東北大学 2023年 文系 第4問 解説

方針・初手
線分 $PQ$ 上の点を
$$ R=(x+t,\ f(x)+t)\qquad (0\le t\le 1) $$
と表す。
ここで $u=x+t$ とおくと,$R$ の $y$ 座標は
$$ y=f(x)+t=f(x)+(u-x)=u+{f(x)-x} $$
となる。したがって,$u$ を固定したときに線分群が通過する縦の切り口は, $g(x)=f(x)-x$ とおけば
$$ x\in I_u=[\max(0,u-1),\ \min(2,u)] $$
に対する $u+g(x)$ の取り得る範囲である。よって切り口の長さは
$$ \max_{x\in I_u}g(x)-\min_{x\in I_u}g(x) $$
であり,面積 $S$ はこれを $0\le u\le 3$ で積分すれば求まる。
解法1
(1)
$f(x)=-2|x-1|+2$ のとき
まず
$$ f(x)= \begin{cases} 2x & (0\le x\le 1),\\ -2x+4 & (1\le x\le 2) \end{cases} $$
であるから,
$$ g(x)=f(x)-x= \begin{cases} x & (0\le x\le 1),\\ -3x+4 & (1\le x\le 2) \end{cases} $$
となる。
よって $g(x)$ は $x=1$ までは増加し,その後は減少する。
$u$ の範囲ごとに切り口の長さを求める。
(i)
$0\le u\le 1$ のとき
このとき
$$ I_u=[0,u] $$
であり,この区間では $g(x)=x$ だから増加する。したがって
$$ \max g=u,\qquad \min g=0 $$
より,切り口の長さは
$$ h(u)=u $$
である。
(ii)
$1\le u\le 2$ のとき
このとき
$$ I_u=[u-1,u] $$
であり,区間は常に $x=1$ を含む。したがって最大値は
$$ \max g=g(1)=1 $$
である。
一方,最小値は両端で比較すればよく,
$$ g(u-1)=u-1,\qquad g(u)=-3u+4 $$
であるから,
$$ u-1=-3u+4 $$
より分岐点は
$$ u=\frac54 $$
となる。よって
$$ h(u)= \begin{cases} 1-(u-1)=2-u & \left(1\le u\le \frac54\right),\\ 1-(-3u+4)=3u-3 & \left(\frac54\le u\le 2\right). \end{cases} $$
(iii)
$2\le u\le 3$ のとき
このとき
$$ I_u=[u-1,2] $$
であり,区間全体が $1\le x\le 2$ に入るので,$g(x)=-3x+4$ は減少する。したがって
$$ \max g=g(u-1),\qquad \min g=g(2)=-2 $$
より,
$$ h(u)=g(u-1)-g(2)=(-3(u-1)+4)-(-2)=9-3u $$
である。
したがって面積は
$$ \begin{aligned} S &=\int_0^1 u,du+\int_1^{5/4}(2-u),du+\int_{5/4}^2(3u-3),du+\int_2^3(9-3u),du\\ &=\frac12+\frac{7}{32}+\frac{45}{32}+\frac32\\ &=\frac{29}{8}. \end{aligned} $$
(2)
$f(x)=\dfrac12(x-1)^2$ のとき,傾きが $1$ の接線
接線の傾きは $f'(x)$ であるから,
$$ f'(x)=x-1 $$
である。
傾きが $1$ となるのは
$$ x-1=1 $$
すなわち
$$ x=2 $$
のときである。
このとき
$$ f(2)=\frac12 $$
であるから,接点は $(2,\frac12)$ である。よって接線の方程式は
$$ y-\frac12=1(x-2) $$
すなわち
$$ y=x-\frac32 $$
である。
(3)
$f(x)=\dfrac12(x-1)^2$ のとき
このとき
$$ g(x)=f(x)-x=\frac12(x-1)^2-x=\frac12x^2-2x+\frac12 $$
であり,
$$ g'(x)=x-2 $$
だから,$0\le x\le 2$ では $g'(x)\le 0$ である。したがって $g(x)$ は区間 $[0,2]$ で単調減少する。
よって各 $u$ に対し,切り口の長さは常に区間 $I_u$ の左端で最大,右端で最小となる。
(i)
$0\le u\le 1$ のとき
$$ I_u=[0,u] $$
であるから,
$$ h(u)=g(0)-g(u) $$
である。ここで
$$ g(0)=\frac12,\qquad g(u)=\frac12u^2-2u+\frac12 $$
より,
$$ h(u)=\frac12-\left(\frac12u^2-2u+\frac12\right)=2u-\frac12u^2 $$
となる。
(ii)
$1\le u\le 2$ のとき
$$ I_u=[u-1,u] $$
であるから,
$$ h(u)=g(u-1)-g(u) $$
である。
まず
$$ g(u-1)=\frac12(u-1)^2-2(u-1)+\frac12=\frac12u^2-3u+3 $$
だから,
$$ h(u)=\left(\frac12u^2-3u+3\right)-\left(\frac12u^2-2u+\frac12\right)=\frac52-u $$
となる。
(iii)
$2\le u\le 3$ のとき
$$ I_u=[u-1,2] $$
であるから,
$$ h(u)=g(u-1)-g(2) $$
である。ここで
$$ g(2)=\frac12(2-1)^2-2=-\frac32 $$
より,
$$ h(u)=\left(\frac12u^2-3u+3\right)-\left(-\frac32\right)=\frac12u^2-3u+\frac92 $$
すなわち
$$ h(u)=\frac12(u-3)^2 $$
となる。
したがって
$$ \begin{aligned} S &=\int_0^1\left(2u-\frac12u^2\right),du+\int_1^2\left(\frac52-u\right),du+\int_2^3\frac12(u-3)^2,du\\ &=\frac56+1+\frac16\\ &=2. \end{aligned} $$
解説
この問題の要点は,動く線分そのものを直接追うのではなく,縦に切ったときにどの高さまで埋まるかを見ることである。
線分 $PQ$ は常に傾き $1$ をもつので,$y-x$ の値に注目すると整理しやすい。実際,通過領域の各点は
$$ y=u+{f(x)-x} $$
と表せるため,本質的には $g(x)=f(x)-x$ の区間ごとの最大値・最小値を調べる問題になる。
特に (3) では $g(x)$ が単調減少なので,上端と下端が区間の両端でただちに決まり,計算がかなり簡単になる。(2) の「傾きが $1$ の接線」は,ちょうど $f'(x)=1$ となる点を調べるだけでよい。
答え
$$ \text{(1)}\quad S=\frac{29}{8} $$
$$ \text{(2)}\quad y=x-\frac32 $$
$$ \text{(3)}\quad S=2 $$
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