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大阪大学 2016年 文系 第2問 解説

数学2/図形と式数学2/積分法数学1/二次関数テーマ/場合分けテーマ/面積・体積
大阪大学 2016年 文系 第2問 解説

方針・初手

絶対値記号を含む関数であるため、まずは絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、曲線 $C$ の方程式を絶対値を含まない形で表す。 (1) は方程式の実数解の個数の問題に帰着させる。定数 $t$ を分離し、$y=g(x)$ のグラフと直線 $y=t$ の共有点の個数を視覚的に捉える方針が有効である。 (2) は各交点の $x$ 座標を解と係数の関係を用いて $t$ の式で表し、与えられた条件式に代入する。 (3) は定積分を用いて面積を計算する。交点の $x$ 座標が積分区間となるため、定積分の公式を適切に活用すると計算が簡略化できる。

解法1

(1)

曲線 $C$ の方程式について、$\frac{1}{2}x^2 - 6 = \frac{1}{2}(x^2 - 12)$ の符号で場合分けを行う。

(i)

$x^2 - 12 \ge 0$ すなわち $x \le -2\sqrt{3}, \ 2\sqrt{3} \le x$ のとき

$$ y = \left( \frac{1}{2}x^2 - 6 \right) - 2x = \frac{1}{2}x^2 - 2x - 6 $$

(ii)

$x^2 - 12 < 0$ すなわち $-2\sqrt{3} < x < 2\sqrt{3}$ のとき

$$ y = -\left( \frac{1}{2}x^2 - 6 \right) - 2x = -\frac{1}{2}x^2 - 2x + 6 $$

曲線 $C$ と直線 $L: y = -x + t$ が異なる4点で交わる条件は、方程式 $\left| \frac{1}{2}x^2 - 6 \right| - 2x = -x + t$ が異なる4つの実数解をもつことである。

これを変形して $t = \left| \frac{1}{2}x^2 - 6 \right| - x$ とし、$g(x) = \left| \frac{1}{2}x^2 - 6 \right| - x$ とおく。

$y=g(x)$ のグラフと直線 $y=t$ が異なる4つの共有点をもつ $t$ の範囲を求める。

(i) の区間 $x \le -2\sqrt{3}, \ 2\sqrt{3} \le x$ において

$$ g(x) = \frac{1}{2}x^2 - x - 6 $$

$$ g'(x) = x - 1 $$

$x \le -2\sqrt{3}$ では $g'(x) < 0$ で単調減少、$x \ge 2\sqrt{3}$ では $g'(x) > 0$ で単調増加となる。

また、区間の端点における値は以下のようになる。

$$ g(-2\sqrt{3}) = \frac{1}{2}(12) - (-2\sqrt{3}) - 6 = 2\sqrt{3} $$

$$ g(2\sqrt{3}) = \frac{1}{2}(12) - 2\sqrt{3} - 6 = -2\sqrt{3} $$

(ii) の区間 $-2\sqrt{3} < x < 2\sqrt{3}$ において

$$ g(x) = -\frac{1}{2}x^2 - x + 6 = -\frac{1}{2}(x+1)^2 + \frac{13}{2} $$

これは上に凸の放物線の一部であり、頂点の $x$ 座標 $-1$ はこの区間に含まれる。

したがって $x = -1$ で極大値 $\frac{13}{2}$ をとる。

以上より、$y=g(x)$ のグラフは、$x=-2\sqrt{3}$ で極小値 $2\sqrt{3}$ をとり、$x=-1$ で極大値 $\frac{13}{2}$ をとる概形となる。($x=2\sqrt{3}$ での極小値は $-2\sqrt{3}$)

グラフが直線 $y=t$ と異なる4点で交わるのは、$t$ が極小値 $2\sqrt{3}$ と極大値 $\frac{13}{2}$ の間にあるときである。

よって、求める $t$ の範囲は

$$ 2\sqrt{3} < t < \frac{13}{2} $$

(2)

直線 $L$ の傾きは $-1$ であるため、直線上の2点 $(x_A, y_A), (x_B, y_B)$ 間の距離は $\sqrt{2}|x_B - x_A|$ と表される。

交点の $x$ 座標の大小関係が $x_1 < x_2 < x_3 < x_4$ であるから、各線分の長さは以下のように表せる。

$$ |\overrightarrow{P_1P_2}| = \sqrt{2}(x_2 - x_1) $$

$$ |\overrightarrow{P_2P_3}| = \sqrt{2}(x_3 - x_2) $$

$$ |\overrightarrow{P_3P_4}| = \sqrt{2}(x_4 - x_3) $$

これを与えられた条件式に代入する。

$$ \frac{\sqrt{2}(x_2 - x_1) + \sqrt{2}(x_4 - x_3)}{\sqrt{2}(x_3 - x_2)} = 4 $$

整理すると

$$ x_2 - x_1 + x_4 - x_3 = 4(x_3 - x_2) $$

$$ x_4 - x_1 = 5(x_3 - x_2) $$

両辺ともに正であるため、両辺を2乗して以下の関係式を得る。

$$ (x_4 - x_1)^2 = 25(x_3 - x_2)^2 \quad \dots \text{①} $$

$x_1, x_4$ は、区間 $x \le -2\sqrt{3}, \ 2\sqrt{3} \le x$ における $y=g(x)$ と $y=t$ の交点の $x$ 座標であり、二次方程式 $\frac{1}{2}x^2 - x - 6 = t$ すなわち $x^2 - 2x - 12 - 2t = 0$ の実数解である。

解と係数の関係より

$$ x_1 + x_4 = 2, \quad x_1 x_4 = -12 - 2t $$

したがって

$$ (x_4 - x_1)^2 = (x_1 + x_4)^2 - 4x_1 x_4 = 2^2 - 4(-12 - 2t) = 52 + 8t $$

一方、$x_2, x_3$ は、区間 $-2\sqrt{3} < x < 2\sqrt{3}$ における二次方程式 $-\frac{1}{2}x^2 - x + 6 = t$ すなわち $x^2 + 2x - 12 + 2t = 0$ の実数解である。

解と係数の関係より

$$ x_2 + x_3 = -2, \quad x_2 x_3 = -12 + 2t $$

したがって

$$ (x_3 - x_2)^2 = (x_2 + x_3)^2 - 4x_2 x_3 = (-2)^2 - 4(-12 + 2t) = 52 - 8t $$

これらを①式に代入する。

$$ 52 + 8t = 25(52 - 8t) $$

$$ 52 + 8t = 1300 - 200t $$

$$ 208t = 1248 $$

$$ t = 6 $$

この値は、(1)で求めた条件 $2\sqrt{3} < t < \frac{13}{2}$($\sqrt{12} \approx 3.46, \ \frac{13}{2} = 6.5$)を満たしている。

(3)

$t=6$ のとき、(2)の過程の二次方程式 $x^2 + 2x - 12 + 2t = 0$ に代入すると $x^2 + 2x = 0$ となる。

これを解くと $x = -2, 0$ となり、$x_2 < x_3$ より $x_2 = -2, \ x_3 = 0$ である。

この区間 $-2 \le x \le 0$ において、曲線 $C$ は $y = -\frac{1}{2}x^2 - 2x + 6$ で表される。

求める面積 $S$ は、$C$ と直線 $L: y = -x + 6$ で囲まれる図形の面積である。

この区間内で $C$ は $L$ の上側にあるため、面積 $S$ は以下の定積分で求められる。

$$ \begin{aligned} S &= \int_{-2}^{0} \left\{ \left(-\frac{1}{2}x^2 - 2x + 6 \right) - (-x + 6) \right\} dx \\ &= \int_{-2}^{0} \left( -\frac{1}{2}x^2 - x \right) dx \\ &= -\frac{1}{2} \int_{-2}^{0} x(x + 2) dx \end{aligned} $$

公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$ を用いて計算する。

$$ S = -\frac{1}{2} \left\{ -\frac{1}{6} (0 - (-2))^3 \right\} = \frac{1}{12} \times 8 = \frac{2}{3} $$

解説

絶対値を含む関数のグラフと直線の交点に関する標準的な問題である。 (1)での定数分離は定石であり、正確にグラフの概形を描くことが第一歩となる。 (2)では、交点の $x$ 座標を直接求めようとすると解の公式を使うことになり計算が煩雑になるため、「解と係数の関係」と「対称式」を組み合わせて処理するのが基本にして最良のアプローチである。ベクトルの大きさは直線の傾きから $x$ 座標の差の $\sqrt{2}$ 倍になることに気づくと計算量が減る。 (3)の面積計算では、定積分においていわゆる「$\frac{1}{6}$ 公式」を自然に活用できる形が現れるため、これを利用して計算ミスを防ぐのが望ましい。

答え

(1)

$2\sqrt{3} < t < \frac{13}{2}$

(2)

$t = 6$

(3)

$\frac{2}{3}$

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