=\frac{OA+CR}{2}\cdot(1-t) =\frac{t+t^2}{2}(1-t) =\frac{t(1-t^2)}{2}. $$
(ii) $\dfrac12<t<\dfrac{\sqrt5-1}{2}$ のとき
このとき $1-t<t$ であるから,正方形の右辺は三角形の内部に一部入り込む。
また $t^2<1-t$ なので,$C$ は上辺上にあり,さらに $Q$ はまだ三角形の外側にある。
したがって,共通部分は正方形 $OPQR$ から三角形 $QCD$ を除いた図形である。
正方形の面積は
$$ (1-t)^2 $$
である。
三角形 $QCD$ は直角三角形であり,
$$ QC=(1-t)-t^2=1-t-t^2 $$
また
$$ QD=(1-t)-\left(2-\frac1t\right) =\frac{1-t-t^2}{t} $$
であるから,
$$ [QCD] =\frac12\cdot(1-t-t^2)\cdot\frac{1-t-t^2}{t} =\frac{(1-t-t^2)^2}{2t}. $$
よって
$$ S=(1-t)^2-\frac{(1-t-t^2)^2}{2t}. $$
これを整理すると
$$ S =2-\frac32 t-\frac{1}{2t}-\frac12 t^3. $$
(iii) $\dfrac{\sqrt5-1}{2}\le t<1$ のとき
このとき $Q(1-t,1-t)$ は三角形内にある。
また $t>\dfrac12$ であるから $1-t<t$ となり,$P(1-t,0)$ も三角形内にある。さらに $R(0,1-t)$ は辺 $OB$ 上にある。
三角形は凸集合であるから,正方形 $OPQR$ 全体が三角形内に含まれる。
したがって
$$ S=(1-t)^2. $$
以上より,
$$ S= \begin{cases} \dfrac{t(1-t^2)}{2} & \left(0<t\le \dfrac12\right),\\[2mm] \begin{aligned}[t] &(1-t)^2-\dfrac{(1-t-t^2)^2}{2t}\\ &=2-\dfrac32 t-\dfrac{1}{2t}-\dfrac12 t^3 \end{aligned} & \left(\dfrac12<t<\dfrac{\sqrt5-1}{2}\right),\\[2mm] (1-t)^2 & \left(\dfrac{\sqrt5-1}{2}\le t<1\right). \end{cases} $$
次に,これを最大にする $t$ を求める。
(1) $0<t\le \dfrac12$ では
$$ S=\frac{t-t^3}{2} $$
より
$$ S'=\frac{1-3t^2}{2}. $$
この範囲では $t^2\le \dfrac14$ なので
$$ 1-3t^2\ge 1-\frac34=\frac14>0 $$
であり,$S$ は増加する。
(2) $\dfrac12<t<\dfrac{\sqrt5-1}{2}$ では
$$ S=2-\frac32 t-\frac{1}{2t}-\frac12 t^3 $$
より
$$ S'=-\frac32+\frac{1}{2t^2}-\frac32 t^2 =\frac{1-3t^2-3t^4}{2t^2}. $$
したがって極値条件は
$$ 1-3t^2-3t^4=0 $$
すなわち
$$ 3t^4+3t^2-1=0 $$
である。
$u=t^2$ とおくと
$$ 3u^2+3u-1=0 $$
より
$$ u=\frac{-3+\sqrt{21}}{6} $$
であり,$u>0$ だから
$$ t=\sqrt{\frac{\sqrt{21}-3}{6}}. $$
この値は
$$ \frac12<t<\frac{\sqrt5-1}{2} $$
を満たす。
また $1-3t^2-3t^4$ は $t>0$ で単調減少するので,この点で $S$ は最大となる。
(3) $\dfrac{\sqrt5-1}{2}\le t<1$ では
$$ S=(1-t)^2 $$
より
$$ S'=-2(1-t)<0 $$
であり,$S$ は減少する。
以上から,全体で最大となるのは
$$ t=\sqrt{\frac{\sqrt{21}-3}{6}} $$
である。
解説
この問題の要点は,斜辺 $AB$ と正方形の上辺・右辺との位置関係を正確に追うことである。
特に,
- $t=\dfrac12$ で「三角形の底辺の長さ」と「正方形の一辺の長さ」の大小関係が変わる。
- $t=\dfrac{\sqrt5-1}{2}$ で右上の頂点 $Q$ が三角形内に入る。
この 2 つの境目で図形の形が変わるため,面積も場合分けになる。
答え
$$ S= \begin{cases} \dfrac{t(1-t^2)}{2} & \left(0<t\le \dfrac12\right),\\[2mm] \begin{aligned}[t] &(1-t)^2-\dfrac{(1-t-t^2)^2}{2t}\\ &=2-\dfrac32 t-\dfrac{1}{2t}-\dfrac12 t^3 \end{aligned} & \left(\dfrac12<t<\dfrac{\sqrt5-1}{2}\right),\\[2mm] (1-t)^2 & \left(\dfrac{\sqrt5-1}{2}\le t<1\right). \end{cases} $$
また,$S$ を最大にする $t$ の値は
$$ t=\sqrt{\frac{\sqrt{21}-3}{6}} $$
である。
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