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名古屋大学 2002年 理系 第1問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法テーマ/不等式の証明
名古屋大学 2002年 理系 第1問 解説

方針・初手

解法1

(1)

$$f(x) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x+1} \quad (x>0)$$

とおく。右辺の対数の真数は正である。関数 $f(x)$ を変形して微分する。

$$f(x) = \log(x+1) - \log x - \frac{1}{x+1}$$

$$ \begin{aligned} f'(x) &= \frac{1}{x+1} - \frac{1}{x} - \left( -\frac{1}{(x+1)^2} \right) \\ &= \frac{1}{x+1} - \frac{1}{x} + \frac{1}{(x+1)^2} \\ &= \frac{x(x+1) - (x+1)^2 + x}{x(x+1)^2} \\ &= \frac{-1}{x(x+1)^2} \end{aligned} $$

$x>0$ において $f'(x) < 0$ であるから、$f(x)$ は単調に減少する。 また、 $x \to \infty$ のときの極限を調べると、

$$\lim_{x\to\infty} f(x) = \log 1 - 0 = 0$$

となる。したがって、$x>0$ においてつねに $f(x) > 0$ が成り立つ。 ゆえに、

$$\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$$

が成り立つ。

(2)

関数 $g(x)$ を以下のように定める。

$$g(x) = \left(1+\frac{1}{x}\right)^x \quad (x>0)$$

$g(x) > 0$ であるから、両辺の自然対数をとると

$$\log g(x) = x \log\left(1+\frac{1}{x}\right)$$

両辺を $x$ で微分すると

$$ \begin{aligned} \frac{g'(x)}{g(x)} &= 1 \cdot \log\left(1+\frac{1}{x}\right) + x \cdot \frac{1}{1+\frac{1}{x}} \cdot \left(-\frac{1}{x^2}\right) \\ &= \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x+1} \end{aligned} $$

(1) の結果より、$x>0$ において右辺は正である。 したがって $\frac{g'(x)}{g(x)} > 0$ であり、$g(x) > 0$ であることから $g'(x) > 0$ となる。 ゆえに、関数 $g(x)$ は $x>0$ において単調に増加する。

ここで、比較する2つの式の底と指数の関係に着目する。

$$g\left(\frac{2002}{2001}\right) = \left(1+\frac{1}{\frac{2002}{2001}}\right)^{\frac{2002}{2001}} = \left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}}$$

$$g\left(\frac{2001}{2002}\right) = \left(1+\frac{1}{\frac{2001}{2002}}\right)^{\frac{2001}{2002}} = \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$$

いま、$\frac{2002}{2001} > \frac{2001}{2002} > 0$ であるから、関数 $g(x)$ の単調増加性により

$$g\left(\frac{2002}{2001}\right) > g\left(\frac{2001}{2002}\right)$$

が成り立つ。したがって、

$$\left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}} > \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$$

となる。

解法2

(1) の別解(平均値の定理の利用)

関数 $h(t) = \log t$ は $t>0$ において連続かつ微分可能であり、$h'(t) = \frac{1}{t}$ である。 $x>0$ に対して、区間 $[x, x+1]$ において平均値の定理を用いると、

$$\frac{\log(x+1) - \log x}{(x+1) - x} = \frac{1}{c}$$

を満たす実数 $c$ が $x < c < x+1$ の範囲に存在する。 この式の左辺を変形すると、

$$\log\left(\frac{x+1}{x}\right) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right)$$

となる。一方、右辺については $0 < x < c < x+1$ であるから、逆数をとると

$$\frac{1}{c} > \frac{1}{x+1}$$

が成り立つ。したがって、これらを結びつけることで

$$\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$$

が成り立つ。(以降の (2) は解法1と同様)

解説

(1) は対数関数と分数関数の大小比較であり、定石通りに「差をとって微分」するか、「平均値の定理」を用いることで簡潔に証明できる。特に平均値の定理を利用する解法2は、微分計算の負担を減らせるため非常に実用的である。

(2) は具体的な値が与えられた式の大小比較であるが、これをそのまま計算することは不可能に近い。このような問題では、式の一部を文字 $x$ で置き換えて関数化し、その関数の増減を調べる手法が鉄則となる。(1) の結果がそのまま関数の導関数(の符号判定)に現れるように問題が設計されており、美しい誘導となっている。本問の $g(x) = \left(1+\frac{1}{x}\right)^x$ は、ネイピア数 $e$ の定義にも登場する重要な関数であり、単調増加であることは有名事実である。

答え

(1) $\log\left(1+\frac{1}{x}\right) > \frac{1}{x+1}$

(2) $\left(1+\frac{2001}{2002}\right)^{\frac{2002}{2001}} > \left(1+\frac{2002}{2001}\right)^{\frac{2001}{2002}}$

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