名古屋大学 1986年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた図形の面積 $F(x)$ と $G(x)$ を、関数 $f(x)$ とその定積分を用いて数式で表すことが第一歩である。$F(x)$ と $G(x)$ の和が長方形の面積になることに着目すると、$G(x)$ を $F(x)$ と $f(x)$ を用いて簡潔に表すことができる。これにより、与えられた面積の等式を $F(x)$ についての微分方程式に帰着させる。
解法1
$f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続な増加関数であり、$f(0)=0$ であるから、$x > 0$ において $f(x) > 0$ である。
点 $P(x, f(x))$ から $x$ 軸、$y$ 軸に下ろした垂線の足はそれぞれ $Q(x, 0)$, $R(0, f(x))$ である。 $F(x)$ は $y=f(x)$ と線分 $PQ$ および $x$ 軸とで囲まれた図形の面積であるから、
$$ F(x) = \int_{0}^{x} f(t) dt $$
と表される。これを $x$ で微分すると $F'(x) = f(x)$ となる。 また、$x>0$ のとき $f(t) > 0$ ($t>0$) であるため、$F(x) > 0$ である。
一方、$G(x)$ は $y=f(x)$ と線分 $PR$ および $y$ 軸とで囲まれた図形の面積である。 長方形 $OQPR$ の面積は $x f(x)$ であり、図形的な関係からこの長方形の面積は $F(x)$ と $G(x)$ の和に等しいので、
$$ F(x) + G(x) = x f(x) $$
すなわち、
$$ G(x) = x f(x) - F(x) $$
となる。与えられた条件式 $G(x) = (x+1)F(x)$ にこれを代入すると、
$$ x f(x) - F(x) = (x+1)F(x) $$
$$ x f(x) = (x+2)F(x) $$
$f(x) = F'(x)$ であるから、
$$ x F'(x) = (x+2)F(x) $$
$x>0$ において $F(x) > 0$ であるから、両辺を $x F(x)$ で割ると、
$$ \frac{F'(x)}{F(x)} = \frac{x+2}{x} = 1 + \frac{2}{x} $$
両辺を $x$ で積分すると、$C_1$ を積分定数として、
$$ \int \frac{F'(x)}{F(x)} dx = \int \left( 1 + \frac{2}{x} \right) dx $$
$$ \log F(x) = x + 2 \log x + C_1 $$
$$ F(x) = e^{x + 2 \log x + C_1} = e^{C_1} \cdot e^x \cdot x^2 $$
$e^{C_1} = C$ ($C$ は正の定数) とおくと、
$$ F(x) = C x^2 e^x $$
したがって、求める関数 $f(x)$ は、
$$ f(x) = F'(x) = \left( C x^2 e^x \right)' = C (2x e^x + x^2 e^x) = C x(x+2) e^x $$
最後に、この関数が問題の条件を満たすか確認する。 $x \geqq 0$ において $f(x)$ は連続であり、$f(0) = C \cdot 0 \cdot 2 \cdot 1 = 0$ を満たす。 また、$x > 0$ において、
$$ f'(x) = C \left( (2x+x^2)' e^x + (2x+x^2)(e^x)' \right) = C (2+2x+2x+x^2) e^x = C(x^2+4x+2)e^x $$
$C>0$ であり、$x>0$ において $x^2+4x+2 > 0$ かつ $e^x > 0$ であるから、$f'(x) > 0$ となり、$f(x)$ は確かに増加関数である。 よって、条件をすべて満たす。
解説
逆関数の積分や $y$ 軸方向の積分を用いて $G(x)$ を表すこともできるが、本問のように長方形の面積から $x$ 軸方向の積分 $F(x)$ を引くことで $G(x)$ を表すのが、積分計算を避けることができる最も簡明かつ典型的な手法である。
面積 $F(x)$ の導関数が $f(x)$ となる性質を用いることで、関係式を $F(x)$ に関する変数分離形の微分方程式へと帰着させることができる。微分方程式を解いた後に出てくる積分定数が、最終的な関数 $f(x)$ にも正の定数として残ることに注意が必要である。
答え
$C$ を正の定数として、
$$ f(x) = C x(x+2) e^x $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











