北海道大学 2001年 理系 第2問 解説

方針・初手
与えられた不等式 $\cos 2x + cx^2 \geqq 1$ がすべての実数 $x$ で成り立つような条件を求める問題である。 関数 $f(x) = \cos 2x + cx^2 - 1$ とおき、すべての実数 $x$ において $f(x) \geqq 0$ となる $c$ の範囲を求める。 $f(-x) = f(x)$ が成り立つため $f(x)$ は偶関数であり、$x \geqq 0$ の範囲で考えれば十分である。 $f(0) = 0$ であることに着目し、極限を用いて必要条件を絞り込んでから、その条件のもとで微分等を用いて十分性を示すアプローチが有効である。
解法1
不等式 $\cos 2x + cx^2 \geqq 1$ より、 $$ cx^2 \geqq 1 - \cos 2x $$
(i) 必要条件の絞り込み
上の不等式が任意の $x > 0$ に対して成り立つとすると、両辺を $x^2$ で割って、 $$ c \geqq \frac{1 - \cos 2x}{x^2} $$ この不等式は任意の $x > 0$ で成り立つので、 $x \to +0$ の極限をとった値に対しても成り立つ必要がある。 ここで、極限値を計算すると、 $$ \begin{aligned} \lim_{x \to +0} \frac{1 - \cos 2x}{x^2} &= \lim_{x \to +0} \frac{2\sin^2 x}{x^2} \\ &= \lim_{x \to +0} 2\left(\frac{\sin x}{x}\right)^2 \\ &= 2 \cdot 1^2 = 2 \end{aligned} $$ したがって、$c \geqq 2$ が必要である。
(ii) 十分性の確認
$c \geqq 2$ のとき、すべての $x \geqq 0$ で与式が成り立つことを示す。 $x \geqq 0$ において、$c \geqq 2$ より $cx^2 \geqq 2x^2$ が成り立つ。 したがって、 $$ \cos 2x + cx^2 - 1 \geqq \cos 2x + 2x^2 - 1 $$ ここで、$g(x) = \cos 2x + 2x^2 - 1$ とおく。 $x$ について微分すると、 $$ g'(x) = -2\sin 2x + 4x $$ $$ g''(x) = -4\cos 2x + 4 = 4(1 - \cos 2x) $$ 任意の $x$ について $\cos 2x \leqq 1$ であるから、$g''(x) \geqq 0$ が成り立つ。 よって、$g'(x)$ は単調に増加する。 $g'(0) = 0$ であるから、$x \geqq 0$ において $g'(x) \geqq 0$ となり、$g(x)$ も単調に増加する。 さらに $g(0) = 0$ であるから、$x \geqq 0$ において $g(x) \geqq 0$ が成り立つ。
以上のことから、$c \geqq 2$ のとき、$x \geqq 0$ において $$ \cos 2x + cx^2 - 1 \geqq g(x) \geqq 0 $$ が成り立つ。 関数 $\cos 2x + cx^2 - 1$ は偶関数であるから、すべての実数 $x$ に対して $\cos 2x + cx^2 \geqq 1$ が成り立つ。
(i)、(ii) より、求める定数 $c$ の値の範囲は $c \geqq 2$ である。
解法2
不等式 $\cos 2x + cx^2 \geqq 1$ を変形する。 半角の公式(あるいは2倍角の公式)より $1 - \cos 2x = 2\sin^2 x$ であるから、与式は次のように同値変形できる。 $$ cx^2 \geqq 2\sin^2 x $$ すべての実数 $x$ について、不等式 $|\sin x| \leqq |x|$ が成り立つことが知られている。 両辺を2乗すると、すべての実数 $x$ に対して以下の不等式が成り立つ。 $$ \sin^2 x \leqq x^2 $$ 両辺を2倍して、 $$ 2\sin^2 x \leqq 2x^2 $$
ここで、$c \geqq 2$ であれば、すべての実数 $x$ に対して $cx^2 \geqq 2x^2$ が成り立つため、 $$ cx^2 \geqq 2x^2 \geqq 2\sin^2 x $$ となり、求める不等式が常に成立することがわかる。
一方、$c < 2$ の場合を考える。 $$ \lim_{x \to 0} \frac{2\sin^2 x}{x^2} = 2 $$ であるから、$c < 2$ のとき、十分に $0$ に近い $x \neq 0$ に対しては $$ \frac{2\sin^2 x}{x^2} > c $$ すなわち $cx^2 < 2\sin^2 x$ となってしまい、不等式は成り立たない。 よって、$c < 2$ は不適である。
以上より、求める定数 $c$ の値の範囲は $c \geqq 2$ である。
解説
「すべての実数 $x$ について不等式が成り立つ条件」を求める問題の典型的なアプローチが問われている。 本問のように $x=0$ で等号が成立する(境界となる)場合、微分して最小値を求める方針を闇雲に実行すると、文字定数 $c$ の場合分けが煩雑になりやすい。 このようなときは、まず $x \to 0$ の極限(または $x=0$ における微分係数の条件)を考えることで「必要条件」を導き、候補となる $c$ の範囲を絞り込む手法が極めて有効である。 解法1では極限から $c \geqq 2$ を導き、その後微分を用いて十分性を鮮やかに示している。 解法2は有名不等式 $|\sin x| \leqq |x|$ を既知として利用することで、微分の手間を省き見通しよく解答を構成している。
答え
$c \geqq 2$
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