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東京工業大学 1982年 理系 第3問 解説

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東京工業大学 1982年 理系 第3問 解説

方針・初手

曲線上の点における接線の方程式を求め、それが点 $P(\alpha, \beta)$ を通るという条件から、接点の $x$ 座標についての4次方程式を導く。異なる4本の接線が引けることは、この4次方程式が異なる4つの実数解をもつことと同値であるため、方程式を定数分離してグラフの交点の問題に帰着させる。問題に与えられた点 $P$ の存在条件(不等式)と併せて、領域を決定する。

解法1

曲線 $C: y = x^4 - 6x^2$ 上の点 $(t, t^4 - 6t^2)$ における接線の方程式を求める。

$y' = 4x^3 - 12x$ であるから、接線の方程式は

$$ y - (t^4 - 6t^2) = (4t^3 - 12t)(x - t) $$

整理して、

$$ y = (4t^3 - 12t)x - 3t^4 + 6t^2 $$

この接線が点 $P(\alpha, \beta)$ を通るので、

$$ \beta = (4t^3 - 12t)\alpha - 3t^4 + 6t^2 $$

これが $t$ についての4次方程式となる。曲線 $C$ に異なる4本の接線が引けるための条件は、この $t$ の方程式が異なる4つの実数解をもつことである。

(注:曲線 $C$ には二重接線 $y = -9$ が存在するが、不等式 $y > x^4 - 6x^2$ を満たす領域内の点の $y$ 座標は常に $-9$ より大きくなるため、点 $P$ から二重接線が引かれることはなく、接点の個数と接線の本数は一致する)

ここで、定数分離の形にするため、関数 $f(t)$ を次のように定める。

$$ f(t) = -3t^4 + 4\alpha t^3 + 6t^2 - 12\alpha t $$

条件は、$y = f(t)$ のグラフと直線 $y = \beta$ が異なる4つの交点をもつことである。

$f(t)$ を微分すると、

$$ \begin{aligned} f'(t) &= -12t^3 + 12\alpha t^2 + 12t - 12\alpha \\ &= -12\{t^2(t - \alpha) - (t - \alpha)\} \\ &= -12(t^2 - 1)(t - \alpha) \\ &= -12(t + 1)(t - 1)(t - \alpha) \end{aligned} $$

$f'(t) = 0$ となるのは $t = -1, 1, \alpha$ のときである。$y = f(t)$ が極値を3つもつ(つまり4つの実数解をもちうる)ためには、これら3つの値がすべて異なる必要があるので、$\alpha \neq 1$ かつ $\alpha \neq -1$ である。

このとき、$t = -1, 1, \alpha$ の各値における $f(t)$ の値は以下のようになる。

$$ \begin{aligned} f(-1) &= -3 - 4\alpha + 6 + 12\alpha = 3 + 8\alpha \\ f(1) &= -3 + 4\alpha + 6 - 12\alpha = 3 - 8\alpha \\ f(\alpha) &= -3\alpha^4 + 4\alpha^4 + 6\alpha^2 - 12\alpha^2 = \alpha^4 - 6\alpha^2 \end{aligned} $$

$\alpha$ の値によって極値をとる $t$ の順序が異なるため、場合分けを行う。

(i)

$\alpha > 1$ のとき

$f'(t)$ は $t = -1, 1, \alpha$ の順に符号が $+ \to - \to + \to -$ と変化する。したがって、$f(t)$ は $t = -1, \alpha$ で極大、$t = 1$ で極小となる。

直線 $y = \beta$ が $y = f(t)$ と異なる4点で交わるための条件は、

$$ f(1) < \beta < \min\{f(-1), f(\alpha)\} $$

すなわち、$\beta < f(\alpha)$ であることが必要である。しかし、問題の条件から点 $P$ は $y > x^4 - 6x^2$ で定まる領域内にあるため、$\beta > \alpha^4 - 6\alpha^2 = f(\alpha)$ を満たさなければならず、矛盾する。よって、この範囲に条件を満たす点 $P$ は存在しない。

(ii)

$\alpha < -1$ のとき

$f'(t)$ は $t = \alpha, -1, 1$ の順に符号が $+ \to - \to + \to -$ と変化する。したがって、$f(t)$ は $t = \alpha, 1$ で極大、$t = -1$ で極小となる。

直線 $y = \beta$ が異なる4点で交わるための条件は、

$$ f(-1) < \beta < \min\{f(1), f(\alpha)\} $$

これも (i) と同様に $\beta < f(\alpha)$ を要するため、前提条件 $\beta > f(\alpha)$ と矛盾する。よって不適である。

(iii)

$-1 < \alpha < 1$ のとき

$f'(t)$ は $t = -1, \alpha, 1$ の順に符号が $+ \to - \to + \to -$ と変化する。したがって、$f(t)$ は $t = -1, 1$ で極大、$t = \alpha$ で極小となる。

直線 $y = \beta$ が異なる4点で交わるための条件は、極小値より大きく、2つの極大値のうち小さい方よりも小さいことであるから、

$$ f(\alpha) < \beta < \min\{f(-1), f(1)\} $$

すなわち、

$$ \alpha^4 - 6\alpha^2 < \beta < \min\{3 + 8\alpha, 3 - 8\alpha\} $$

ここで、左側の不等式 $\beta > \alpha^4 - 6\alpha^2$ は、点 $P$ が与えられた領域内にあるという条件と完全に一致する。

右側の不等式について、$\min\{3 + 8\alpha, 3 - 8\alpha\}$ は $3 - 8|\alpha|$ と表せる。

したがって、点 $P$ の存在条件と合わせた求める条件は、$-1 < \alpha < 1$ において、

$$ \alpha^4 - 6\alpha^2 < \beta < 3 - 8|\alpha| $$

これを $x, y$ 座標に置き換えると、領域 $D$ を表す不等式となる。

解説

接線の本数の問題は、「接点の $x$ 座標(あるいは $y$ 座標)についての関数の実数解の個数」に帰着させるのが定石である。今回は4次関数の解の個数となるため、定数分離を用いて $y = \beta$ と $y = f(t)$ のグラフの交点の数として視覚的に捉えるのが有効である。

途中、$\alpha$ の範囲で場合分けを行い極値の大小関係を調べる必要があるが、問題の前提条件である「不等式 $y > x^4 - 6x^2$ で定まる領域内の点」であることを忘れずに適用することで、不適な場合分けをスムーズに除外できる。

答え

点 $P$ の動きうる領域 $D$ は、以下の不等式で表される領域である。

$$ \begin{cases} -1 < x < 1 \\ x^4 - 6x^2 < y < 3 - 8|x| \end{cases} $$

この領域を図示すると、 曲線 $y = x^4 - 6x^2$ ($-1 < x < 1$ の部分)の上側であり、かつ、 折れ線 $y = 3 - 8x$ ($0 \le x < 1$)および $y = 3 + 8x$ ($-1 < x < 0$)の下側となる。 境界の交点は $(1, -5)$ および $(-1, -5)$ であり、折れ線の頂点は $(0, 3)$ である。 (境界線上の点はすべて含まない)

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