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東北大学 2010年 理系 第6問 解説

旧課程/行列・一次変換数学2/三角関数テーマ/図形総合
東北大学 2010年 理系 第6問 解説

方針・初手

正六角形 $X$ の頂点を

$$ P_0=P=(1,0),\quad P_1=\left(\frac12,\frac{\sqrt3}{2}\right),\quad P_2=\left(-\frac12,\frac{\sqrt3}{2}\right), $$

$$ P_3=(-1,0),\quad P_4=\left(-\frac12,-\frac{\sqrt3}{2}\right),\quad P_5=\left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{2}\right) $$

とおく。

まず (1) では $AP=P$ を用いて $A$ の第1列を固定し,$P_1,P_5$ の像を調べる。 ここで $P_1+P_5=P$ であることが効く。

つぎに (2) では,$P$ を移した先の頂点を $P_k$ とし,$-k\pi/3$ 回転を合成して (1) に帰着する。

解法1

(1) $AP=P$ のとき

$AP=P=(1,0)$ であるから,

$$ A\begin{pmatrix}1\0\end{pmatrix} ================================ \begin{pmatrix}1\0\end{pmatrix} $$

より,$A$ は

$$ A= \begin{pmatrix} 1 & a\ 0 & b \end{pmatrix} $$

の形である。

ここで

$$ Q=AP_1 $$

とおく。$P_1+P_5=P$ だから,

$$ AP_5=A(P-P_1)=P-Q $$

となる。仮定より,$Q$ も $P-Q$ もともに正六角形 $X$ の辺上の点である。

$Q=(x,y)$ とおく。$Q$ と $P-Q=(1-x,-y)$ は対称な位置にあるので,必要なら $Q$ と $P-Q$ を入れ替えて $y\geqq 0$ としてよい。

正六角形 $X$ の上半分の辺上の点は,$0\leqq y\leqq \sqrt3/2$ に対して次のように表される。

まず $0\leqq y<\sqrt3/2$ と仮定する。

(i)

$Q$ が右上の辺上にあるとすると,

$$ x=1-\frac{y}{\sqrt3} $$

である。このとき

$$ P-Q=\left(\frac{y}{\sqrt3},-y\right) $$

となるが,$-y$ を高さにもつ下半分の辺上の点の $x$ 座標は

$$ 1-\frac{y}{\sqrt3}\quad \text{または}\quad -1+\frac{y}{\sqrt3} $$

でなければならない。したがって

$$ \frac{y}{\sqrt3}=1-\frac{y}{\sqrt3} \quad \text{または}\quad \frac{y}{\sqrt3}=-1+\frac{y}{\sqrt3} $$

である必要がある。後者は不可能,前者は

$$ y=\frac{\sqrt3}{2} $$

を与え,$y<\sqrt3/2$ に反する。

(ii)

$Q$ が左上の辺上にあるとすると,

$$ x=-1+\frac{y}{\sqrt3} $$

であり,

$$ P-Q=\left(2-\frac{y}{\sqrt3},-y\right) $$

となる。しかし $0\leqq y<\sqrt3/2$ なら

$$ 2-\frac{y}{\sqrt3}>1 $$

であり,これは正六角形の辺上にはありえない。

以上より $0\leqq y<\sqrt3/2$ は不可能である。したがって

$$ y=\frac{\sqrt3}{2} $$

である。

すると $Q$ は上辺上,$P-Q$ は下辺上にあるから,

$$ -\frac12\leqq x\leqq \frac12,\qquad -\frac12\leqq 1-x\leqq \frac12 $$

を満たす。後式から $1/2\leqq x\leqq 3/2$ なので,両者を合わせると

$$ x=\frac12 $$

となる。よって

$$ Q=\left(\frac12,\frac{\sqrt3}{2}\right)=P_1 $$

であり,

$$ P-Q=\left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{2}\right)=P_5 $$

である。

入れ替えて考えた場合も含めると,

$$ {AP_1,AP_5}={P_1,P_5} $$

が分かる。

ここで $P$ と $P_1$ は一次独立なので,$A$ は $AP,AP_1$ によって一意に定まる。

(a)

$AP_1=P_1$ のとき $A$ は $P,P_1$ をともに固定するから

$$ A=I= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&1 \end{pmatrix} $$

である。このとき当然,すべての頂点は自分自身に移る。

(b)

$AP_1=P_5$ のとき $A$ は $P=(1,0)$ を固定し,$P_1$ を $P_5$ に移す。したがって

$$ A= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&-1 \end{pmatrix} $$

である。これは $x$ 軸対称なので,

$$ P_0\mapsto P_0,\quad P_1\mapsto P_5,\quad P_2\mapsto P_4,\quad P_3\mapsto P_3,\quad P_4\mapsto P_2,\quad P_5\mapsto P_1 $$

となり,やはり各頂点は頂点に移る。

以上より,(1) のとき

$$ A= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&1 \end{pmatrix} \quad \text{または}\quad A= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&-1 \end{pmatrix} $$

である。

(2) $AP$ がある頂点に移るとき

$AP=P_k$ とする。ただし $k=0,1,\dots,5$ である。

原点中心の $-k\pi/3$ 回転を表す行列を

$$ R_{-k}= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & \sin\frac{k\pi}{3}\ -\sin\frac{k\pi}{3} & \cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} $$

とし,

$$ B=R_{-k}A $$

とおく。$R_{-k}$ は正六角形 $X$ を自分自身に移すから,$X$ の各頂点の $A$ による像が辺上にあるなら,その $R_{-k}$ による像もやはり辺上にある。したがって $B$ も (1) の条件を満たす。

しかも

$$ BP=R_{-k}(AP)=R_{-k}P_k=P $$

であるから,(1) より

$$ B=I \quad \text{または}\quad B= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&-1 \end{pmatrix} =:S $$

である。

ゆえに

$$ A=R_k \quad \text{または}\quad A=R_kS \qquad (k=0,1,\dots,5) $$

となる。ただし

$$ R_k= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & -\sin\frac{k\pi}{3}\ \sin\frac{k\pi}{3} & \cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} $$

である。

これらはいずれも正六角形の回転または対称移動を表すので,どの場合も $X$ の各頂点は $X$ のいずれかの頂点に移る。

したがって,(2) のときの $A$ はちょうど

$$ A= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & -\sin\frac{k\pi}{3}\ \sin\frac{k\pi}{3} & \cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} \quad \text{または}\quad A= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & \sin\frac{k\pi}{3}\ \sin\frac{k\pi}{3} & -\cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} \qquad (k=0,1,\dots,5) $$

の $12$ 個である。

解説

この問題の核心は,線形性から

$$ AP_5=A(P-P_1)=P-AP_1 $$

が成り立つことである。すなわち,$P_1$ の像を決めると $P_5$ の像も自動的に決まる。

ところが,正六角形の辺上で互いに和が $P=(1,0)$ になるような点の組は,実は

$$ \left(P_1,P_5\right),\ \left(P_5,P_1\right) $$

しかない。ここを丁寧に詰めれば,$AP_1,AP_5$ が頂点に限られることが分かる。

(2) は,$P$ の移る先の頂点まで回転してしまえば (1) に帰着できる。したがって答えは正六角形の対称性全体,すなわち回転 $6$ 個と反射 $6$ 個である。

答え

(1)

$$ A= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&1 \end{pmatrix} \quad \text{または}\quad A= \begin{pmatrix} 1&0\ 0&-1 \end{pmatrix} $$

であり,このとき $X$ の各頂点は $X$ のいずれかの頂点に移る。

(2)

$k=0,1,\dots,5$ として,

$$ A= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & -\sin\frac{k\pi}{3}\ \sin\frac{k\pi}{3} & \cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} $$

または

$$ A= \begin{pmatrix} \cos\frac{k\pi}{3} & \sin\frac{k\pi}{3}\ \sin\frac{k\pi}{3} & -\cos\frac{k\pi}{3} \end{pmatrix} $$

である。すなわち,正六角形 $X$ の回転・反射を表す $12$ 個の行列がちょうど求めるものである。

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