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名古屋大学 1979年 理系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/微分法テーマ/接線・法線テーマ/図形総合
名古屋大学 1979年 理系 第3問 解説

方針・初手

$PT$ および $QT$ を $t$ の式で表し、$t$ で微分する。微分した結果が、接線の方向ベクトル $\vec{v} = (1, f'(t))$ と $\vec{PT}$、$\vec{QT}$ の内積を用いて表せることに着目する。ベクトルのなす角と直線のなす角の違いに注意して、関係式を導く。

解法1

$T$ の座標は $(t, f(t))$ であり、$P(a,b), Q(c,d)$ である。

線分 $PT, QT$ の長さは、それぞれ以下のように表される。

$$ PT = \sqrt{(t-a)^2 + (f(t)-b)^2} $$

$$ QT = \sqrt{(t-c)^2 + (f(t)-d)^2} $$

両辺を $t$ で微分すると、合成関数の微分法より

$$ \frac{d}{dt} (PT) = \frac{2(t-a) + 2(f(t)-b)f'(t)}{2\sqrt{(t-a)^2 + (f(t)-b)^2}} = \frac{(t-a) + (f(t)-b)f'(t)}{PT} $$

$$ \frac{d}{dt} (QT) = \frac{2(t-c) + 2(f(t)-d)f'(t)}{2\sqrt{(t-c)^2 + (f(t)-d)^2}} = \frac{(t-c) + (f(t)-d)f'(t)}{QT} $$

ここで、点 $T$ における曲線 $l$ の接線の方向ベクトルの一つを $\vec{v} = (1, f'(t))$ とする。

また、$\vec{PT} = (t-a, f(t)-b), \vec{QT} = (t-c, f(t)-d)$ であるから、内積の定義より

$$ \vec{PT} \cdot \vec{v} = (t-a) \cdot 1 + (f(t)-b)f'(t) $$

$$ \vec{QT} \cdot \vec{v} = (t-c) \cdot 1 + (f(t)-d)f'(t) $$

これらを用いると、微分の式は次のように書き換えられる。

$$ \frac{d}{dt} (PT) = \frac{\vec{PT} \cdot \vec{v}}{PT} = \frac{\vec{PT} \cdot \vec{v}}{|\vec{PT}|} $$

$$ \frac{d}{dt} (QT) = \frac{\vec{QT} \cdot \vec{v}}{QT} = \frac{\vec{QT} \cdot \vec{v}}{|\vec{QT}|} $$

$\vec{PT}$ と $\vec{v}$ のなす角を $\theta_1$ $(0 \leqq \theta_1 \leqq \pi)$ とすると、内積の性質より $\vec{PT} \cdot \vec{v} = |\vec{PT}| |\vec{v}| \cos \theta_1$ であるから、

$$ \frac{d}{dt} (PT) = \frac{|\vec{PT}| |\vec{v}| \cos \theta_1}{|\vec{PT}|} = |\vec{v}| \cos \theta_1 $$

同様に、$\vec{QT}$ と $\vec{v}$ のなす角を $\theta_2$ $(0 \leqq \theta_2 \leqq \pi)$ とすると、

$$ \frac{d}{dt} (QT) = |\vec{v}| \cos \theta_2 $$

となる。

ここで、接線と直線 $PT$ のなす角 $\alpha$ について考える。

2直線のなす角は $0 \leqq \alpha \leqq \frac{\pi}{2}$ と定義される。$\theta_1$ は方向ベクトル $\vec{PT}$ と $\vec{v}$ のなす角であるから、

$$ \alpha = \begin{cases} \theta_1 & \left(0 \leqq \theta_1 \leqq \frac{\pi}{2} \text{ のとき}\right) \\ \pi - \theta_1 & \left(\frac{\pi}{2} < \theta_1 \leqq \pi \text{ のとき}\right) \end{cases} $$

となる。いずれの場合においても、$\cos \alpha = |\cos \theta_1|$ が成り立つ。

同様に、接線と直線 $QT$ のなす角 $\beta$ $(0 \leqq \beta \leqq \frac{\pi}{2})$ についても、

$$ \cos \beta = |\cos \theta_2| $$

が成り立つ。

さて、$g(t) = r \cdot PT + s \cdot QT$ であるから、これまでの結果を用いて $g'(t)$ を計算すると、

$$ g'(t) = r \frac{d}{dt} (PT) + s \frac{d}{dt} (QT) = r |\vec{v}| \cos \theta_1 + s |\vec{v}| \cos \theta_2 = |\vec{v}| (r \cos \theta_1 + s \cos \theta_2) $$

点 $T$ が $g'(t) = 0$ を満たすとき、$|\vec{v}| = \sqrt{1 + \{f'(t)\}^2} > 0$ であることから、

$$ r \cos \theta_1 + s \cos \theta_2 = 0 $$

$$ r \cos \theta_1 = - s \cos \theta_2 $$

両辺の絶対値をとると、$r, s$ は正の定数であるから、

$$ r |\cos \theta_1| = s |\cos \theta_2| $$

$\cos \alpha = |\cos \theta_1|, \cos \beta = |\cos \theta_2|$ を代入すると、

$$ r \cos \alpha = s \cos \beta $$

ここで、$\alpha, \beta$ は $0$ 以上 $\frac{\pi}{2}$ 以下の角であるため、$\cos \alpha \geqq 0, \cos \beta \geqq 0$ であり、それぞれ絶対値をつけても等式は保たれる。したがって、

$$ r |\cos \alpha| = s |\cos \beta| $$

が成り立つ。

解説

光学におけるフェルマーの原理(光は最短時間で到達する経路を通る)や、スネルの法則(屈折の法則)の背景にある数学的構造を一般化した問題である。特に $r=s$ のときは反射の法則(入射角=反射角)に対応する。

2点間の距離の微分の結果が、接線の方向ベクトルとの内積を通して $\cos$ で表されることに気づけるかどうかがポイントとなる。ベクトルのなす角 $\theta$ と、直線どうしのなす角 $\alpha, \beta$ の関係を明確にし、直線のなす角は鋭角または直角であることから絶対値処理が必要になることを丁寧に論証することが求められる。

答え

本文中で証明されたため、省略する。(証明終)

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