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大阪大学 1998年 文系 第3問 解説

数学2/図形と式数学2/積分法数学2/微分法テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
大阪大学 1998年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) は点 $P$ の座標をパラメータ $s$ を用いて設定し、内分点の公式から点 $Q$ の座標 $(X, Y)$ を $s, t$ で表す。その後、パラメータ $s$ を消去して $X, Y$ の関係式(軌跡の方程式)を導く。

(2) は(1)で求めた曲線 $C$ と元の放物線の交点を求め、上下関係を把握して定積分により面積を計算する。その際、放物線同士で囲まれた面積であるため、定積分の公式を活用して計算を効率化する。

(3) は(2)で得られた面積 $S$ の式を $t$ の関数とみなし、微分法を用いて増減を調べることで最大値を求める。

解法1

(1) 点 $P$ は放物線 $y = x^2 + 1$ 上の点であるから、その座標を $(s, s^2 + 1)$ とおく。 点 $Q$ は原点 $O(0, 0)$ と $P(s, s^2 + 1)$ を結ぶ線分 $OP$ を $t^2 : (1 - t^2)$ に内分する点である。点 $Q$ の座標を $(X, Y)$ とすると、内分の公式より以下のようになる。

$$ X = \frac{(1 - t^2) \cdot 0 + t^2 \cdot s}{t^2 + (1 - t^2)} = t^2 s $$

$$ Y = \frac{(1 - t^2) \cdot 0 + t^2 \cdot (s^2 + 1)}{t^2 + (1 - t^2)} = t^2(s^2 + 1) $$

$0 < t < 1$ より $t^2 \neq 0$ であるから、第1式より $s = \frac{X}{t^2}$ となる。これを第2式に代入して $s$ を消去する。

$$ Y = t^2 \left\{ \left( \frac{X}{t^2} \right)^2 + 1 \right\} = t^2 \left( \frac{X^2}{t^4} + 1 \right) = \frac{1}{t^2} X^2 + t^2 $$

点 $P$ が放物線上を動くとき、$s$ はすべての実数をとり、それに伴い $X$ もすべての実数をとる。 したがって、点 $Q$ が描く曲線 $C$ の方程式は、変数を $x, y$ に直して

$$ y = \frac{1}{t^2} x^2 + t^2 $$

(2) 放物線 $y = x^2 + 1$ と曲線 $C: y = \frac{1}{t^2} x^2 + t^2$ の交点の $x$ 座標を求める。

$$ x^2 + 1 = \frac{1}{t^2} x^2 + t^2 $$

$$ \left( 1 - \frac{1}{t^2} \right) x^2 = t^2 - 1 $$

$$ \frac{t^2 - 1}{t^2} x^2 = t^2 - 1 $$

$0 < t < 1$ より $t^2 - 1 \neq 0$ であるから、両辺を $t^2 - 1$ で割ると

$$ \frac{1}{t^2} x^2 = 1 $$

$$ x^2 = t^2 $$

これより $x = \pm t$ となる。 区間 $-t \le x \le t$ における2曲線の上下関係を調べる。$x = 0$ のとき、放物線の $y$ 座標は $1$、曲線 $C$ の $y$ 座標は $t^2$ であり、$0 < t < 1$ より $1 > t^2$ である。よって、この区間では放物線 $y = x^2 + 1$ が曲線 $C$ の上側にある。

したがって、求める面積 $S$ は

$$ \begin{aligned} S &= \int_{-t}^{t} \left\{ (x^2 + 1) - \left( \frac{1}{t^2} x^2 + t^2 \right) \right\} dx \\ &= \int_{-t}^{t} \left( \frac{t^2 - 1}{t^2} x^2 - (t^2 - 1) \right) dx \\ &= \frac{t^2 - 1}{t^2} \int_{-t}^{t} (x^2 - t^2) dx \\ &= \frac{t^2 - 1}{t^2} \int_{-t}^{t} (x - t)(x + t) dx \end{aligned} $$

ここで、定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$ を用いると

$$ \begin{aligned} S &= \frac{t^2 - 1}{t^2} \left\{ -\frac{1}{6} (t - (-t))^3 \right\} \\ &= \frac{t^2 - 1}{t^2} \left( -\frac{1}{6} \cdot 8t^3 \right) \\ &= \frac{t^2 - 1}{t^2} \left( -\frac{4}{3} t^3 \right) \\ &= -\frac{4}{3} t(t^2 - 1) \\ &= \frac{4}{3} (t - t^3) \end{aligned} $$

(3) (2)より $S = \frac{4}{3} (t - t^3)$ である。$S$ を $t$ で微分すると

$$ \frac{dS}{dt} = \frac{4}{3} (1 - 3t^2) $$

$\frac{dS}{dt} = 0$ となるのは $1 - 3t^2 = 0$ のときであり、$0 < t < 1$ より $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 $t$ の増減に伴う $S$ の増減は以下のようになる。

$0 < t < \frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき、$\frac{dS}{dt} > 0$ であり、$S$ は単調に増加する。

$\frac{1}{\sqrt{3}} < t < 1$ のとき、$\frac{dS}{dt} < 0$ であり、$S$ は単調に減少する。

したがって、$S$ は $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき最大となる。その最大値は

$$ \begin{aligned} S &= \frac{4}{3} \left\{ \frac{1}{\sqrt{3}} - \left( \frac{1}{\sqrt{3}} \right)^3 \right\} \\ &= \frac{4}{3} \left( \frac{1}{\sqrt{3}} - \frac{1}{3\sqrt{3}} \right) \\ &= \frac{4}{3} \cdot \frac{2}{3\sqrt{3}} \\ &= \frac{8}{9\sqrt{3}} \\ &= \frac{8\sqrt{3}}{27} \end{aligned} $$

解説

軌跡、面積計算、最大・最小の探索という数学IIの微分積分における標準的なテーマが組み合わさった総合問題である。

(2)の面積計算では、$x^2$ の係数をくくり出すことでいわゆる「$\frac{1}{6}$ 公式」が適用できる形になり、定積分の煩雑な計算を大幅に軽減できる。このような放物線同士が囲む面積の計算においては、交点を積分区間の端点として利用し、被積分関数を因数分解された形で処理することが定石である。

答え

(1)

$y = \frac{1}{t^2} x^2 + t^2$

(2)

$S = \frac{4}{3} (t - t^3)$

(3)

最大値 $\frac{8\sqrt{3}}{27}$

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