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東北大学 1962年 文系 第3問 解説

数学2/三角関数数学2/微分法数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
東北大学 1962年 文系 第3問 解説

方針・初手

点と円の位置関係、および円を見込む角の図形的な意味を数式に翻訳して考えます。

前半の「点が円の外側にある」という条件は、円の中心と点の距離が円の半径よりも常に大きいことと同値です。この条件を立式し、$t$ の関数についての不等式が常に成り立つような定数の範囲を求める問題(いわゆる絶対不等式)に帰着させます。

後半の「円を見込む角が最大になる」という条件は、円の中心と点の距離に対する半径の割合が最も大きくなる状態を考えることになります。見込む角の半分を直角三角形に組み込んで三角比を用いるとスムーズに評価できます。

解法1

時刻 $t$ における円の中心を $C(at+1, 0)$、半径を $R = \frac{r}{\sqrt{at+1}}$ とおく。 点 $A(2, 1)$ がいかなる時刻 $t \geqq 0$ においてもこの円の外側にあるための条件は、線分 $CA$ の長さが半径 $R$ よりも常に大きいことである。すなわち、任意の $t \geqq 0$ に対して

$$ CA > R $$

が成り立つことである。両辺ともに正であるから、2乗して

$$ CA^2 > R^2 $$

を考えても同値である。ここで、$CA^2$ と $R^2$ をそれぞれ $t$ を用いて表すと、

$$ CA^2 = (at+1 - 2)^2 + (0 - 1)^2 = (at-1)^2 + 1 $$

$$ R^2 = \frac{r^2}{at+1} $$

となる。式を見やすくするため、$x = at+1$ とおく。 $a > 0$ かつ $t \geqq 0$ であるから、$x \geqq 1$ である。 この変数 $x$ を用いると、条件は「$x \geqq 1$ を満たす任意の $x$ に対して、次の不等式が成り立つこと」と言い換えられる。

$$ (x - 2)^2 + 1 > \frac{r^2}{x} $$

$$ x^2 - 4x + 5 > \frac{r^2}{x} $$

$x \geqq 1$ より $x > 0$ であるから、両辺に $x$ を掛けて整理すると

$$ x^3 - 4x^2 + 5x > r^2 $$

となる。ここで、関数 $f(x) = x^3 - 4x^2 + 5x$ を定義し、$x \geqq 1$ における最小値を調べる。$f(x)$ を微分すると

$$ f'(x) = 3x^2 - 8x + 5 = (x - 1)(3x - 5) $$

$f'(x) = 0$ となるのは、$x = 1, \frac{5}{3}$ のときである。 $x \geqq 1$ における $f(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $1$ $\cdots$ $\frac{5}{3}$ $\cdots$
$f'(x)$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $2$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$

ここで、$x = \frac{5}{3}$ のときの極小値(最小値)を計算すると、

$$ f\left(\frac{5}{3}\right) = \left(\frac{5}{3}\right)^3 - 4\left(\frac{5}{3}\right)^2 + 5\left(\frac{5}{3}\right) = \frac{125}{27} - \frac{100}{9} + \frac{25}{3} = \frac{125 - 300 + 225}{27} = \frac{50}{27} $$

不等式 $f(x) > r^2$ が $x \geqq 1$ で常に成り立つための条件は、関数 $f(x)$ の最小値が $r^2$ よりも大きいことである。したがって

$$ \frac{50}{27} > r^2 $$

$r > 0$ であるから、これを解いて

$$ 0 < r < \frac{5\sqrt{2}}{3\sqrt{3}} = \frac{5\sqrt{6}}{9} $$

次に、点 $A$ がこの円を見込む角を $\theta$ とおく。点 $A$ が円の外側にあるため、$0 < \theta < \pi$ である。 点 $A$ から円に引いた2本の接線の接点と円の中心 $C$、および点 $A$ によって作られる直角三角形に着目すると、

$$ \sin\frac{\theta}{2} = \frac{R}{CA} $$

が成り立つ。関数 $\sin x$ は $0 < x < \frac{\pi}{2}$ において単調増加であるから、見込む角 $\theta$ が最大になるのは、$\sin\frac{\theta}{2}$ が最大になるとき、すなわち $\sin^2\frac{\theta}{2}$ が最大になるときである。

$$ \sin^2\frac{\theta}{2} = \frac{R^2}{CA^2} = \frac{\frac{r^2}{x}}{x^2 - 4x + 5} = \frac{r^2}{x^3 - 4x^2 + 5x} = \frac{r^2}{f(x)} $$

$r$ は定数であるため、これが最大となるのは分母の $f(x)$ が最小となるときである。 先の増減表から、$f(x)$ は $x \geqq 1$ において $x = \frac{5}{3}$ のときに最小となる。 したがって、$x = at+1 = \frac{5}{3}$ を解いて、求める $t$ の値は

$$ at = \frac{2}{3} $$

$$ t = \frac{2}{3a} $$

となる。

解説

図形的な条件を数式で表し、微分法を用いて関数の最大・最小を考える典型問題です。 見込む角を最大にするという条件は、一見すると扱いが難しく感じられるかもしれませんが、「見込む角の半分」を直角三角形の鋭角として捉え、$\sin$ の値(距離に対する半径の比)に置き換えて評価するのが定石です。 また、式中に $t$ と $at+1$ が混在していますが、$x = at+1$ とまとまりで置換することで計算量が劇的に減り、見通しが良くなります。定義域が $t \geqq 0$ から $x \geqq 1$ へ変化することに注意して論証を進めましょう。

答え

$r$ の値の範囲は $0 < r < \frac{5\sqrt{6}}{9}$ $t$ の値は $t = \frac{2}{3a}$

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