大阪大学 1984年 文系 第1問 解説

方針・初手
点 $Q$ の座標を $t$ を用いて表し、そこから直線 $PQ$ の方程式を立式することが最初のステップとなる。 (1) 直線の方程式を $t$ について整理し、$t$ の値によらず成り立つ条件(恒等式)を考える。 (2) 2直線の交点 $R$ を連立方程式で求め、点 $A$ を始点とするベクトルを用いて三角形の面積公式を適用する。 (3) 面積 $S(t)$ を $t$ の関数とみなし、微分して増減を調べ、定義域の両端における極限を評価して値域を求める。
解法1
(1) 点 $Q$ は線分 $AC$ を $(2t-1):(t-1)$ に内分する点である。 $A(0,1), C(1,0)$ であるから、点 $Q$ の座標は、
$$ x = \frac{(t-1)\cdot 0 + (2t-1)\cdot 1}{(2t-1) + (t-1)} = \frac{2t-1}{3t-2} $$
$$ y = \frac{(t-1)\cdot 1 + (2t-1)\cdot 0}{(2t-1) + (t-1)} = \frac{t-1}{3t-2} $$
よって、$Q \left( \frac{2t-1}{3t-2}, \frac{t-1}{3t-2} \right)$ である。
点 $P(t,0)$ と点 $Q$ を通る直線の傾き $m$ は、
$$ m = \frac{\frac{t-1}{3t-2} - 0}{\frac{2t-1}{3t-2} - t} = \frac{t-1}{2t-1 - t(3t-2)} = \frac{t-1}{-3t^2 + 4t - 1} = \frac{t-1}{-(3t-1)(t-1)} $$
$t>1$ より $t-1 \neq 0$ であるから、分母分子を $t-1$ で割って、
$$ m = \frac{1}{1-3t} $$
したがって、直線 $PQ$ の方程式は、
$$ y = \frac{1}{1-3t} (x - t) $$
分母を払って整理すると、
$$ (1-3t)y = x - t $$
$$ x - y - t(1 - 3y) = 0 $$
この等式が任意の $t \ (>1)$ について成り立つための条件は、
$$ x - y = 0 \quad \text{かつ} \quad 1 - 3y = 0 $$
これを解くと、$x = \frac{1}{3}, y = \frac{1}{3}$ となる。
ゆえに、直線 $PQ$ は $t$ の値に関わらず定点 $\left( \frac{1}{3}, \frac{1}{3} \right)$ を通る。
(2) 直線 $AB$ は、点 $A(0,1), B(-1,0)$ を通るから、その方程式は $y = x + 1$、すなわち $x - y + 1 = 0$ である。
点 $R$ は直線 $PQ$ と直線 $AB$ の交点であるから、これらを連立させた方程式
$$ \begin{cases} x + 3ty - y - t = 0 \\ x - y = -1 \end{cases} $$
を解く。第1式に $x - y = -1$ を代入して、
$$ -1 + 3ty - t = 0 $$
$$ 3ty = t + 1 $$
$t>1$ より $3t \neq 0$ だから、
$$ y = \frac{t+1}{3t} $$
このとき、$x = y - 1$ より、
$$ x = \frac{t+1}{3t} - 1 = \frac{-2t+1}{3t} $$
よって、$R \left( \frac{-2t+1}{3t}, \frac{t+1}{3t} \right)$ を得る。 ($t>1$ のとき $-\frac{1}{3} < \frac{-2t+1}{3t} < 0$, $\frac{1}{3} < \frac{t+1}{3t} < \frac{2}{3}$ であり、これは線分 $AB$ 上の点である。)
ここで、$\triangle AQR$ の面積 $S(t)$ を求めるため、点 $A$ を始点とするベクトル $\vec{AQ}$ と $\vec{AR}$ の成分を計算する。
$$ \vec{AQ} = \left( \frac{2t-1}{3t-2} - 0, \frac{t-1}{3t-2} - 1 \right) = \left( \frac{2t-1}{3t-2}, \frac{-2t+1}{3t-2} \right) = \frac{2t-1}{3t-2} (1, -1) $$
$$ \vec{AR} = \left( \frac{-2t+1}{3t} - 0, \frac{t+1}{3t} - 1 \right) = \left( \frac{-2t+1}{3t}, \frac{-2t+1}{3t} \right) = \frac{-2t+1}{3t} (1, 1) $$
三角形の面積公式 $S = \frac{1}{2} |x_1 y_2 - x_2 y_1|$ を用いると、
$$ S(t) = \frac{1}{2} \left| \frac{2t-1}{3t-2} \cdot 1 \cdot \frac{-2t+1}{3t} \cdot 1 - \frac{2t-1}{3t-2} \cdot (-1) \cdot \frac{-2t+1}{3t} \cdot 1 \right| $$
$$ S(t) = \frac{1}{2} \left| \frac{2t-1}{3t-2} \right| \left| \frac{-2t+1}{3t} \right| |1 \cdot 1 - (-1) \cdot 1| $$
$$ S(t) = \frac{1}{2} \cdot \frac{2t-1}{3t-2} \cdot \frac{2t-1}{3t} \cdot 2 = \frac{(2t-1)^2}{3t(3t-2)} $$
($t>1$ より $2t-1>0, 3t-2>0$ であるため、絶対値記号はそのまま外せる。)
(3) (2) より、$S(t)$ は次のように展開できる。
$$ S(t) = \frac{4t^2 - 4t + 1}{9t^2 - 6t} $$
$t$ について微分して増減を調べる。
$$ S'(t) = \frac{(8t - 4)(9t^2 - 6t) - (4t^2 - 4t + 1)(18t - 6)}{(9t^2 - 6t)^2} $$
分子を共通因数でくくりながら計算・整理する。
$$ \text{分子} = 4(2t - 1) \cdot 3t(3t - 2) - (2t - 1)^2 \cdot 6(3t - 1) $$
$$ = 6(2t - 1) \{ 2t(3t - 2) - (2t - 1)(3t - 1) \} $$
$$ = 6(2t - 1) \{ 6t^2 - 4t - (6t^2 - 5t + 1) \} $$
$$ = 6(2t - 1)(t - 1) $$
$t > 1$ のとき、$2t-1 > 0$ かつ $t-1 > 0$ であるから、$S'(t) > 0$ となる。 したがって、$S(t)$ は $t > 1$ において単調に増加する。
ここで、$t \to 1+0$ および $t \to \infty$ の極限を求める。
$$ \lim_{t \to 1+0} S(t) = \frac{(2 \cdot 1 - 1)^2}{3 \cdot 1 \cdot (3 \cdot 1 - 2)} = \frac{1}{3} $$
$$ \lim_{t \to \infty} S(t) = \lim_{t \to \infty} \frac{4 - \frac{4}{t} + \frac{1}{t^2}}{9 - \frac{6}{t}} = \frac{4}{9} $$
関数 $S(t)$ は単調増加であり、その取り得る値は極限値に挟まれるため、
$$ \frac{1}{3} < S(t) < \frac{4}{9} \quad (t > 1) $$
が成り立つ。(証明終)
解説
(1) 直線が「すべて定点を通る」ことを示す場合、与えられたパラメータ(本問では $t$)についての恒等式と見なして処理するのが定石である。 (2) 交点の座標を求めた後、三角形の面積を計算する。線分の長さと点と直線の距離を用いて底辺や高さを直接求めるよりも、ベクトル $\vec{AQ}$ と $\vec{AR}$ の成分から面積公式を利用する方が計算量が大幅に軽減される。 (3) 分数関数の微分では、展開しすぎずに因数分解の形で分子を整理すると、符号の判定が非常に容易になる。極限値の計算と単調増加性から値域を評価する、微積分を用いた証明問題の基本的手法である。
答え
(1)
定点 $\left( \frac{1}{3}, \frac{1}{3} \right)$ を通る。(証明は解法に記載)
(2)
$S(t) = \frac{(2t-1)^2}{3t(3t-2)}$
(3)
証明は解法に記載。
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