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大阪大学 1977年 理系 第4問 解説

数学B/数列数学2/三角関数数学1/図形計量テーマ/漸化式テーマ/図形総合
大阪大学 1977年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) は、正多角形の中心と辺からなる直角三角形を見出すことがカギとなる。中心から辺に下ろした垂線と、新しい多角形の頂点(交点)への線分を利用して三角比の式を立てる。座標平面を設定して直線の方程式から交点を求める方針も有効である。

(2) は、(1) で得られた漸化式を繰り返し用いることで、$r_n$ の一般項を求める。積の形になるが、分母と分子で多くの項が打ち消し合うことに気づけば容易に極限を求められる。

解法1

(1)

円 $S_n$ の中心を $O$ とする。円 $S_n$ に内接する正 $2^{n+2}$ 角形の連続する4頂点を順に $A, B, C, D$ とする。

「1つおいて隣り合う2辺」である辺 $AB$ と辺 $CD$ の延長の交点を $P$ とする。このとき、点 $P$ は円 $S_{n+1}$ に内接する正 $2^{n+2}$ 角形の頂点であるから、$OP = r_{n+1}$ である。

$O$ から辺 $BC$、辺 $CD$ を含む直線にそれぞれ垂線を下ろし、その足を $M, H$ とする。

$\triangle OBC$ と $\triangle OCD$ は合同な二等辺三角形であり、その頂角は

$$ \angle BOC = \angle COD = \frac{2\pi}{2^{n+2}} = \frac{\pi}{2^{n+1}} $$

である。これより、垂線の長さ $OM$ および $OH$ は

$$ OM = OH = r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right) $$

となる。

また、図形の対称性から、辺 $AB$ と辺 $CD$ の交点 $P$ と中心 $O$ を結ぶ直線 $OP$ は、$\angle BOC$ の二等分線であり、線分 $BC$ の垂直二等分線と一致する。したがって、3点 $O, M, P$ はこの順に一直線上に並ぶ。

直角三角形 $OHP$ に着目する。直線 $OP$ と直線 $OH$ は、それぞれ隣り合う辺 $BC$ と辺 $CD$ の垂直二等分線であるから、そのなす角 $\angle POH$ は正多角形の中心角に等しく、

$$ \angle POH = \frac{\pi}{2^{n+1}} $$

である。

$\triangle OHP$ は $\angle OHP = \frac{\pi}{2}$ の直角三角形であるから、

$$ OH = OP \cos(\angle POH) $$

が成り立つ。これに $OH = r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right)$、$OP = r_{n+1}$、$\angle POH = \frac{\pi}{2^{n+1}}$ を代入すると、

$$ r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right) = r_{n+1} \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right) $$

となり、示された。

(2)

(1) の結果より、$r_{n+1} \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right)$ であるから、これを変形して

$$ r_{n+1} = r_n \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right)} $$

を得る。

$n \geqq 2$ のとき、この漸化式を繰り返し用いると、

$$ \begin{aligned} r_n &= r_1 \prod_{k=1}^{n-1} \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^{k+2}}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{2^{k+1}}\right)} \\ &= r_1 \left( \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^3}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{2^2}\right)} \cdot \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^4}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{2^3}\right)} \cdots \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{2^n}\right)} \right) \end{aligned} $$

となる。分子と分母で次々に約分が行われ、最後に残る項を整理すると、

$$ r_n = r_1 \frac{\cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right)}{\cos\left(\frac{\pi}{4}\right)} $$

となる。この式は $n=1$ のときも $r_1 = r_1 \frac{\cos(\pi/4)}{\cos(\pi/4)}$ となり成立する。

ここで、$r_1 = 1$ および $\cos\left(\frac{\pi}{4}\right) = \frac{1}{\sqrt{2}}$ を代入すると、

$$ r_n = \sqrt{2} \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right) $$

となる。

$n \to \infty$ のとき $\frac{\pi}{2^{n+1}} \to 0$ であり、$\cos$ 関数は連続であるから $\cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right) \to \cos 0 = 1$ となる。

したがって、求める極限は、

$$ \lim_{n\to\infty} r_n = \sqrt{2} \cdot 1 = \sqrt{2} $$

である。

解法2

(1) の別解(座標平面を用いた解法)

円 $S_n$ の中心を原点 $O$ とする座標平面を考える。

$S_n$ に内接する正 $2^{n+2}$ 角形の頂点を反時計回りに $A_k$ とし、$N = 2^{n+2}$ とおく。各頂点 $A_k$ の偏角を $\frac{2k\pi}{N}$ とする。

「1つおいて隣り合う2辺」として、頂点 $A_{-1}, A_0$ を結ぶ辺と、頂点 $A_1, A_2$ を結ぶ辺を考える。

原点 $O$ から直線 $A_1A_2$ に下ろした垂線の足は線分 $A_1A_2$ の中点であり、その偏角は $\frac{3\pi}{N}$、長さは $r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right)$ である。

したがって、直線 $A_1A_2$ の方程式は、

$$ x \cos\left(\frac{3\pi}{N}\right) + y \sin\left(\frac{3\pi}{N}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) $$

と表せる。

同様に、直線 $A_{-1}A_0$ の方程式は、垂線の足の偏角が $-\frac{\pi}{N}$ であることから、

$$ x \cos\left(-\frac{\pi}{N}\right) + y \sin\left(-\frac{\pi}{N}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) $$

となる。

この2直線の交点を $B$ とする。図形の対称性より、点 $B$ は $x$ 軸の正の部分に対して角度 $\frac{\pi}{N}$ の方向(線分 $A_0A_1$ の垂直二等分線)に存在する。

この交点 $B$ は円 $S_{n+1}$ に内接する正 $N$ 角形の頂点となるため、原点 $O$ からの距離は $r_{n+1}$ である。すなわち、点 $B$ の座標は $\left(r_{n+1} \cos\left(\frac{\pi}{N}\right), r_{n+1} \sin\left(\frac{\pi}{N}\right)\right)$ と表せる。

これが直線 $A_1A_2$ 上にあるので、方程式に代入して、

$$ r_{n+1} \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) \cos\left(\frac{3\pi}{N}\right) + r_{n+1} \sin\left(\frac{\pi}{N}\right) \sin\left(\frac{3\pi}{N}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) $$

加法定理 $\cos(\alpha - \beta) = \cos\alpha \cos\beta + \sin\alpha \sin\beta$ を用いると、

$$ r_{n+1} \cos\left(\frac{3\pi}{N} - \frac{\pi}{N}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) $$

$$ r_{n+1} \cos\left(\frac{2\pi}{N}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{N}\right) $$

となる。ここで $N = 2^{n+2}$ を代入すると、

$$ r_{n+1} \cos\left(\frac{2\pi}{2^{n+2}}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right) $$

$$ r_{n+1} \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+1}}\right) = r_n \cos\left(\frac{\pi}{2^{n+2}}\right) $$

となり、題意の等式が示された。

解説

(1) は、文章で与えられた図形の条件を正確に把握し、数式に落とし込む力が問われている。図形的に直角三角形を見つける解法(解法1)は計算量が少なく見通しが良いが、直線の法線ベクトルを利用して方程式を立てる代数的な解法(解法2)も、論理の飛躍がなく確実である。

(2) は、(1) で得られた漸化式を変形し、分母と分子で連続的に項が打ち消し合う(telescoping product)構造に気づけるかがポイントである。極限の計算自体は基本的なものである。

この問題における極限値 $\sqrt{2}$ は、無限に操作を繰り返したときに、最終的な円の半径が初期状態(正八角形)における $\frac{1}{\cos(\pi/4)}$ 倍に収束することを意味しており、幾何学的にも興味深い性質である。

答え

(1)

略(本文参照)

(2)

$\sqrt{2}$

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