東北大学 2002年 理系 第5問 解説

方針・初手
点 $P$ を $(x,y)$ とおくと、楕円 $\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ 上にあるから $0<y<b$ である。
まず、点 $P$ における接線と法線の方程式を求め、それらが $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標 $h,k$ を $y$ で表す。すると $L=h-k$ は $y$ のみの関数になるので、その関数が区間 $0<y<b$ で最小値をもつ条件を調べればよい。
解法1
点 $P=(x,y)$ を $E$ 上の点とする。すなわち
$$ \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 \qquad (x>0,\ y>0) $$
である。
楕円を陰関数として微分すると
$$ \frac{2x}{a^2}+\frac{2y}{b^2}\frac{dy}{dx}=0 $$
より、接線の傾きは
$$ \frac{dy}{dx}=-\frac{b^2x}{a^2y} $$
である。したがって、接線の方程式は
$$ Y-y=-\frac{b^2x}{a^2y}(X-x) $$
となる。これが $y$ 軸、すなわち $X=0$ と交わる点の $y$ 座標を $h$ とすると、
$$ h = y+\frac{b^2x^2}{a^2y} = \frac{a^2y^2+b^2x^2}{a^2y} $$
である。
ここで、楕円の式より
$$ b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2 $$
だから、
$$ h=\frac{a^2b^2}{a^2y}=\frac{b^2}{y} $$
を得る。
次に、法線の傾きは接線の傾きの逆数に符号を変えたものだから、
$$ \frac{a^2y}{b^2x} $$
である。したがって、法線の方程式は
$$ Y-y=\frac{a^2y}{b^2x}(X-x) $$
となる。これが $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標を $k$ とすると、
$$ k = y-\frac{a^2y}{b^2x}x = y-\frac{a^2y}{b^2} = -\frac{a^2-b^2}{b^2}y $$
である。
よって
$$ L=h-k =\frac{b^2}{y}+\frac{a^2-b^2}{b^2}y \qquad (0<y<b) $$
となる。
ここで
$$ A=b^2,\qquad B=\frac{a^2-b^2}{b^2} $$
とおけば、$A>0,\ B>0$ であり、
$$ L=\frac{A}{y}+By \qquad (0<y<b) $$
である。
この関数は
$$ L'(y)=-\frac{A}{y^2}+B $$
をもち、極小となるのは
$$ -\frac{A}{y^2}+B=0 $$
すなわち
$$ y^2=\frac{A}{B} =\frac{b^4}{a^2-b^2} $$
のときである。したがって極小点は
$$ y=\frac{b^2}{\sqrt{a^2-b^2}} $$
である。
この値が区間 $0<y<b$ に入ってはじめて、$L$ は実際に最小値をもつ。よって必要十分条件は
$$ \frac{b^2}{\sqrt{a^2-b^2}}<b $$
であり、これは
$$ b<\sqrt{a^2-b^2} $$
すなわち
$$ a^2>2b^2 $$
と同値である。
この条件のもとで、最小値は
$$ L_{\min} =2\sqrt{AB} =2\sqrt{b^2\cdot \frac{a^2-b^2}{b^2}} =2\sqrt{a^2-b^2} $$
となる。
解法2
上で得た
$$ L=\frac{b^2}{y}+\frac{a^2-b^2}{b^2}y \qquad (0<y<b) $$
に対して、相加相乗平均を用いてもよい。
$$ L =\frac{b^2}{y}+\frac{a^2-b^2}{b^2}y \geqq 2\sqrt{\frac{b^2}{y}\cdot \frac{a^2-b^2}{b^2}y} =2\sqrt{a^2-b^2} $$
等号成立は
$$ \frac{b^2}{y}=\frac{a^2-b^2}{b^2}y $$
すなわち
$$ y=\frac{b^2}{\sqrt{a^2-b^2}} $$
のときである。
したがって、この等号成立条件を満たす $y$ が実際に $0<y<b$ に入ることが、最小値が存在するための必要十分条件である。これは
$$ \frac{b^2}{\sqrt{a^2-b^2}}<b $$
すなわち
$$ a^2>2b^2 $$
である。
よってそのときの最小値は
$$ L_{\min}=2\sqrt{a^2-b^2} $$
である。
解説
接線の $y$ 切片が
$$ h=\frac{b^2}{y} $$
ときれいに整理できることがこの問題の要点である。ここで楕円の式 $\displaystyle b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2$ を使うのが典型処理である。
その後は
$$ L=\frac{A}{y}+By $$
という基本形に帰着する。この形は $y>0$ で下に凸であり、最小値候補はただ一つである。ただし、今回の定義域は $0<y<b$ という開区間なので、極小点が区間内に入らないと最小値は存在しない。この「極値はあるが最小値は存在しない場合がある」という点に注意が必要である。
答え
$L$ の最小値が存在するための必要十分条件は
$$ a^2>2b^2 $$
である。
そのとき、$L$ の最小値は
$$ 2\sqrt{a^2-b^2} $$
である。
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