名古屋大学 1999年 理系 第2問 解説

方針・初手
まず、曲線 $C$ 上の点 $P$ における接線の方程式を求め、$C$ の方程式と連立して交点 $Q$ の座標を $t$ を用いて表す。点 $R$ の座標も同様の操作で求まる。 次に、$\angle PQR$ をなす $2$ つのベクトル $\overrightarrow{QP}$ と $\overrightarrow{QR}$ の成分を求め、内積の定義を利用して $\cos \angle PQR$ を $t$ の式で表す。 最後に、得られた式を $t$ の関数とみなし、とりうる値の範囲を調べる。
解法1
$y = x^3$ について $y' = 3x^2$ である。 点 $P(t, t^3)$ における $C$ の接線の方程式は、
$$ y - t^3 = 3t^2(x - t) $$
$$ y = 3t^2x - 2t^3 $$
この接線と曲線 $C$ の交点の $x$ 座標は、方程式 $x^3 = 3t^2x - 2t^3$ の解である。
$$ x^3 - 3t^2x + 2t^3 = 0 $$
左辺は $x=t$ で接することから $(x-t)^2$ を因数にもつため、
$$ (x - t)^2(x + 2t) = 0 $$
と因数分解できる。$t \neq 0$ より $t \neq -2t$ であるから、点 $P$ と異なるもう $1$ つの交点 $Q$ の $x$ 座標は $-2t$ である。 これより、$Q(-2t, -8t^3)$ となる。
次に、点 $Q(-2t, -8t^3)$ における $C$ の接線が再び $C$ と交わる点 $R$ の $x$ 座標は、上記の計算において $t$ を $-2t$ に置き換えればよい。 したがって、点 $R$ の $x$ 座標は $-2(-2t) = 4t$ となり、$R(4t, 64t^3)$ である。
ここで、ベクトル $\overrightarrow{QP}$ と $\overrightarrow{QR}$ の成分を求める。
$$ \overrightarrow{QP} = (t - (-2t), t^3 - (-8t^3)) = (3t, 9t^3) = 3t(1, 3t^2) $$
$$ \overrightarrow{QR} = (4t - (-2t), 64t^3 - (-8t^3)) = (6t, 72t^3) = 6t(1, 12t^2) $$
$t \neq 0$ であり、$3t$ と $6t$ の積は $18t^2 > 0$ であるため、これらは同符号である。 よって、ベクトル $\vec{u} = (1, 3t^2)$ と $\vec{v} = (1, 12t^2)$ を定義すると、$\overrightarrow{QP}$ と $\overrightarrow{QR}$ のなす角は $\vec{u}$ と $\vec{v}$ のなす角に等しい。
$$ \cos \angle PQR = \frac{\vec{u} \cdot \vec{v}}{|\vec{u}| |\vec{v}|} $$
内積と大きさをそれぞれ計算する。
$$ \vec{u} \cdot \vec{v} = 1 \cdot 1 + 3t^2 \cdot 12t^2 = 1 + 36t^4 $$
$$ |\vec{u}| = \sqrt{1^2 + (3t^2)^2} = \sqrt{1 + 9t^4} $$
$$ |\vec{v}| = \sqrt{1^2 + (12t^2)^2} = \sqrt{1 + 144t^4} $$
これらを代入して、
$$ \cos \angle PQR = \frac{1 + 36t^4}{\sqrt{1 + 9t^4} \sqrt{1 + 144t^4}} $$
ここで、$X = t^4$ とおくと、$t \neq 0$ より $X > 0$ である。
$$ \cos \angle PQR = \frac{1 + 36X}{\sqrt{(1 + 9X)(1 + 144X)}} = \frac{1 + 36X}{\sqrt{1 + 153X + 1296X^2}} $$
明らかに $\cos \angle PQR > 0$ であるため、両辺を $2$ 乗して式の値の範囲を調べる。
$$ (\cos \angle PQR)^2 = \frac{(1 + 36X)^2}{1 + 153X + 1296X^2} = \frac{1 + 72X + 1296X^2}{1 + 153X + 1296X^2} $$
分子を分母の形に近づけて変形する。
$$ (\cos \angle PQR)^2 = \frac{(1 + 153X + 1296X^2) - 81X}{1 + 153X + 1296X^2} = 1 - \frac{81X}{1 + 153X + 1296X^2} $$
$X > 0$ であるから、第 $2$ 項の分母分子を $X$ で割る。
$$ (\cos \angle PQR)^2 = 1 - \frac{81}{\frac{1}{X} + 153 + 1296X} $$
ここで、分母の $\frac{1}{X} + 1296X$ について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いると、$\frac{1}{X} > 0, 1296X > 0$ より、
$$ \frac{1}{X} + 1296X \geqq 2\sqrt{\frac{1}{X} \cdot 1296X} = 2 \cdot 36 = 72 $$
等号成立は $\frac{1}{X} = 1296X$、すなわち $X^2 = \frac{1}{1296}$ のときであり、$X > 0$ より $X = \frac{1}{36}$ のときに成り立つ。($X = \frac{1}{36}$ のとき、$t^4 = \frac{1}{36}$ を満たす実数 $t$ は存在する。)
したがって、
$$ \frac{1}{X} + 153 + 1296X \geqq 72 + 153 = 225 $$
これより、
$$ 0 < \frac{81}{\frac{1}{X} + 153 + 1296X} \leqq \frac{81}{225} = \frac{9}{25} $$
ゆえに、$(\cos \angle PQR)^2$ のとりうる値の範囲は、
$$ 1 - \frac{9}{25} \leqq (\cos \angle PQR)^2 < 1 $$
$$ \frac{16}{25} \leqq (\cos \angle PQR)^2 < 1 $$
$\cos \angle PQR > 0$ であるから、各辺の正の平方根をとって、
$$ \frac{4}{5} \leqq \cos \angle PQR < 1 $$
解説
曲線 $y=x^3$ 上の点 $(t, t^3)$ における接線が再び曲線と交わる点の $x$ 座標が $-2t$ になることは、計算を省力化するうえで覚えておくと役立つ性質である。交点の $x$ 座標を求める方程式 $x^3 = 3t^2x - 2t^3$ は、接点 $t$ を重解にもつため、解と係数の関係から $t + t + (\text{もう1つの解}) = 0$ ($x^2$ の係数が $0$ のため)を利用して $-2t$ を即座に導くこともできる。
後半の分数式 $\frac{1 + 36X}{\sqrt{1 + 153X + 1296X^2}}$ のとりうる値の範囲を求める処理は、微分を用いて増減を調べることも可能であるが、ルートを外すために $2$ 乗し、分子の次数を下げてから「相加平均・相乗平均の大小関係」を用いるのが簡明である。
答え
$$ \frac{4}{5} \leqq \cos \angle PQR < 1 $$
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