東北大学 2006年 理系 第4問 解説

方針・初手
まず導関数 $$ f'(x)=\sin\frac{\pi}{x}-\frac{\pi}{x}\cos\frac{\pi}{x} $$ を求める。
そのうえで $$ g(t)=\sin t-t\cos t $$ とおけば $$ f'(x)=g\left(\frac{\pi}{x}\right) $$ と書けるので、$g$ の単調性を使って (1) を処理する。
また、$f'(x)=1$ の解の個数を各区間ごとに確定するには、$f''(x)$ の符号を調べて $f'$ の単調性を見るのが有効である。
解法1
まず $$ f(x)=x\sin\frac{\pi}{x} $$ より、
$$ f'(x)=\sin\frac{\pi}{x}+x\cos\frac{\pi}{x}\cdot\left(-\frac{\pi}{x^2}\right) =\sin\frac{\pi}{x}-\frac{\pi}{x}\cos\frac{\pi}{x} $$
である。
(1) $f'(2)$ を求め,$x>2$ のとき $f'(x)<1$ を示す
$x=2$ を代入すると,
$$ f'(2)=\sin\frac{\pi}{2}-\frac{\pi}{2}\cos\frac{\pi}{2}=1 $$
である。
ここで $$ g(t)=\sin t-t\cos t $$ とおくと,
$$ g'(t)=\cos t-(\cos t-t\sin t)=t\sin t $$
となる。
したがって $0<t<\pi$ では $g'(t)>0$ であり,$g$ は $(0,\pi)$ で単調増加である。
$x>2$ のとき $$ 0<\frac{\pi}{x}<\frac{\pi}{2} $$ であるから,単調増加性より
$$ f'(x)=g\left(\frac{\pi}{x}\right)<g\left(\frac{\pi}{2}\right)=1 $$
となる。
(2) $k$ が自然数のとき,$f'\left(\frac{1}{k}\right)$ を求める
$x=\frac{1}{k}$ を代入すると,
$$ f'\left(\frac{1}{k}\right) =\sin(k\pi)-k\pi\cos(k\pi) =0-k\pi(-1)^k =(-1)^{k+1}k\pi $$
である。
(3) $f'(x)=1$ となる $x$ を値の大きいものから順に $x_1,x_2,x_3,\dots$ とおくとき,
$\displaystyle \frac{1}{n}<x_n<\frac{1}{n-1}$ を示す
まず (1) より $$ f'(2)=1 $$ であり,さらに $x>2$ では $f'(x)<1$ である。
一方,$1<x<2$ なら $$ \frac{\pi}{2}<\frac{\pi}{x}<\pi $$ であり,この範囲でも $g'(t)=t\sin t>0$ なので
$$ f'(x)=g\left(\frac{\pi}{x}\right)>g\left(\frac{\pi}{2}\right)=1 $$
となる。よって $x=2$ が最大の解であり, $$ x_1=2 $$ である。
次に $n\ge 2$ とし, $$ I_n=\left(\frac{1}{n},\frac{1}{n-1}\right) $$ とおく。
$f'(x)$ をさらに微分すると,
$$ f''(x) =\frac{d}{dx}\left(\sin\frac{\pi}{x}-\frac{\pi}{x}\cos\frac{\pi}{x}\right) =-\frac{\pi^2}{x^3}\sin\frac{\pi}{x} $$
である。
$I_n$ 上では $$ (n-1)\pi<\frac{\pi}{x}<n\pi $$ が成り立つから,$\sin\frac{\pi}{x}$ の符号は一定である。したがって $f''(x)$ の符号も $I_n$ 上で一定であり,$f'(x)$ は $I_n$ 上で単調である。
また (2) より,区間の両端で
$$ f'\left(\frac{1}{n}\right)=(-1)^{n+1}n\pi,\qquad f'\left(\frac{1}{n-1}\right)=(-1)^n(n-1)\pi $$
である。
(i) $n$ が偶数のとき
$$ f'\left(\frac{1}{n}\right)=-n\pi<1,\qquad f'\left(\frac{1}{n-1}\right)=(n-1)\pi>1 $$
である。またこのとき $$ (n-1)\pi<\frac{\pi}{x}<n\pi $$ において $\sin\frac{\pi}{x}<0$ だから
$$ f''(x)>0 $$
となり,$f'(x)$ は $I_n$ 上で単調増加である。ゆえに $I_n$ に $f'(x)=1$ をみたす解はただ1つ存在する。
(ii) $n$ が奇数のとき
$$ f'\left(\frac{1}{n}\right)=n\pi>1,\qquad f'\left(\frac{1}{n-1}\right)=-(n-1)\pi<1 $$
である。またこのとき $\sin\frac{\pi}{x}>0$ だから
$$ f''(x)<0 $$
となり,$f'(x)$ は $I_n$ 上で単調減少である。よってこの場合も $I_n$ に $f'(x)=1$ をみたす解はただ1つ存在する。
以上より,各 $n\ge 2$ に対して区間 $$ \left(\frac{1}{n},\frac{1}{n-1}\right) $$ に解がちょうど1つ存在する。
しかも $$ (0,1)=\bigcup_{n=2}^{\infty}\left(\frac{1}{n},\frac{1}{n-1}\right) $$ であり,これらの区間は値の大きい順に $$ \left(\frac{1}{2},1\right),\ \left(\frac{1}{3},\frac{1}{2}\right),\ \left(\frac{1}{4},\frac{1}{3}\right),\ \dots $$ と並ぶから,値の大きいものから順に並べた解 $x_n$ は
$$ \frac{1}{n}<x_n<\frac{1}{n-1}\qquad (n\ge 2) $$
をみたす。
(4) $\displaystyle \lim_{n\to\infty}f(x_n)$ を求める
(3) より $$ 0<x_n<\frac{1}{n-1} $$ であるから, $$ x_n\to 0\qquad (n\to\infty) $$ である。
したがって
$$ |f(x_n)| =\left|x_n\sin\frac{\pi}{x_n}\right| \le x_n $$
であり,右辺は $0$ に収束する。よってはさみうちの原理より
$$ \lim_{n\to\infty}f(x_n)=0 $$
解説
この問題の核心は,$f'(x)$ を $$ f'(x)=\sin\frac{\pi}{x}-\frac{\pi}{x}\cos\frac{\pi}{x} $$ と書いたあと,$t=\pi/x$ によって $$ g(t)=\sin t-t\cos t $$ を見ることである。(1) では $g'(t)=t\sin t$ により単調性がすぐ分かる。
また (3) では,単に解がありそうだと述べるだけでは不十分で,各区間に解がただ1つであることまで示す必要がある。そのために $$ f''(x)=-\frac{\pi^2}{x^3}\sin\frac{\pi}{x} $$ を用いて,区間 $\left(\frac{1}{n},\frac{1}{n-1}\right)$ ごとに $f'(x)$ が単調になることを押さえるのが決め手である。
最後の極限は,$x_n\to 0$ と $|\sin(\pi/x_n)|\le 1$ を使えば直ちに求まる。
答え
$$ f'(x)=\sin\frac{\pi}{x}-\frac{\pi}{x}\cos\frac{\pi}{x} $$
$$ f'(2)=1 $$
また,$x>2$ なら $$ f'(x)<1 $$ である。
さらに,自然数 $k$ に対して $$ f'\left(\frac{1}{k}\right)=(-1)^{k+1}k\pi $$ である。
$n\ge 2$ に対し,$f'(x)=1$ の解 $x_n$ は $$ \frac{1}{n}<x_n<\frac{1}{n-1} $$ をみたす。
したがって $$ \lim_{n\to\infty}f(x_n)=0 $$
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