名古屋大学 1969年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1) は、$x>0$ において被積分関数が正であるため、与えられた区間での定積分を計算するだけである。微積分学の基本定理に従って原始関数を求め、上端と下端の値を代入する。
(2) は、(1) で求めた分数関数の最大値を求める問題である。分子の次数が分母の次数より低いこと、および $t>0$ という条件に着目し、分母・分子を $t$ で割ることで「相加平均と相乗平均の大小関係」が利用できる形に持ち込むのが最も簡潔な方針である。別解として、商の微分法を用いて増減表をかく一般的な解法も考えられる。
解法1
(1) $t>0$ より、$x>0$ の範囲を考えればよく、このとき $y = \frac{1}{(x+1)^2} > 0$ である。 したがって、求める面積 $S(t)$ は次の定積分で表される。
$$ S(t) = \int_{t}^{2t} \frac{1}{(x+1)^2} dx $$
この定積分を計算する。
$$ \begin{aligned} S(t) &= \left[ -\frac{1}{x+1} \right]_{t}^{2t} \\ &= -\frac{1}{2t+1} - \left( -\frac{1}{t+1} \right) \\ &= \frac{1}{t+1} - \frac{1}{2t+1} \\ &= \frac{(2t+1) - (t+1)}{(t+1)(2t+1)} \\ &= \frac{t}{2t^2+3t+1} \end{aligned} $$
(2) $t>0$ より、$S(t)$ の分母と分子を $t$ で割ると、次のように変形できる。
$$ S(t) = \frac{1}{2t + 3 + \frac{1}{t}} $$
$t>0$ であるから、$2t > 0$ かつ $\frac{1}{t} > 0$ である。 分母の $2t + \frac{1}{t}$ の部分について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いると
$$ 2t + \frac{1}{t} \geqq 2\sqrt{2t \cdot \frac{1}{t}} = 2\sqrt{2} $$
が成り立つ。 等号が成立するのは、$2t = \frac{1}{t}$ すなわち $t^2 = \frac{1}{2}$ のときである。 $t>0$ より、$t = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ のとき等号が成立する。
したがって、分母 $2t + 3 + \frac{1}{t}$ は $t = \frac{\sqrt{2}}{2}$ のとき最小値 $2\sqrt{2} + 3$ をとる。 分母が正の値をとって最小になるとき、分数 $S(t)$ は最大となる。 よって、$S(t)$ の最大値は
$$ \frac{1}{3 + 2\sqrt{2}} = \frac{3 - 2\sqrt{2}}{(3 + 2\sqrt{2})(3 - 2\sqrt{2})} = \frac{3 - 2\sqrt{2}}{9 - 8} = 3 - 2\sqrt{2} $$
解法2
(2) (1) で求めた $S(t) = \frac{t}{2t^2+3t+1}$ について、$t$ で微分して増減を調べる。 商の微分法を用いると
$$ \begin{aligned} S'(t) &= \frac{1 \cdot (2t^2+3t+1) - t \cdot (4t+3)}{(2t^2+3t+1)^2} \\ &= \frac{2t^2+3t+1 - 4t^2 - 3t}{(2t^2+3t+1)^2} \\ &= \frac{-2t^2+1}{(2t^2+3t+1)^2} \end{aligned} $$
$S'(t) = 0$ とすると、$-2t^2+1 = 0$ より $t^2 = \frac{1}{2}$ である。 $t>0$ より、$t = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ となる。
$t>0$ における $S(t)$ の増減表は以下のようになる。
$$ \begin{array}{c|c|c|c|c} \hline t & (0) & \cdots & \frac{\sqrt{2}}{2} & \cdots \\ \hline S'(t) & & + & 0 & - \\ \hline S(t) & & \nearrow & \text{最大} & \searrow \\ \hline \end{array} $$
増減表より、$S(t)$ は $t = \frac{\sqrt{2}}{2}$ のとき最大値をとる。 その最大値は
$$ \begin{aligned} S\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{2\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + 3\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) + 1} \\ &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{1 + \frac{3}{\sqrt{2}} + 1} \\ &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{2 + \frac{3}{\sqrt{2}}} \end{aligned} $$
分母分子に $\sqrt{2}$ を掛けると
$$ \begin{aligned} S\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) &= \frac{1}{2\sqrt{2} + 3} \\ &= \frac{3 - 2\sqrt{2}}{(3 + 2\sqrt{2})(3 - 2\sqrt{2})} \\ &= 3 - 2\sqrt{2} \end{aligned} $$
解説
(1) は基本的な定積分の計算であり、積分公式 $\int x^n dx = \frac{1}{n+1}x^{n+1} \ (n \neq -1)$ を正しく適用できるかが問われている。
(2) は分数関数の最大・最小を求める典型問題である。分子が $t$ の1次式、分母が $t$ の2次式であり、かつ $t>0$ という条件が与えられていることから、分母分子を $t$ で割って「相加平均と相乗平均の大小関係」を利用する解法1が、計算量も少なくエレガントである。解法2のように微分を利用するのも確実な方法だが、計算量が多くなるため、相加・相乗平均の利用に気づけるようにしておきたい。分母の有理化の計算ミスにも注意が必要である。
答え
(1) $$ S(t) = \frac{t}{(t+1)(2t+1)} $$
(2) $$ 3 - 2\sqrt{2} $$
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