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東北大学 1980年 理系 第1問 解説

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東北大学 1980年 理系 第1問 解説

方針・初手

曲線上の点における接線の方程式を立て、それが原点を通るという条件から、接点の $x$ 座標(パラメータ)に関する方程式を導く。接線が3本引けるための条件は、この方程式が異なる3つの実数解をもつことと同値である。3次方程式が異なる3つの実数解をもつ条件は、極値の積に着目するか、定数を分離してグラフの交点として視覚的に捉えるアプローチが有効である。

解法1

$f(x) = x^3 + ax^2 + b$ とおく。これを微分すると

$$ f'(x) = 3x^2 + 2ax $$

曲線上の点 $(t, t^3 + at^2 + b)$ における接線の方程式は

$$ y - (t^3 + at^2 + b) = (3t^2 + 2at)(x - t) $$

整理すると

$$ y = (3t^2 + 2at)x - 2t^3 - at^2 + b $$

この接線が原点 $(0, 0)$ を通るので

$$ 0 = - 2t^3 - at^2 + b $$

$$ 2t^3 + at^2 - b = 0 $$

原点を通る接線が3本引けるための条件は、この $t$ についての3次方程式が異なる3つの実数解をもつことである。

$g(t) = 2t^3 + at^2 - b$ とおく。$g(t) = 0$ が異なる3つの実数解をもつためには、$g(t)$ が極大値と極小値をもち、かつそれらの符号が異なればよい。つまり

$$ (\text{極大値}) \times (\text{極小値}) < 0 $$

が成り立つことである。$g(t)$ を微分すると

$$ g'(t) = 6t^2 + 2at = 2t(3t + a) $$

$g'(t) = 0$ とすると、$t = 0, -\frac{a}{3}$ である。$g(t)$ が極値をもつためには $t=0$ と $t=-\frac{a}{3}$ が異なる必要があり、$a \neq 0$ が必要である。このとき、$t = 0$ と $t = -\frac{a}{3}$ でそれぞれ極値をとる。

極値の積が負になるという条件より

$$ g(0) g\left(-\frac{a}{3}\right) < 0 $$

$$ -b \left\{ 2\left(-\frac{a}{3}\right)^3 + a\left(-\frac{a}{3}\right)^2 - b \right\} < 0 $$

$$ -b \left( -\frac{2}{27}a^3 + \frac{1}{9}a^3 - b \right) < 0 $$

$$ -b \left( \frac{a^3}{27} - b \right) < 0 $$

$$ b \left( b - \frac{a^3}{27} \right) < 0 $$

これを満たす $a, b$ の条件は

$$ 0 < b < \frac{a^3}{27} \quad \text{または} \quad \frac{a^3}{27} < b < 0 $$

である。なお、この条件は $a \neq 0$ を自動的に満たす。

解法2

解法1と同様に、$t$ についての方程式 $2t^3 + at^2 - b = 0$ を導く。これを変形して定数分離を行うと

$$ 2t^3 + at^2 = b $$

となる。接線が3本存在するための条件は、関数 $y = 2t^3 + at^2$ のグラフと直線 $y = b$ が異なる3つの交点をもつことである。

$h(t) = 2t^3 + at^2$ とおくと

$$ h'(t) = 6t^2 + 2at = 2t(3t + a) $$

$h'(t) = 0$ となるのは $t = 0, -\frac{a}{3}$ のときである。$y = h(t)$ のグラフが極値をもち、直線 $y = b$ と3点で交わるためには、$a \neq 0$ でなければならない。

(i) $a > 0$ のとき

$t = -\frac{a}{3}$ のとき極大値 $h\left(-\frac{a}{3}\right) = \frac{a^3}{27}$ $t = 0$ のとき極小値 $h(0) = 0$ をとる。

直線 $y = b$ と3点で交わる条件は、極小値と極大値の間に $b$ があることなので

$$ 0 < b < \frac{a^3}{27} $$

(ii) $a < 0$ のとき

$t = 0$ のとき極大値 $h(0) = 0$ $t = -\frac{a}{3}$ のとき極小値 $h\left(-\frac{a}{3}\right) = \frac{a^3}{27}$ をとる。

直線 $y = b$ と3点で交わる条件は、極小値と極大値の間に $b$ があることなので

$$ \frac{a^3}{27} < b < 0 $$

(i), (ii) より、求める条件は

$$ 0 < b < \frac{a^3}{27} \quad \text{または} \quad \frac{a^3}{27} < b < 0 $$

解説

「曲線外の点から引いた接線」の問題では、まず接点を $(t, f(t))$ とおいて接線の方程式を立てるのが定石である。今回は接点を通る条件から、接点の $x$ 座標 $t$ に関する3次方程式の解の個数を考える問題に帰着される。

実数解の個数を調べる手段としては、解法1のような「極値の積の符号を調べる方法」と、解法2のような「定数分離をしてグラフの交点を視覚的に捉える方法」がよく用いられる。今回は $b$ が独立した定数として分離しやすい形になっているため、解法2の方が領域の図示にも直結しやすく見通しが良い。

答え

$a, b$ の満たす条件は $b \left( b - \frac{a^3}{27} \right) < 0$ である。(または $0 < b < \frac{a^3}{27}$ と $\frac{a^3}{27} < b < 0$ を合わせた範囲)

点 $(a, b)$ の存在する範囲は、$ab$ 平面において、

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