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名古屋大学 1986年 理系 第2問 解説

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名古屋大学 1986年 理系 第2問 解説

方針・初手

まずは線分 $PQ$ と放物線 $y=x^2$ で囲まれた面積 $S(p)$ を定積分を用いて計算する。このとき、放物線と直線の交点が $x=p, q$ であることから、いわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を利用して $p, q$ の式で表す。 次に、条件 $\overline{PQ}=l$ を用いて関係式を立て、$S(p)$ を消去しやすい形に変形する。 極限計算では $p \to +\infty$ とするが、$q$ は $p$ に依存して変化するため、$p \to +\infty$ のときの $q$ の振る舞い(特に $\frac{q}{p}$ の極限)をはさみうちの原理などで調べる必要がある。

解法1

2点 $P(p, p^2), Q(q, q^2)$ を通る直線の方程式は、

$$ y - p^2 = \frac{q^2 - p^2}{q - p} (x - p) $$

$p < q$ より $q - p \neq 0$ であるから、

$$ y = (p+q)(x-p) + p^2 $$

線分 $PQ$ と放物線 $y=x^2$ で囲まれた図形の面積 $S(p)$ は、

$$ \begin{aligned} S(p) &= \int_{p}^{q} \{ (p+q)(x-p) + p^2 - x^2 \} dx \\ &= - \int_{p}^{q} (x-p)(x-q) dx \\ &= \frac{1}{6}(q-p)^3 \end{aligned} $$

次に、線分 $PQ$ の長さが $l$ であるから、$\overline{PQ}^2 = l^2$ より、

$$ (q-p)^2 + (q^2-p^2)^2 = l^2 $$

$$ (q-p)^2 + (q-p)^2(q+p)^2 = l^2 $$

$$ (q-p)^2 \{ 1 + (p+q)^2 \} = l^2 $$

$p < q$ より $q-p > 0$ であるから、

$$ q - p = \frac{l}{\sqrt{1 + (p+q)^2}} $$

これを $S(p)$ の式に代入すると、

$$ S(p) = \frac{1}{6} \left( \frac{l}{\sqrt{1 + (p+q)^2}} \right)^3 = \frac{l^3}{6\{ 1 + (p+q)^2 \}^{\frac{3}{2}}} $$

求める極限は $\lim_{p \to +\infty} p^3 S(p)$ である。

$$ p^3 S(p) = \frac{l^3}{6} \frac{p^3}{\{ 1 + (p+q)^2 \}^{\frac{3}{2}}} = \frac{l^3}{6} \left( \frac{p}{\sqrt{1 + (p+q)^2}} \right)^3 $$

$p > 0$ として、括弧内の式の分母分子を $p$ で割ると、

$$ \frac{p}{\sqrt{1 + (p+q)^2}} = \frac{1}{\sqrt{\frac{1}{p^2} + \left(1 + \frac{q}{p}\right)^2}} $$

ここで、$p \to +\infty$ のときの $\frac{q}{p}$ の極限を求める。 $p < q$ であるから、$p+q > 2p$ であり、$1 + (p+q)^2 > 1 + 4p^2$ が成り立つ。 したがって、

$$ 0 < q - p = \frac{l}{\sqrt{1 + (p+q)^2}} < \frac{l}{\sqrt{1 + 4p^2}} $$

$\lim_{p \to +\infty} \frac{l}{\sqrt{1 + 4p^2}} = 0$ であるから、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{p \to +\infty} (q-p) = 0 $$

よって、

$$ \lim_{p \to +\infty} \left( \frac{q}{p} - 1 \right) = \lim_{p \to +\infty} \frac{q-p}{p} = 0 $$

ゆえに、$\lim_{p \to +\infty} \frac{q}{p} = 1$ である。

これを踏まえて極限を計算すると、

$$ \lim_{p \to +\infty} \frac{1}{\sqrt{\frac{1}{p^2} + \left(1 + \frac{q}{p}\right)^2}} = \frac{1}{\sqrt{0 + (1 + 1)^2}} = \frac{1}{2} $$

以上より、求める極限値は、

$$ \lim_{p \to +\infty} p^3 S(p) = \frac{l^3}{6} \left( \frac{1}{2} \right)^3 = \frac{l^3}{48} $$

解説

放物線と直線で囲まれた面積を $\frac{1}{6}$ 公式を用いて手際よく処理することと、多変数の極限において変数を1つにまとめる(あるいは比の極限に帰着させる)ことが問われる標準的な微積分の問題である。 本問では $q$ を $p$ で直接表すことは困難であるが、求める極限の式を $\frac{q}{p}$ の形に整理することで、$q-p \to 0$ の評価から $\frac{q}{p} \to 1$ を導き出す工夫が鍵となる。極限の厳密な証明には、はさみうちの原理を用いるのが定石である。

答え

$$ \frac{l^3}{48} $$

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